e-Fuseのメリットまとめ

これまで、回路保護対策としてヒューズやポリスイッチが多く使われてきました。Texas Instruments社(以下、TI社)ではこれら従来部品を上回るスペックを持つ回路保護IC「e-Fuse」をリリースしております。今回はe-Fuseのメリットについて解説します。

e-Fuseとは

e-Fuse(電子ヒューズ)とは、高精度・高機能を特徴とするTI社イチオシの回路保護ICです。過電流保護を主な目的としておりますが、過電圧・低電圧保護、サーマルシャットダウンなどの機能も持っており、回路保護に対する様々なご要望を1チップで実現することができます。

電圧は5~12V入力、電流は2~5Aがラインナップのメインとなっておりますが、60V耐圧品をはじめ新製品が継続的にリリースされており、幅広い用途に対応できます。

e-Fuseラインナップのイメージ図

e-Fuseのメリット①ディスクリート回路との比較

過電流保護をディスクリート回路で実現しようとすると、FETや抵抗、コンデンサなど多くの部品が必要です。また、部品点数の多さから、回路規模も大きくなります。保護回路をICで構成するe-Fuseなら、回路構成を大幅に簡略化することができ、部品点数の削減・基板面積の縮小に有効です。

部品点数・面積だけでなく、機能面においてもe-Fuseは優れます。e-Fuseには、立ち上がりのスルーレートを調整する機能がございます。この機能により、突入電流を低減させることができます。e-Fuseは、後段の保護においても有効なデバイスであることが分かります。

スルーレート調整機能に関する動作比較

e-Fuseのメリット②従来の保護部品との比較

これまで、突入電流・過電流の対策として、ヒューズやポリスイッチが多く使われてきました。本章では、従来の保護部品との比較を通して、e-Fuseの特徴をご説明いたします。

e-Fuseとヒューズの比較

一般的なヒューズとの大きな違いは、e-Fuseは「交換が不要」ということです。また、交換に必要なコスト・時間も削減でき、メンテナンス面で大きなメリットとなります。

e-Fuseとポリスイッチの比較

①高精度
より正確に、過電流状態を検知することができます。データシートには検出精度の記載がございます。ポリスイッチは、温度上昇によって内部の抵抗値が変化するため、精度が良いとは言えません。それに対して、e-Fuseは、温度変化に対する検出精度の変動幅が小さいため、様々な温度環境で安定したスペックを発揮することができます。「Current Limitと温度の関係を示したグラフ」から、温度が変化しても過電流閾値はほぼ一定であることがお分かりいただけるかと思います。

Current Limitと温度の関係を示したグラフ

②応答性
ポリスイッチは、素子の温度上昇に対して内部抵抗を上昇させることで電流制限をかけます。e-Fuseは、コンパレータで閾値と比較してFETをON/OFFしております。ポリスイッチは温度が上昇しないと電流制限がかけられないのに対し、e-Fuseはコンパレータで識別しているので、保護が働くまでの時間がより短くなります。

ポリスイッチは、温度がある値以上になると抵抗値を急激に上昇させて、電流値を抑制しようとします(トリップ現象)。このトリップ現象が生じる際の電流値を「トリップ電流」と定義しております。保持電流を超えたとしても、トリップ電流値に達するまでは電流が流れ続けます。
e-Fuseはポリスイッチと比較して、過電流閾値とトリップ電流値の幅が狭くなっております。また、短絡時などの大電流が入力されたとしても、e-Fuseは短時間でICをOFFするため、後段への影響を最小限に抑えることができます。

さいごに

ディスクリート回路との比較、従来の保護部品との比較を通して、e-Fuseが持つメリットについて解説いたしました。回路保護でお困りのことがございましたら、TI社のe-Fuseをぜひご検討ください!

e-Fuseのメリットまとめ

①ディスクリート回路との比較
・少部品点数
・基板面積の削減
・入力変動に対する動作の優位性

②従来の保護部品との比較
・ヒューズとの比較:e-Fuseは交換の手間が不要
・ポリスイッチとの比較:e-Fuseは検出精度・応答性に優れる