関連商品・技術情報
商品基礎情報
SysCheck2とは?
SysCheck2は、GRASが特許を有する新技術で、GRAS 246AEと246AOの2つのマイクロホンには、測定チェーン全体の遠隔検証を可能にする基準信号を生成する高精度なマイクロプロセッサーが搭載されています。このマイクロプロセッサーは、測定チェーンの状態を判断するために、基準となる測定値と比較する基準信号を生成することができます。マイクロホンやケーブルの静電容量、チャンネルのゲイン、またはフィルタの予期せぬ使用などの変化は、測定偏差をもたらし、測定チャンネルからの出力の変化として反映されます。一度検出されれば、問題を調査し、修正することができます。
SysCheck2は、ワンクリックで迅速に校正を検証することができ、物理的な操作は必要ありません。標準的なケーブルで簡単にセットアップできるので、どのようなテスト・セットアップにも適応でき、生産ラインと分散型測定セットアップなどに推奨されます。物理的な検証が難しい場所にマイクロホンを設置する場合(例えば、生産ライン上のカプラや専用のテストボックスなど、複雑な機械構造の中にマイクロホンが隠れている場合)、広い範囲に多数のマイクロホンが散らばっている分散測定で使用する場合に特に有効です。
検証は、トランスデューサ電子データシート(TEDS)をサポートするCCP/IEPE/ICP/CCLDパワーモジュールと測定ソフトウェアに接続されたSysCheck2対応マイクロホンで簡単に行うことができます。SysCheck2の機能により、温度、大気圧、湿度などの環境データもオンデマンドで提供します。
SysCheck2が解決する測定課題
各測定セットアップにおいて、信頼性の高い一貫したデータを確保することは困難なことです。テストエンジニアやプロダクションエンジニアは、しばしば以下の要因に関連する問題のお悩みかと思います。
測定の課題
- 測定チェーン全体をチェックすることが困難
- 生産ラインのセットアップにおいて、音響学的なトレーニングを受けている方が少ない
- ヒューマンエラーのリスク
- 時間がかかる校正や検証作業
- マイクロホンに物理的にアクセスしにくい環境
SysCheck2の自己検証機能
測定を不正確にする要因を低減するためにSysCheck機能を活用することができます。SysCheck2対応マイクロホンは、測定チェーン全体をリモートコントロールで高速かつ正確に検証することができます。測定チェーンの健全性を示す視覚的な合図を表示するように設定することができ、特定のマイクロホンを簡単に識別するために使用することができます。
測定チェーンの健全性を評価する際、SysCheck2は0.3 dB以上のマイクロホン感度またはチャネルゲインの変化を検出することができます。さらに、マイクロホンは、温度、大気圧、湿度などの局所的な環境条件に関するデータを取得します。このデータは、取得したデータのトレーサビリティに役立ち、製造ラインでの誤った合格・不合格の結果を減らすためのテストの改良に役立ちます。
互換性のあるAudio Precisionおよびシーメンスのセットアップに接続すれば、SysCheck2の全機能をすぐに使用することができます。APセットアップは、APx 500測定ソフトウェアとGRAS 12BA、12BB、12BEパワーモジュール、Audio Precision APxシリーズ・アナライザー、またはCCPとTEDSの読み取り/書き込み機能を備えたAudio Precision APxシリーズアナライザーで構成できます。Siemensのセットアップには、Siemens Simcenter Testlab Signature Acquisitionと12Bxまたは同様のパワーモジュール、CCPおよびTEDS読み取り/書き込み機能付きアナライザーの組み合わせが必要です。
自己検証機能
- 外部校正器やユーザーの物理的な介入を必要とせず、測定信号チェーンのエンドツーエンドの検証
- 測定環境の温度、気圧、湿度などの環境データのモニタリング
- マイクロホンプリアンプ本体のRGB LEDにより、マイクロホンの状態や位置を簡単に視覚的に確認
SysCheck2の利点
GRAS 246AEは、SysCheck2機能を内蔵した½″自由音場型マイクロホンセットであり、主音源の位置が分かっていてマイクロホンを直接向けることができ、0°入射を確保できるすべての音響用途に最適化されています。一般的な音響試験に最適で、IEC 61094 WS2FおよびIEC 61672 Class 1に適合しています。
GRAS 246AOは、SysCheck2機能を内蔵した½″音圧型マイクロホンセットであり、補聴器、イヤホン、ヘッドホン、ヘッドセットのテスト用のカプラセットにおける生産ラインテストに最適です。
どちらも、GRAS 46AEと46AOを改良した½″CCPマイクロホンセットで、SysCheck2機能を追加しています。これにより、自己検証機能と環境データを内蔵した初のSysCheck2機能を内蔵したマイクロホンとなりました。
SysCheck2の利点
- ワンクリックで全チャンネルを高速チェック
- 環境データ(温度、湿度、大気圧)のモニタリング
- マイクロホンとの物理的な接触は不要
