ミリ波レーダーとカメラの違いとは?メリットやデメリット、応用法など解説
ミリ波レーダーは、自動運転技術などに使用されるセンサーの1つで、車両周辺の状況を検知する役割を担っています。一方、自動運転や先進運転支援システム(ADAS)向けに使用されるカメラは、ルームミラーの裏側などに配置され、進行方向を撮影することで周囲の状況を把握します。
本記事では、ミリ波レーダーとカメラの特徴や役割の違いについて詳しく解説します。ぜひ、自動運転技術におけるセンサーの仕組みを理解するための参考にしてください。
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ミリ波レーダーとは
ミリ波レーダー(またはミリ波センサー)は、ミリ波帯の電波を使用して対象物との距離、速度、角度を測定する装置です。この技術は、1930~40年代に開発されたマイクロ波レーダーを基に進化してきました。
自動車分野においては、ミリ波レーダーは衝突防止や車間距離の維持を目的としたシステムに広く利用されています。
ミリ波の特徴
ミリ波には、主に3つの特長があります。まず、雨や雪、照度変化の激しい環境下でも安定した動作が可能な優れた耐環境性を持っています。
次に、短波長を活用することで、微細な動きまで検出することが可能です。さらに、短波長の特性によってアンテナを小型化できるため、基板面積を削減することができます。
ミリ波レーダーの仕組み
ミリ波レーダーは、高周波のミリ波を使用して対象物を検知します。仕組みとしては、まずミリ波の信号をシンセサイザーと呼ばれる装置で合成します。そして、送信アンテナから発信されたミリ波が物体に反射して、受信アンテナで反射波を受信します。そうして送受信した情報を信号処理することによって、対象物との距離、速度、角度が計算できる仕組みです。
ミリ波レーダーの応用について
ミリ波レーダーは自動車分野に限らず、さまざまな用途で活用されています。不法投棄監視システムでは、不審な車両や人物の動きをリアルタイムで監視し、不法投棄の兆候を捉えることが可能です。また、高齢者見守りシステムでは、人の動きを検出し、転倒などの異常をリアルタイムで通知する機能が提供されています。
さらに、ドローンにも応用され、精密な位置情報の取得や障害物の回避に利用されています。
自動運転車で使用されるセンサーはほかにも
自動運転車では、カメラやミリ波レーダー以外にもさまざまなセンサーが使用されています。それぞれのセンサーが異なる特性を持ち、車両の安全性や効率性を向上させる役割を果たしています。
超音波センサー
超音波センサーは、超音波を発信し、その反射波を受信することで対象物の有無や距離を測定する装置です。音速と発信から受信までの時間を計算することで、対象物までの距離を正確に特定します。
この原理はミリ波センサーと似ていますが、音を利用して動作する点が特徴です。近距離での物体検知に優れ、駐車支援システムなどに広く使用されています。
LiDAR
LiDAR(ライダー)は、光を用いて対象物の距離、速度、形状を測定するセンサーです。近赤外線などの光を走査しながら照射し、反射光や散乱光を解析して物体の位置や形状を把握します。
LiDARは、自動運転技術の実現において重要な役割を果たしており、車両周辺の高精度な3Dマッピングを可能にします。現在、世界中で研究開発が進められており、次世代の自動運転車における中核技術の一つとされています。
GPSセンサー
GPSセンサーは、衛星信号を受信して緯度や経度を測定する装置です。スマートフォンにも一般的に搭載されているこのセンサーは、自動運転車においても重要な役割を果たしています。
特に、自動運転車には現在地を正確に把握するための自己位置推定が不可欠で、GPSセンサーから取得した位置情報が活用されています。
ミリ波レーダー・カメラのメリット
自動運転車や先進運転支援システム(ADAS)において、ミリ波レーダーとカメラはそれぞれの特性を活かし、安全で快適な運転を支えています。それぞれのセンサーが持つメリットを見ていきましょう。
ミリ波レーダーのメリット
ミリ波レーダーの最大のメリットは、雨や霧、雪などの悪天候においても安定した性能を発揮することです。夜間やトンネル内の暗い環境でも正確に物体を検知できるため、さまざまなシチュエーションで信頼性の高い動作が可能です。
また、長距離検知が可能であり、高い直進性を持つため遠方の物体も捉えやすいという特長もあります。さらに、移動中の物体の速度を高精度に計測でき、走行中の車両や歩行者の存在を的確に把握することもできます。
カメラのメリット
一方で、カメラにはミリ波レーダーにはない利点があります。カメラは視覚情報の取得に優れており、色や形状を詳細に認識できるため、人間の目のような役割を果たします。
そのため、道路標識や信号、車線の白線、歩行者の動きなどを正確に把握することが可能です。視覚的な情報が重要な場面では、カメラが大きな効果を発揮します。
ミリ波レーダー・カメラのデメリット
自動運転技術を支えるミリ波レーダーとカメラは、それぞれ優れた特性を持っていますが、同時にいくつかのデメリットも抱えています。ここでは、ミリ波レーダーとカメラの代表的な課題を解説します。
ミリ波レーダーのデメリット
ミリ波レーダーの主なデメリットは、解像度が低い点にあります。対象物の位置や速度を正確に測定できる一方で、詳細な形状や種類を識別するのが苦手です。
また、近距離の小さな物体や微細な動きを正確に捉えることが得意ではないという特徴もあります。さらに、ミリ波レーダーは高性能な部品を必要とするため、超音波センサー等のセンサーと比べ製造コストが高くなることも課題の一つです。
カメラのデメリット
カメラの主なデメリットは、悪天候や照度の影響を受けやすい点です。雨や霧、雪などの気象条件や、逆光や夜間といった暗い環境では精度が低下しやすくなります。
さらに、カメラは距離測定が不得意という課題もあります。単眼カメラでは対象物までの距離を直接測定できないため、複眼カメラやミリ波レーダーなどの他のセンサーとの併用が必要となります。
まとめ
ミリ波レーダーとカメラは、自動運転技術を支える重要なセンサーであり、それぞれに独自の特性を持っています。
ミリ波レーダーは悪天候や暗闇でも安定した検知能力を発揮し、長距離検知や移動物体の速度計測に優れています。一方で、カメラは視覚情報の取得に特化し、色や形状を詳細に把握できるため、信号や標識、車線の認識に大きな役割を果たします。
このような先端技術を支える基盤となるのが、高品質な半導体や電子部品です。
当社で取り扱うミリ波レーダーは、人検知や車両検知、非接触のバイタルサインモニタリングなどの用途に活用されています。防犯設備や介護現場など、幅広い環境で安全性と効率性を向上させるソリューションを提供します。