丸文 | 同期インフラ用語集
こちらのページでは、時刻同期に関連する用語のご説明を記載しております。
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同期インフラ用語集
あ行
●うるう秒
- UTCにおいて、世界時との差を調整するために追加もしくは削除される秒である 。
- 地球の自転を基にした「1秒」と原子時計を基に策定された「1秒」
地球の回転は常に同じ速度ではないため、徐々に2つの「1秒」はズレてしまう
2つの誤差が±0.9秒以内に収めるために「うるう秒」を挿入する必要がある
●位相同期
- 2つ以上のクロック間のタイミングが一致すること
- クロック間のタイミングは一致しているが、間隔を合わせるためには周波数同期が必要
さ行
●時刻同期
- 2つ以上のクロック周波数およびタイミングが一致しており、時刻情報が付与されていること
- ネットワークパケットを利用した同期手法であり、NTP、PTPの2つのプロトコルが存在する
●周波数同期
- 2つ以上のクロック周波数が一致すること
- 2つ以上の間隔は同じだが、タイミングを一致させる場合は位相同期が必要
は行
●発振器
- 特定の周波数を出力できる装置であり、時計やPC等が時間を刻む際のリファレンスとして使用される
- 水晶を用いたものから、ルビジウム、セシウム、水素メーザを用いたハイエンドの発振器もある
- 発振器の種類
●ホールドオーバー
- GPS等の外部リファレンスを参照出来なくなった場合に、周波数発振器によって高精度なクロックを維持する機能
- GPSシステムの冗長化を実現
- 使用する周波数発振器によってドリフト性能は異なる
A
●APTS(Assisted Partial Timing Support) *G.8275.2
- GNSSへのバックアップ、「アシストホールドオーバー」を実施する。
- GNSSはPTPサービスの品質とネットワークの非対称性を監視、GNSSが遮断してしまった際にタイムベースを維持可能
B
●BC(Boundary Clock)
- リファレンス時間を参照することでPDVの蓄積を軽減することが可能
- Sync-Eを使用することで安定性を向上やホールドオーバーを改善可能
- ITU-T標準G.8273.2でT-BCに関する規定が詳細に示されている
E
●ESMC(Ethernet Synchronous Message Channeled)
- ESMC は、クロック品質を識別する品質レベル(QL)値を伝送してノードが最も信頼性の高いソースからタイミングを取得。
- タイミングのループを防止するのに役立ち、同期イーサネットを使用するように設定されている場合、ルータは使用可能な最適なクロック ソースに同期する。
G
●GMC(Grandmaster Clock)
- GPS信号もしくはOCXOなどの発振器より基準信号を受信して、PTPによるネットワーク時刻同期を行うシステムであり、基準時刻の提供元であるマスタークロックと、マスター機器とPTP通信を受信して基準時刻に同期するスレーブクロックとで構成されている。
- 内部に発振器を搭載することで高精度・高安定の周波数(10MHz)とタイムパルス(1PPS)を出力する。またGPS(GNSS)信号が途切れた際は自走状態のときホールドオーバ状態となり、時刻を維持できる機能を備えている。
●GMT
- グリニッジ標準時の略称
- 地球の自転や天体観測に基づいて決められる時刻
I
●IRIG-B
- 米国 Inter Range Instrumentation Group(IRIG)がタイムコードを標準化し、IRIGフォーマット制定
- IEEE-1344はアメリカのIEEEのPower Engineering SocietyのThe Power System Relaying CommitteeがIEEE Std 1344-1995として出版された規格
- 同軸ケーブルによる「周波数・位相・時刻」による同期を実現し、「位相・時刻」の同期精度は10マイクロ秒
- 実装が容易であるが、専用線の設置に伴う設置費用が別途必要
N
●NTP(Network Time Protocol)
- ネットワークパケットを利用し周波数・位相・時刻(ToD)を同期するためのプロトコル
- IETFで標準化:v2 – RFC1119/v3 – RFC1305/v4 – RFC5905
- OSIレイヤー7(アプリケーション)で実現(UDP123番ポート使用)
- クライアントソフトはOSのWindows/Linux/Unix等でも標準で実装
- 一般的な同期精度は、LAN上のサーバ⇔クライアント間でミリ秒レベル
- タイムスタンプ方法:
