デバイス事業の技術営業は、仕入先メーカーの担当営業(仕入先営業)と、客先メーカーの担当営業(客先営業)というように部署が分かれています。私は、台湾など仕入先メーカー4社のメモリーを担当しており、客先営業が商品提案に出向く場合に同行して、商品に関する技術的な説明をしています。また、例えば、自分が新しいメモリーを売り込みたい場合、客先営業と情報を共有し、アプローチ方法や時期などのアドバイスをもらうこともあります。メモリーは、エレクトロニクス機器には必ずと言っていいほど使われていて、自動運転や5Gなど世の中に新しい技術が出るときはメモリーがたくさん使われます。
また、既存製品でも、バージョンアップなどがあるとメモリーの容量が急激に増えます。常日頃から、どのお客さまが何を開発しているかを考え、新しいメモリーが発売されるときは「ここに売りたい」、あるいは、既存製品にどういうメモリーが使われているかはわかっているので、「そろそろ新しい世代の製品が出るから売り込みのチャンスだ」というように、ターゲットを絞ってアプローチします。入社して感じたギャップの一つが、丸文は業界で思った以上に知名度があるということ。全国のお客さまに取引の窓口があり、自分がある会社に売り込みに行きたいという場合、営業を通してほとんどの会社とアポイントが取れ、とてもやりやすいです。
メモリーは、世の中の動き、製品の動きとともに変化するので、毎年どんどん新しくなっていきます。需要と供給のバランスで価格も株のように変動するため、視野を広く持ち、いろんなところにアンテナを張って情報を集めなければなりません。技術的なことよりも市場のトレンドを読めるようになるのが大変ですね。あるとき、ある大手のお客さまへの売り込みを図っていましたが、その会社とは取引の実績がなく、入り込むのは極めて困難でした。そこで、客先営業のチームと協力して先方に足しげく通い、仕入先メーカーには何とか無料でサンプルを出してもらうように交渉するなど、とにかく一生懸命売り込みを図りました。その結果、複数のメモリーを評価していただけることになり、ついに成約に至りました。その後、ビジネスも大きくなり、仕入先の売上達成キャンペーンで1位になりました。大手のお客さまに新規参入でき、売上も伸びて、達成感はすごかったです。それまで私の担当メーカーは社内でもそんなに知られてなかったのですが、知名度も上がり、「もっと売ってよ」と言われるまでになって、やりがいを感じました。
もちろん、自分一人の力ではないし、運も良かったとは思います。それまではまだ技術営業として自信が持てない部分もあったのですが、仕事を自分のものにすることができたと思います。
今までは、まだ入り込んでいないところをしらみつぶしに調べて、行けそうならどんどん突き進んでいくスタイルでしたが、今は既存のお客さまの中から、どこでデマンドが生まれるかを考える必要があります。ひと通り経験を積んで、仕事に対する理解もできてきて、そろそろ一つレベルの高いところへ進む時期だと感じています。今考えているのは、メモリー以外の商品についても知識をつけて、幅広い商品を提案できるようになりたいということです。商品のこと、世の中のトレンド、技術動向など勉強しなければならないことはたくさんありますが、知識も経験も身につけて、さらに会社に貢献できるよう努めます。