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HDMI2.0について
HDMIは映像信号を送信する「HDMIソース」と映像信号を受信する「HDMIシンク」で構成されており、複数の信号ラインが存在します。
では信号ラインの構成を具体的に見てみましょう。以下はHDMIソースならびにHDMIシンクで使用されるコネクタのピン配置です。各信号の詳細機能説明は割愛しますが高速信号ラインと低速信号ラインに大別されます。
高速信号ライン
ピクセルデータを送るTMDS信号は最大動作電圧3.3V、最大伝送速度18Gbpsです。
このTMDS信号は差動信号のため「+」と「-」の2本で1つの信号レーンとなります。TMDS0±からTMDS2±の計3レーンとTMDS Clock±の1レーン、計8本の信号線で構成されます。
保護素子に求められる要件
TMDS信号は最大18Gbps(6Gbps/レーン)の非常に高速な信号ラインですので、通常動作時はシグナルインテグリティを確保しつつ、ESDイベント発生時のトランジェント電圧を低く抑え後段ICを保護する必要があります。
そしてこの要件をもう少し具体的にすると以下特性が必要となります。
- 最大動作電3.3V
- 6Gbps/レーンの信号伝送を可能にする低ジャンクション容量
- 後段ICを確実に保護する低ダイナミック抵抗・低クランピング電圧
- 柔軟なPCBレイアウトにより信号歪みを抑制するフロースルーパッケージ
これらを全て満たす保護素子としてセムテック社のTVSダイオード「RClamp0594P※1」をご紹介します。
※1: Webサイト未掲載の製品ですので直接お問い合わせください。
RClamp0594P
- デバイス概要
ジャンクション容量が0.3pF(typ)と非常に低いため高速信号ラインでの使用に最適。またダイナミック抵抗も0.18Ωと非常に低いためトランジェント電流を大きくとることできESDの吸収に優れます。さらに本製品はボンディングワイヤレスのパッケージング技術を採用することで寄生インダクタンスを最小限化し、低クランプ電圧を実現しています。
また、高速信号ラインでは基板の配線がシグナルインテグリティに及ぼす影響が大きいため、効率的な配置を可能にするフロースルーパッケージを採用しています。RClamp0594Pは4ライン品ですので1個でTMDS信号2レーンに対応。つまり高速信号ラインはRClamp0594Pを2個使用すれば保護が可能です。
低速信号ライン
CEC(13pin)、HEC(14,19pin)、SCL(15pin)、SDA(16pin)、+5V Power(18pin)の6つの信号ラインが該当します。これらは制御信号ならびに電源であるため、使用する保護素子は高速信号ラインで要求されるような低ジャンクション容量の必要はなく、求められる要件は以下となります。
●動作電圧5V
●後段ICを確実に保護する
応答性・低ダイナミック抵抗・低クランピング電圧
これら要件を満たす保護素子としてセムテック社の3つのTVSダイオードをご紹介します。
RClamp7538P
- デバイス概要
RClamp7538Pは8ライン品ですので1個で6つの信号ラインの保護が可能です。
省スペースを実現する小型・フロースルーパッケージで部品点数を抑えたい場合に最適です。
μClamp0512ZA
- デバイス概要
μClamp0512ZAは2ライン品ですので3個で6つの信号ラインの保護が可能です。
μClamp0541Z
- デバイス概要
μClamp0541Zは1ライン品ですので信号ライン数と同じ6個必要です。
μClamp0512ZAとμClamp0541Zの2製品は先にご紹介したRClamp7538Pより使用個数は多くなってしまいますが安価に抑えたい場合に最適です。
また、共に超小型パッケージであるだけでなく、ボンディングワイヤーレスの構造になっているためESDイベント時のクランプ電圧を非常に低く抑えることが可能です。
まとめ
このようにセムテック社ではHDMI2.0の全信号ラインのESD保護に対応するTVSダイオード製品を提供しております。製品開発や置換え検討でこれら製品を評価してみたい場合以下よりサンプル請求頂けますので、この機会に是非お試しください。