サーバ⇒ソフトウェア(一般的)
クライアント ⇒ソフトウェア(一般的) - 適用アプリケーション: データセンタ、企業内NW、セキュリティ等
- NTPは階層によって分けられており、Stratum 1~Stratum 16まで存在
- Stratum 0はGPSや原子時計などを指している
- Stratum 16は最下位に当たるので、同期を行うことはできない
P
●PPS(パルス信号)
- 1秒間に1度だけ出力される一定の幅を持った電気の波(矩形波)
- 立ち上がりの揺らぎが少なく、『基準』として使用することが可能
→装置間の位相同期を確認することが可能(位相同期)
●PTP(Precision Time Protocol)
- 物理層、またはパケット層での周波数同期ネットワーク
- ネットワークパケットを利用し「周波数」「位相」「時刻(ToD)」を同期するためのプロトコル
- IEEEで標準化:IEEE1588-2002(version1) および IEEE1588-2008(version2)
- PTPクライアントは末端装置に組み込まれる
- テレコム、電力網、金融など向けに適用 → PTPプロファイルあり
※PTPプロファイル:各アプリケーション(産業・テレコム・電力・放送・金融等)に適した技術要件を定義したもの
●PTP/Full Timing Support *G.8275.1
- パス内のすべてのスイッチ/ルータは「PTP対応」で、ITUT標準に準拠しているT-BCを用いる必要がある
- Sync-E/PTPの組み合わせを使用し、Sync-Eは周波数を提供し、PTPは位相/時間を提供
●PTS(Partial Timing Support)
- ほとんどのルーターはPTPに対応しておらず、タイミングサポートを提供しない
- イーサネット層ではなく、IPネットワークを介してエンドツーエンドで動作する
- 主な目的は、既存のネットワーク上で運用するため
Q
●Quality Level(QL)
- クロックの精度レベルを指定
- イーサネット同期メッセージングチャネル(ESMC)、同期ステータスメッセージ(SSM)を介する
- またはSONET/SDHフレームに含まれるSSMを介してネットワークを介して送信される
S
●SONE(Synchronous Optical Network)/SDH(Synchronuos Digital Hierarchy)
- SONET(同期光伝送網)は米同期伝送網、SDH(同期デジタル・ハイアラーキ)は、ITU-Tが制定した同期網の構成
- メトロ/長距離ネットワークに採用されている主要技術
- 異なる容量のデジタル信号を伝送可能な一群の光ファイバ伝送速度を指す
●Sync-E(Synchronous Ethernet)
- ITU-T G.8261、G.8262、G.8264にて規定されており、イーサネットの物理層(L1)で周波数同期を行う
- 全ノードがSync-E対応の必要あり
- PTP同期のバックアップとしても使われる
T
●TAI(国際原子時)
- セシウム原子や水素メーザの共振によって定義された時刻
- 世界中の研究所で入手したデータはパリにある国際度量衡局によって集計管理されている
●TC(Transparent Clock)
- トランスペアレントクロックはマスタークロックとスレーブクロック間のPTPメッセージを中継する
- 中継にかかる時間を算出、パケット内のCorrection Fieldにその時間を追加することで同期の精度を高める
- 各中継ノードでの同期修正を行うため、多段でも高精度同期が確保可能であるがスレーブクロックが多数となるとマスタークロックの負担が高くなる
●ToD
- Time of Day(●時●分●秒)
※例 10:13:47
●TSN (Time-Sensitive Networking)
- 標準のイーサネットを拡張する産業用ネットワークとIT用ネットワークを相互運用するためのネットワーク技術
- イーサネットベースで時刻の同期が保証され、リアルタイム性を担保できるネットワーク規格
- 既存のネットワークを使用することが可能であるため、有線や無線等の機材や、既存ハードウェアを利用することが可能
U
●UTC(協定世界時)
- TAI(国際原子時)に基づき、地球の自転に合わせるために定期的な調整を行っている
- 地球の回転との誤差を±0.9秒以内に抑える為に、定期的な調整(うるう秒の挿入)を行っている
- 現在において世界の基準となっている時刻
1
●10MHz信号
- 1秒間に繰り返される波の数(周波数同期)
- 受信機にタイミング情報を送信する際、クロック周波数を共有する必要があり、 電子機器の一般的な基準クロック周波数