- Audio PrecisionおよびSiemensの機器へプラグアンドプレイで使用可能
- 測定チェーン全体をリモートコントロールで検証可能
- 0.3dB以上の感度の変化を検出可能
- 2 ºC以上の温度変化を検出可能
- RGB LEDによりマイクロホンの位置と状態を目視確認可能
- CCP対応で高価なケーブルは不要
SysCheck2の実用動画
SysCheck2搭載 ½″自由音場型マイクロホン 246AE
SysCheck2搭載 ½″自由音場型マイクロホン 246AE
246AEはSysCheck2機能を内蔵した½″自由音場型マイクロホンセットです。マイクロホンカプセルには高い品質を誇るGRAS 40AEを搭載しており、高い感度と高い信頼性を提供します。プリアンプにはGRAS 26CAをベースとしたSysCheck2機能を搭載した特別なプリアンプです。ベースとなった26CAプリアンプは低い自己ノイズ、広い周波数範囲を提供します。
246AE仕様
感度 |
温度範囲
|
---|---|
周波数 |
3.15Hz~20kHz(±2dB)
|
ダイナミックレンジ |
17dB(A)~138dB
|
温度範囲 |
-30℃〜+85℃
|
※-10℃以下でSysCheck2機能を使用する場合には、駆動電流を4mA以上
SysCheck2機能の動作温度範囲は-20℃〜+65℃です。
SysCheck2機能を使用する場合、周囲のノイズレベルが65dBspl未満である必要があります。
SysCheck2搭載 ½″圧力型マイクロホン 246AO
246AEはSysCheck2機能を内蔵した½″圧力型マイクロホンセットです。マイクロホンカプセルには高い品質を誇るGRAS 40AOを搭載しており、オーディオ機器の測定にプリアンプにはGRAS 26CAをベースとしたSysCheck2機能を搭載した特別なプリアンプです。ベースとなった26CAプリアンプは低い自己ノイズ、広い周波数範囲を提供します。
246AO仕様
感度 |
12mV/Pa
|
---|---|
周波数 |
3.15Hz~20kHz(±2dB)
|
ダイナミックレンジ |
25dB(A)~150dB
|
温度範囲 |
-30℃〜+85℃
|
※-10℃以下でSysCheck2機能を使用する場合には、駆動電流を4mA以上
SysCheck2機能の動作温度範囲は-20℃〜+65℃です。
SysCheck2機能を使用する場合、周囲のノイズレベルが85dBspl未満である必要があります。
SysCheck2を使用できるアナライザ
APx500バージョン7.0では、APxユーザーがSysCheck2を実行し、校正器やマイクロホンへの物理的アクセスを必要とせずに、接続したSysCheck2対応マイクロホンごとに合否を表示することができるようになりました。
Audio Precision社APx500 v7.0測定ソフトウェアに接続し、CCPおよびTEDSの読み取り/書き込み機能を持つAudio Precision APxシリーズアナライザ、またはRAS 12BA、12BB、12BEパワーモジュールを組み合わせれば、SysCheck2のフル機能をすぐに使用することが可能です。GRAS SysCheck2とAP製品は高い親和性があり、ユーザーは接続するだけで簡単に使用できます。
※Audio Precision社製品はコーンズテクノロジー株式会社が国内代理店です。
Siemens Simcenter Testlab Signature Acquisitionは、専用のリモートチェック手順を備えたGRAS 246AEマイクロホンで使用するSysCheck2を統合し、現場で以前に行った校正の妥当性をスムーズにチェックできるようになりました。初期校正後、専用のタブでリモートチェックを行うことが可能です。現場にあるすべての246AE SysCheck2マイクロホンをワンクリックで同時にチェックでき、それぞれのマイクロホンの測定値は、基準値としてそのマイクロホンのTEDSに保存されます。
GRASは、ソフトウェア開発キット(SDK)を提供することにより、他のソフトウェアプラットフォームでも完全な機能を提供します。これにより、ソフトウェアプラットフォームによっては、TEDS対応のCCP収集システムですべての機能を簡単に利用できるようになります。SDKは、関連するGRASマイクロフォンの製品ページで入手可能です。
SysCheck2についてのQ&A
TEDSと互換性のあるアナライザをお使いの場合、SysCheck2機能を完全にサポートするSDKが用意されています。そのSDKを使用することで、お持ちのアナライザで使用する事ができます。
GRASパワーモジュール12BXシリーズとパワーモジュール用のユーティリティー・ソフトウェアをご使用してください。
12BXシリーズについてはこちら
246シリーズは他のGRASマイクロホンを同じ基準でHALTテスト(高加速度寿命試験)を行っており、高い耐久性のマイクロホンとなっています。
特別なケーブルやアダプタは不要です。通常のマイクロホンで使用しているケーブルなどをそのまま使用できます。
TEDS対応していないアナライザで使用いただくことはできます。ただしSysCheck2機能は使用できず、通常マイクロホンとして使用することができます。