Cross Talk 02

課長×トレーナー×トレーニー
オープンなコミュニケーションが
人や組織を成長させる
たとえゼロからのスタートでも、技術研修で学び
トレーナーとともに日々の実践で身につける
厳しくも優しい上司もいる。肝心なのは、学ぶ姿勢だ。

集中研修でインプットした
半導体の知識を
トレーナーのもと、日々の業務に活かしながらスキルアップ

我々は同じ課でデバイスの営業をしているわけだけど、改めて面と向かって話すのは何だか変な感じだね。まず、Mさんは、どうして丸文を希望したの?

私は、お客さまと仕入先、双方に寄り添って仕事ができる商社に魅力を感じていました。では商材は何がいいかを考えて、将来も伸び続けるであろうと半導体に絞って就活を行いました。丸文に決めたのは、面接でのフィードバックが丁寧で、人を大事にする会社だと感じたからです。

Mさんは文系出身だけど、半導体を扱うことに不安はなかった?そういう私も、O課長も文系ですけどね。

入る前はかなり不安でした。“半導体”って言葉しか知らなかったし、電気の基礎から学ぶことになるけれど、そんなところから始めて大丈夫か?って不安でした。ただ、丸文にはトレーナー制度があると聞いていたので、何とかなるだろうと。

私自身は経験者採用だったのでトレーナーがいなかったのは、ちょっと残念でした。

トレーナー制度はどちらかというとOJTに重きを置いて、先輩が新入社員に教えるマン・ツー・マンの教育で、あってしかるべき制度だと思います。ただ、それだけだとその課の仕事や商材しか覚えない。だからこそ、最近はデバイス営業に配属された新入社員を対象に、集合研修という半導体に関する知識を満遍なく身に付けて実践まで移行できるような技術研修を専任の講師を立て行い、より体系的に学べるようになったのはよかったね。

集合研修では、同期が一緒に半導体の技術について勉強するのですが、切磋琢磨しながら学んでいます。

私はトレーナーとして、Mさんが集合研修で学んだことを、お客さまを訪問したときや毎日の業務にどう生かしていくかを教えたり、一緒に考えたりして、実践でスキルアップしている状況です。

技術研修でインプットした知識を課の中で共有し、日報などでKさんからフィードバックをもらうことで、研修で学んだことがちゃんと吸収できているか、正しく理解できているかどうかを先輩方に確認していただいている感じで、すごくいい環境の中でやらせてもらっているという実感があります。

ですから、Mさんも含めて、今年の新入社員は、私が1年目のときと比べると成長が早く、しっかりしているという印象があります。報告書などもきちんとしているし、技術的な知識や考え方なども非常にしっかりしていて、安心して業務を任せられるところまできていると思います。

Mさんが勉強したことを課で共有してくれたことで、新たな発見があって私も学ばせてもらいました。そういう意味でも、朝会の前の勉強会は、本当によかったですね。

うちの課独自の取り組みなんですけど、毎週月曜日10時からの朝会の前の30分間、技術研修で学んだことを復習する意味で勉強会を行いました。技術研修は時間も限られており、知識をインプットするだけでインタラクティブな会話はないので、その勉強会ではMさんに講師をやってもらい、我々が教えてもらうという(笑)。

教えてもらう側からの突っ込みが激しかったですけど(笑)。Mさん、相当自習をしたよね。

どこを指摘されるか分からないから網羅して勉強しなきゃいけないと、もう必死でした。

最近は、プレゼン資料をもとに発表することはよくありますが、ホワイトボードに図などを一から書いて説明するような機会はあまりないですよね。でも、そういうふうに手を動かす、アナログ的なことをやることで身につきやすいということがあると思うんです。

ホワイトボードに書く手が震えてしまって、冷や汗ものでしたが、本当にあの勉強会のおかげで、今、技術的な知識が役に立っていると思います。

自分がアウトプットできないことは知識として使えないですし、そういう物事の本質的なところを肌で感じてほしかったというのが、あの勉強会の意図だったんです。

教え、教わり、
互いが学べるトレーナー制度
それが組織としての成長につながる

この半年間、トレーナーとしてMさんの一番身近なところで過ごしてきましたが、朝会などの時間以外もなるべく二人で話す時間を作るようにしました。新人からすると、仕事をしている先輩や上司に話しかけるのはすごくハードルが高くて、私も入社したのが比較的最近で、その気持ちが分かるので、そこの垣根は私に対してはなくせるように意識をしました。

我々がどんなに忙しそうにしていても、困ったことがあればすぐに相談してほしいし、分からないことは何でも聞いてほしいとは、私も言葉で伝えていました。

今、この時期って、何が分からないかも分からない状況で、とにかく情報だけが入ってきて一つひとつ精査していくのは時間も限られているので非常に難しいことだと思うんです。そこをしっかり日々のOJTや朝会などで時間を使ってフィードバックしたことがMさんにとってはすごくよかったと思っています。

配属当初は、分かったふりをしたつもりはなかったのですが、分かったかなと思ってそのままにしちゃっていたところはあったかもしれません。でも「本当に分かってる?」とフィードバックをもらったり、いろいろコミュニケーションをとるうちに、どんどん本音で話せる機会が増えて、何でも聞けるようになり、自分も成長できたかなと後々感じられました。

