現場で役立つ 電源回路のトラブル回避手法

電源回路の評価を開始して突然トラブルに見舞われた時、最初に行うべき「原因の切り分け手法」について紹介します。

トラブルが発生したら

評価を開始した直後に「出力電圧が出ない」ということが、誰もが経験をしたと思います。
「えっ?」って頭が真っ白になり、上司、同僚に相談しようとしても、「何を相談したら?」ってなったことはありませんか。 そんな状況になったら、まずは落ち着いて次のことを確認してみてください。

電源回路のトラブルとは

基板に電源電圧を入力したら・・・

  • 電子負荷装置に出力電圧が出力していない。(電子負荷の出力が何も表示していない)
  • 安定化電源装置に電流が流れていない。
  • 基板部分のLEDが光っていない。(基板に電源が入ると“LEDが点灯”って仕様だが、LEDが真っ黒)」

発生した瞬間は「えっ、なんで?」「正しく電源が出力するはず。なんで、なんで?・・・どこに問題があったの?」っと、あせってしまい頭が真っ白になってしまいます。

みなさんならこんな時どうしますか? まずは上司、チームリーダに報告・相談?

トラブル発生

まずは落ち着く、次に確認する

問題があったことを早く報告したいという気持ちもわかりますが、あせってもいいことはないので、まずは、落ち着いて報告できるようにしましょう。報告する時には内容をまとめる(確認した、確認できていないを切り分けられる)ようにしましょう。

切り分けのための確認項目

上司が確認していましたが、まずは測定環境から見直してみましょう。
思いもよらない落とし穴があるかもしれません。

断線はありませんか?

安定化電源装置から基板に接続しているリード線は断線していませんか?
基板から電子負荷装置のリード線は断線していませんか?

(確認方法)
リードが断線していたら、電圧は供給できません。マルチメータを使用してリード線が導通しているか確認を行います。

配線は大丈夫ですか?

リード線は細い線を使用していませんか?
リード線は距離を伸ばして使用していませんか?

(確認方法)
電源ラインの場合は信号線のような細いリード線では電流を流せないことがありますので、太い線(例えばAWG20)を使用します。また、リード線を伸ばして長くしてしまうと電圧降下で出力電圧が落ちてしまうことがあるので、できるだけ短く配線して(例えば基板と電子負荷装置間を10cm以下で)使用します。

接続に間違いはありませんか?

安定化電源装置から基板、基板から電子負荷装置の接続に間違いはありませんか?

(確認方法)
安定化電源装置から基板の間をリード線で接続、基板から電子負荷装置をリード線で接続している場合、プラス側同士とGND側同士で接続に間違いがないか、ラインを指さしながら声に出して確認を行います。

安定化電源装置から期待する電圧は出力されていますか?

安定化電源装置の表示機能で電圧と電流を確認できますが、本当に期待する電圧がでているか確認していますか?

(確認方法)
期待する電圧が出力されているかを確認するために、安定化電源装置にマルチメータを接続して電圧の確認を行います。

安定化電源装置から基板に電圧は供給されてますか?

基板の入力電圧部分に電圧は出力されていますか?

(確認方法)
基板の入力部分に電圧がかかっているかをマルチメータで確認します。
測定箇所はa. 基板の入力部分、b. 電源ICの入力コンデンサの部分の2か所です。

電子負荷装置は期待する動作をしていますか?

基板の出力電圧部分に電圧は出力されていますか?

(確認方法)
基板の出力部分に電圧がかかっているかをマルチメータで確認します。
測定箇所はa.基板の出力部分、b. 電源ICの出力コンデンサの部分になります

測定器の設定を誤っていませんか?

電子負荷装置の設定は正しく設定していますか?

(確認方法)
設定モードとしてはCCモード、CRモードで要求仕様の電流を流せるように設定しているかの確認を行います。

安定化電源装置から期待する電流が流れていますか?

安定化電源装置の表示部分に期待する電流が表示されていますか?
安定化電源装置の過電流制限をかけていませんか?

(確認方法)
安定化電源装置と基板の間にマルチメータを接続して電流の確認を行います。
安定化電源装置の過電流制限値の確認を行います。

電子負荷装置で期待する電流を流すことができていますか?

電子負荷装置で電流を流した状態で、出力電圧は安定して出力してますか?

(確認方法)
 電子負荷装置で電流を流していき、マルチメータで電圧の確認を行います。

まとめ

ここまでが、トラブルが起きた場合に最初に確認する内容になります。
ここまで確認して、何か変化が確認できましたでしょうか?

もし何も変化が確認できなくても、今回確認した内容で測定環境、機材設定に問題が無かったことが確認出来て、1つ原因の切り分けが出来たと思います。言われてみれば誰でもわかるような初歩的な確認内容ばかりですが、意外に見落としがちです。「急がば回れ」で丁寧に確認してみましょう。

担当エンジニアからの一言

誰でも一度は経験することだと思いますが、まずは落ち着いて確認する内容について紹介させていただきました。「なんだ!そんな簡単なこと」と思われるかもしれませんが案外、見落としているところが原因になることが多々あります。
上司、チームリーダに報告・相談する時に「状態が何も分からず、頭が真っ白の状態」からは少し切り分けが出来て報告・相談できる方法の一つして考えていただければと思います。

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