電気自動車におけるNVH試験のノイズ測定について|GRAS社

内燃機関(ICE)車向けに開発された従来の音響試験方法では、電気自動車やハイブリッド車に最適化されていない場合があります。当ページでは、NVH試験において、試験ごとに電気自動車とハイブリッド車の特徴に基づいてGRAS社マイクロホンをご提案します。GRAS社は世界中の自動車関連企業へマイクロホンを提供しており、ノイズ測定に多くの知見があります。GRAS社では電気自動車のノイズ測定に最適なマイクロホンをご用意しています。

はじめに

EV/HEVの音響特性を測定すると既存のICEと異なる課題が発生します。EVでは、特にインバータ、モーター、バッテリー、軽量防振材などが導入され、ノイズに影響を与えています。

EVには、他のノイズをマスキングするエンジンノイズがありません。そのため他のノイズ源がより明確になり、新たな問題が発生する可能性があります。
高周波のノイズも増加し、ドライバーにとって非常に不快なノイズになります。高周波のため、伝達経路解析が難しくなります。

EV/HEVではNVH試験の内容ごとに最適なマイクロホンを使用しけなければ測定が上手くいかないことがあります。従来のICEのNVH試験では、ほとんどの測定で"1/2 自由音場型マイクロホンを使用していたと思います。自由音場型マイクロホンは汎用マイクロホンであり、高い汎用性があります。ただし、高周波での測定では、入射角による周波数特性の変化があるため、EV/HEVではNVH試験の全てで自由音場型マイクロホンが最適とは言えなくなってきています。
下記では、試験ごとにEVシフトにより、どのような変化があるのか、また最適なマイクロホンをご紹介しています。

ブレーキノイズ測定

ほとんどのEV/HEVは従来のICEより重く、ブレーキシステムはより大きい質量を制動するために設計されます。
同時にエンジンノイズのマスキング効果がなくなり、ブレーキノイズの影響が大きくなります。
またEVでは、減速時にバッテリーを充電している間に回生処理が行われるため、従来のブレーキシステムとは異なります。

多くの場合、ブレーキペダルを使用せず、車速をコントロールすることができます。そのため、実際の車道での音響ブレーキ試験が必要になります。実際の車道で測定する場合には、マイクロホンに高い耐環境性が求められます。GRAS社147EBでは、ブレーキノイズ近傍に設置し、長時間走行しても測定できるよう非常に高い耐久性を持っています。

【推奨マイクロフォン】

ビリツキ音、きしみ音、ガラガラ音測定

EVではマスキングレベルを低くことを常に求められています。
同時に軽量化は、ビリツキ音、きしみ音、ガラガラ音に関して、設計上の問題を発生させます。
きしみ音やガラガラ音の問題は生産開始直後に見つかるケースがあり、非常に高いコストをかけて修正する必要があります。NVH試験を行い、早い時点で問題に気づくことが重要です。

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エンジンノイズ測定

EVは低周波のエンジンノイズがないため、多くのノイズがマスキングされません。インバーターや電動モーターからの高周波ノイズが非常に気になります。
特に高速走行時には、モーターがうなるような音を発生させます。音圧レベルは高くはありませんが、ドライバーにとって、非常に不愉快なノイズになります。
EVでは高周波測定がより重要になり、ノイズ分布を正確に測定するために、適切な位置にマイクロホンを設置して、繰り返し測定することが必要です。繰り返し測定する場合には、マイクロホンの設置位置を試験ごとに全く同じ位置に設置しなければなりません。従来のマイクロホンの形状では、同じ位置に設置することは非常に困難で、取付に時間がかかります。
GRASではマグネットで取り付けることができるマイクロホン147AXをご用意しています。147AXを使用すれば、全く同じ位置に短時間で設置することが可能です。

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パスバイノイズ測定

パスバイノイズの試験は法律によって義務付けられています。これはEV/HEVでも同様です。
EVは市街地を走行するにあたり、静かすぎるという問題もあります。接近する車両の音を聞き慣れた歩行者や視覚障害者にとってリスクになる可能性があります。
車両接近通報装置(AVAS)のための新しい規制が導入されており、これを検証する必要があります。

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パワートレインノイズ測定

EV/HEVではパワートレインノイズが大幅に低減されているのにも関わらず、他のノイズが迷惑になり、新たな周波数成分が問題になります。 一般的には、EVのノイズは複雑な高周波成分によって支配されています。 モーターの形状上、一般的なICEプラットフォームに比べて、ギアボックスの配置が異なるため、新たなノイズが発生し、より複雑なノイズ環境になります。

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ロードノイズ測定

ロードノイズはEVの重要なノイズ源であり、ノイズ全体の約4割を占めています。
従来のICEでは、パワートレインからのノイズがロードノイズをマスキングしていましたが、もちろんEVではそのようなことは起きません。
ロードノイズはどのような車両でも迷惑な車内騒音ですが、EVでは低速走行時で問題になることが多く、40~100kmで問題になることがよくあります。

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車室内ノイズ測定

車室内での大きな課題はインバーターノイズで、騒音レベルが低くても、ドライバーにとっては非常に煩わしいものです。
車室内ノイズの測定はICE比べて、EVの方が難しいです。
なぜならば、一般的には高周波成分が多くなり、TPA測定などが難しくなるためです。

EV/HEVの多くは、パワートレインを電気エンジンごとに分散させて使用しています。これに加えて、風切り音やロードノイズ、タイヤノイズなどが支配的なノイズになります。
車内では入射角によって、周波数特性が変わる自由音場型マイクロホンではなく、圧力型マイクロホンを使用することが重要になります。
またローノイズマイクロホンが有効になります。

【推奨マイクロフォン】

風切り音測定

風切り音はICEもEVも同等です。ただしEVでは、車体の空力形状がより最適化されているため、車体表面の風速がより速くなります。そのため、風切り音の影響が大きくなります。
ICE同様にEVの風切り音の測定は、ノーズコーンやフラッシュマウントマイクロホン、サーフェスマイクロホンなどを使用します。

GRASでは世界最薄のUTPマイクロホンをご用意しております。厚さ1mmのため、より正確な風切り音測定を可能にしました。
また4ch,8chタイプがあり、多チャンネル測定を簡単に行えます。

【推奨マイクロフォン】