透明樹脂同士のレーザー溶着は丸文|資料もご用意しております
中赤外波長のレーザー発振器を使用することで、接着剤や吸収剤を使用しない、透明・ナチュラル樹脂同士の溶着が可能となります。接着剤を用いないことで作業環境や自然環境にやさしい接合が可能です。
こちらのページではレーザー樹脂溶着の原理や特長、メリット等を紹介いたします。
レーザー樹脂溶着の原理
レーザー樹脂溶着とは、レーザー光を当てることにより熱を発生させ、樹脂同士を溶かし接合する工法です。
透過性樹脂では、一般的に使用されるレーザー光の吸収がほとんどなく、熱が発生しないため透過性樹脂のみではレーザー樹脂溶着ができません。そのため、透過性樹脂とカーボン等を混ぜた吸収性樹脂を組み合わせ、吸収性樹脂にて熱を発生させます。加圧密着させていることにより、熱が吸収性樹脂から透過性樹脂に伝搬し溶融、透過性樹脂と吸収性樹脂が接合されます。
他工法との比較
樹脂溶着の工法はレーザーの他にも超音波溶着、振動溶着、熱板溶着、接着剤などがあります。
レーザー溶着は、材料の制約が多少ありますが、表のように多くの優位点があります。熱による溶融をさせており、分子間結合をさせているため密閉性が高いことはもちろん、レーザーを使用することにより、超音波溶着などと違い振動が発生しないため、精密部品が溶着箇所の近くにあっても影響を受けません。また、レーザー光が当たっている部分以外への熱ダメージも非常に少ないことが特長です。
接合法 | 超音波溶着 | 振動溶着 | 熱板溶着 | 接着剤 | レーザー溶着 |
外 観 | × | × | × | △ | ◯ |
材料制約 | △ | △ | ◯ | ◯ | △ |
形状制約 | × | △ | △ | △ | ◯ |
内部影響 | △(超音波) | ×(振動) | ×(熱) | △(溶剤) | ◯ |
生産性 | ◯ | ◯ | △ | × | ◯ |
信頼性 | ◯ | ◯ | △ | × | ◯ |
リサイクル | ◯ | ◯ | × | × | ◯ |
作業環境 | △ | × | × | △ | ◯ |
レーザー溶着可能樹脂一例
PS | ABS | POM | PMMA | PA | PC | PET | PE | PP | PVC | |
ポリスチレン | ◯ | |||||||||
アクリルニトリルブタ ジエンスチレン |
◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ||||||
ポリアセタール | ◯ | |||||||||
メタクリル | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ||||||
ポリアミド | ◯ | |||||||||
ポリカーボネート | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ||||||
ポリエチレンテレフ タレート |
◯ | |||||||||
ポリエチレン | ◯ | |||||||||
ポリプロピレン | ◯ | |||||||||
ポリ塩化ビニル | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
熱可塑性の樹脂で同種同士であれば非晶性・結晶性問わずどの樹脂でも接合可能です。
なお、異種材についても組み合わせによっては接合可能な組み合わせはありますが、所望の強度がでない可能性があります。
透明樹脂同士の溶着について
上記の通り説明して参りました樹脂溶着では、吸収性樹脂が必要でした。
その理由は、現在一般的にレーザー樹脂溶着で使用されているレーザーの波長が基本波長と呼ばれる近赤外1μm(1,000nm)付近のレーザーを使用しているからです。この波長では、吸収体などを含まない樹脂はほとんど透過していまいます。
そこで、基本波長より長い波長の2μm(2,000nm)のレーザーを使用します。この波長のレーザーは、基本波長での樹脂溶着で使用した吸収体を含まない透過性樹脂に対しても、熱を発生させることができます。それにより、透過性樹脂同士のレーザー溶着が可能となります。
基本波長(1μm)を用いた溶着とは異なり、樹脂同士の界面ではなくレーザーが入光してくる樹脂の上部から透過と吸収をしながらレーザー光が進み全体的に熱が発生します。
また、樹脂によってレーザーの吸収度合いが異なるため、熱可塑性樹脂ならばどの樹脂でも溶着可能だった基本波長(1μm)と違い、樹脂により向き不向きがあります。
加工サンプル紹介
①三方弁+チューブ
材質 : PP
板厚 : 1mm
概要 : 点滴などに使用される三方弁。
吸収剤を使用せず、チューブが外れないように矢印部を一周レーザー溶着
をしております。
②アクリルケース
材質 : PMMA
板厚 : 2mmと10mm
概要 : アクリル製の平板と角筒をシール溶着し、中に色水を入れております。
③マイクロ流路
材質 : COP x COP
走査回数 : 1回
厚み : 各1mm
結果 : 強固に密着されており、はがそうとするとプレートが割れる
2μレーザーメーカのご紹介
Futonics laser GmbH (ドイツ)
- 産業用2μm帯ファイバーレーザー専業メーカー
- 医療用機器製造・開発で培った技術を基に、透明樹脂材料加工を中心にお客様のご要望に応じた提案を行っております。
発振器概要
- 波長 : 1930nm〜2050nm
- 出力 : 最大250W
- NA : 0.15
- 冷却方式 : 水冷
OPTICAL ENGINES, INC. (アメリカ)
- レーザー機器製造メーカー
- 工業・防衛・宇宙・医療など幅広い分野に向けて製品を供給しているレーザー機器製造メーカーです。お客様のご要望に応じた提案・カスタマイズを行っております。
- 設立: 2005年
発振器概要
- 波長 : 1940nm±10nm
- 出力 : 最大200W
- NA : 0.12
- 冷却方式 : 空冷
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