1年目の今がなんでも聞けるチャンスなので、躊躇せずに聞いてほしいですね。その質問や相談で、Mさんの習熟度が把握でき、ここをもっと強化した方がいいなどと判断できるわけですから。

自分にも相手にも、素直で正直にいることは大事ですね。

KさんもMさんもそうですけど、理解しているっていうことは、人に対してかみ砕いて説明できるってことで、分からないことも分からないようなMさんが分かるように教えるには、Kさんもより深く理解しなければならないし、人に教えることで新たな気づきや発見があるんですね。

本当にその通りです。トレーナーになったことで、改めて技術のことを考えて、だいぶ勉強しましたし、逆にMさんから学ぶこともあり、勉強になりました。

そういうサイクルをやっていくうちにどんどんお互いが成長していけることがコミュニケーションのいいところで、オープンな会話は今後も続けてほしいですね。それが組織としての成長につながっていくわけですから。

トレーナー制度がなかったら、分からないことを抱えたまま週末を迎え、また翌週が始まって…と、分からないことがどんどん放置されて山積していたと思います。分からないことはすぐに聞けて即時解決し、次のステップに進めたのがすごくよかったです。あと普段からKさんに言われていることは、商材について分からないことがあったら社内のマーケティング担当者に聞きに行きなさいということです。

だいぶ頻繁に聞きに行ってるよね。

顧客訪問が終わった後にお客さまからの質問を携えて必ず聞きに行くようにしています。それを繰り返しているうちに、いろいろなマーケティング担当の方ともちょっとずつ近づけているような、「あっ、Mくんね、この間はありがとう」と言われて、少しずつ人のつながりができてきているかなと感じたりしています。

これから担当顧客がついていくMさんに期待するのは、まずお客さまには誠実にということ。そして、仕事は営業一人ではできないので、営業事務、マーケティング部門、経理、コーポレートの方々などいろいろな方と連携していく必要があります。技術以外にも経理的なこと、物流のこと、法律的なことなど習得していかなければならない知識が山ほどあるので、1日1日をちゃんと勉強して成長を続けていってほしいです。

担当顧客を持つようになると、どう売上を伸ばして会社に貢献していこうかということも考えていかなければならなくなり、周囲との連携がますます重要になるので、謙虚な気持ちで学ぶ姿勢を持ち続けてもらえたらと思います。

社内で、こういうことで困ったら、この人に聞けば教えてもらえるという人間関係を築いておくのは非常に大事だからね。

そのときのために普段からコミュニケーションを図ることが必要ですね。

コミュニケーションについては、今後はもっと意識したいと思っています。

山あり、谷ありのたくさんの経験で
社会人としての土台を築く

あとは、どういう営業を目指していくかということも考えるようになるかな。

Mさんのスタイルを築いていくということですね。

配属の前、どういう営業になりたいかと聞かれたときに「O課長」と答えたんです。

えーっ?!

課員が全員で参加するセミナーなどで、O課長は分からないことがあると必ず手を挙げている印象を持っていまして。私は新人なので分からないことが多いんですけど、何回も手を挙げるのは恥ずかしいとか、自分がそんなに時間を取って大丈夫かという不安がありました。

そのとき聞かなかったら、一生分からないままになってしまうかもしれないじゃない。

そうですよね。O課長の姿勢に触れて、分からないことは遠慮なく聞いていいんだと、見習うようにしています。

ちょっと話は変わるけど、学生から社会人になるときに、一番不安に感じることは、朝起きて毎日会社に行けるかとか、人間関係はどうなんだろうとか、社会人としてやっていけるかという漠然としたものではないかと思うんです。

それは確かに大きな不安でした。

ですから1年目の人たちには、まずは社会人としての土台をしっかり作ってほしいと思っています。商材の知識を高めていくことは大事ですが、それだけでなく社会人としての考え方、約束を守るとか、相手に誠実に対応するといった本当に基本的なこと。それから、成長する機会を逃さないとか、目の前の問題に骨を折ることを惜しまないなどといった社会人としての姿勢ですね。この先社会人として40年以上働かなければならないので、それを支えるための土台を作ってほしい。その土台の上に、社会人としての自分の人生を積み上げていって欲しいと考えています。

高く積み上げていくには、土台もそれなりの大きさが必要ですね。

そういう意味で、土台は3年くらいかけて作らないといけないのではないでしょうか。「三つ子の魂百まで」という諺がありますが、3年目までに学んだことはずっと残っていくと思うので、いろいろな経験を積んでほしいと思います。

自分の中で分かった気になっちゃったりとか、自分の中に残ってしまっているモヤモヤしたことから目をそらさずに、誠意を持って一つずつ真摯に取り組んでいくことがすごく大事なことだと改めて思いました。そして、正直さや素直さ、謙虚さをなくさずにいたい。分からないことやできないことは、素直に手を挙げて食らいついて一歩一歩成長していきたいと思います。

そういう姿勢でいれば、まわりが自然と助けてくれますよね。

そうだね。課長としては課員が自分の持っている力の100%以上きちんと出せるような環境を作るよう常に心がけて、コミュニケーションを緊密に図り、相互の信頼関係を保っていきたいですね。これからもみんなで頑張っていきましょう。