Acconeer社製ミリ波レーダ製品のご紹介

ミリ波レーダモジュールに新たなラインナップが加わりました。当社はAcconeer社製60GHz帯ミリ波レーダチップおよびモジュールの取り扱いを開始いたします。同社独自のパルス・コヒーレント・レーダ技術で、近距離向けの新たなレーダソリューションをご提案します。

Acconeer社製ミリ波レーダ製品 取扱い開始!

2020年2月の電波法改正により、60GHz帯ミリ波レーダの活用が大きく期待されています。当社はこのような状況に応えるべく、スウェーデンのAcconeer(アッコニア) AB (以下、Acconeer 社と表記)社製ミリ波レーダ製品の取り扱いを開始いたしました。同社独自のパルス・コヒーレント・レーダ技術により、新たなレーダ・ソリューションをご提案します。

A111の特徴

ミリ波レーダチップであるA111(図1)は僅か28mm2という超小型のパッケージの中に送受信アンテナが1チャネルずつ形成されています。レーダ特有のアンテナ設計は必要ありませんので、システム設計の難易度を大幅に低減することが可能です。また、低消費電力、低コストという特長により、これらの制約のあるアプリケーションでもミリ波レーダを活用することが可能です。

図1. A111の外観

A111の主な特長
 ・AiPに対応(1Tx, 1Rx Antenna in Package)
 ・FOV:方位角±40°/仰角±20°
 ・約10m程度の物体検知が可能
  (物標の素材・サイズ、環境による)
 ・ミリメートルの精度(相対ではマイクロメートル)
 ・物標との相対速度を検知することが可能
 ・微小な物標の動きを検知することが可能
  (人の呼吸、物の振動など)
 ・低コスト
 ・低消費電力
   ‒ 0.1Hz update rate : 0.2mW
   ‒ 10Hz update rate: 1mW
   ‒ 100Hz update rate: 20mW
 ・外付けレンズによって検知距離を伸ばすことが可能

ミリ波レーダモジュールのご紹介

図2. ミリ波レーダモジュールラインナップ

A111を搭載しているミリ波レーダモジュールとしてXM112/XM122/XM132(図2)をラインナップしています。これらのモジュールはA111ともに制御用MCUを搭載することでシステムからレーダ制御を隠蔽することが可能です。モジュールの動作モードとして以下をご用意しています。

・外部制御モード
専用のFirmware(バイナリ)をMCUに焼き込むことでシリアル接続するだけで既存のシステムにレーダ機能を追加することが可能です。
・スタンドアローンモード
各種MCUでA111を制御するためのSDKが公開されており、ユーザー独自のアプリケーションをスタンドアロンで実装することが可能です。

各モジュールの特長
・XM112
Microchip社製のMCU(Cortex-M7 ATSAME70Q20A)を搭載したハイパフォーマンスモジュールです。リッチなリソースにより必要なレーダ処理をすべてブラックボックス化することが可能です。

・XM122
Nordic社製のMCU(Cortex-M4 nRF52840)を搭載したIoTモジュールで、BLE5に対応することでレーダのIoT化を一気に加速させます。

・XM132
STマイクロエレクトロニクス社製 のMCU(Cortex-M0+ STM32G071CBU6)を搭載したエントリーモジュールです。いくつかのユースケースにご利用のシーンを限定することで、より低コスト化を実現しています。またモジュール背面にはSolder padを用意しており、お客様の基板に直接マウントすることが可能で、よりタイムリーに量産することが可能です。

XM112/XM122は、インターフェースボードであるXB112/XB122と組み合わせることで、PCとUSB(UART)接続して評価することが可能(XM132は評価ボードとしてXE132が提供されており単独で可能)です。各モジュールのMCUのFirmware、および、Pythonベースの評価ツール(Acconeer Exploration Tool)が無償で提供されており、ご購入後すぐに評価することができます(図3)。

図3. 評価方法の概要

レーダ方式について

A111はAcconeer社独自のパルス・コヒーレント・レーダ方式を採用しています。パルスレーダ技術をベースにしながらコヒーレントレーダの特長を持ち合わせています。一般的に、パルスレーダおよびコヒーレントレーダはそれぞれ以下の特長を持っており、パルス・コヒーレント・レーダはそれぞれの利点を継承しています(図4)。

図4. パルス・コヒーレント・レーダのイメージ

パルス・コヒーレント・レーダの特長

パルス・コヒーレント・レーダの特長は以下のとおりです(図5)。

図5. パルス・コヒーレント・レーダの特長

1. パルス送信時間を制御することにより、超低消費電力を実現
A111はピコ秒オーダーで正確なパルス生成を行うことができ、送信時間やレートを制御することが可能です。これにより、例えば0.2mWという超低消費電力を実現します(送信レート:0.1Hz)。

2. コヒーレント性を持たせることにより、高い検知精度を実現
A111が生成するパルス波は高精度に位相が制御されています。各パルス間でのコヒーレントを実現することにより、通常のパルスレーダと比較し、物標をより高精度に検知することが可能です。

測定可能な距離

各モジュールには、別途ポリアミド製のレンズキットを取り付け可能です(図6)。レンズを取り付けることにより、水平方向および仰角方向の電波放射をビーム状に絞ることができ、より遠方のセンシングを可能にします。

レンズは3種類の形状を用意しており、またレンズ取り付け高さの変更もできますので、それらの組み合わせで様々な電波放射パターンを形成することが可能です。

図6. XM112用レンズキット(LH112)の概要

測定可能な距離は検知する物標ごとに異なり、表1が目安となります(赤丸はレンズ装着時)。

表1. 物標と距離の対応

アプリケーション事例のご紹介

Acconeer社製ミリ波レーダ製品はどのようなアプリケーションに活用できるのでしょうか?
例えば、
・タンク内の液体のレベル計
・天井やディスプレイに取り付けて人を検知
・部屋の出入り口に取り付けて簡易的に入退出を管理
・車のパーキングセンサ
・ジェスチャーコントロール
・ロボティックス等の衝突防止
など、様々な用途に活用することが可能です。

液体のレベルセンシングのユースケース

人検知のユースケース

車両検知のユースケース

ジェスチャー認識のユースケース

まとめ

今回は、当社で取扱いを開始したAcconeer社製ミリ波レーダ製品の概要についてご紹介しました。レーダの性能として高精度であるとともに、超小型・低消費電力・低コストである特長があり、アンテナ設計も不要なことから様々なアプリケーションへの応用が期待できます。センシング技術の新たな選択肢としてぜひご検討ください。

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