Vicor社|採用実例【UAV、ドローン】
Vicorの多様な産業用ドローンソリューションをご紹介します。
メディア、通信、配送、農業、検査、監視といった各分野のドローンが直面する、飛行時間の延長や積載量の増加といった課題に対し、Vicorは高効率で小型な電源モジュールを提供することで様々な解決策をご提案します。
監視用UAV
▌お客様の課題と改善目標
監視用ドローンには以下の課題がありました。
【課題】
監視用ドローンは、飛行時間の短さが大きな課題です。高性能なカメラやセンサーは多くの電力を消費するため、広範囲を継続的に監視することが難しいからです。また、多くの機器を搭載しようとすると機体が重くなり、飛行性能に影響が出ます。これらの課題を解決し、生産性を最大化することが求められています。
これらの課題を解決するために、以下の目標が設定されました。
【改善目標】
・飛行時間の延長:高効率化により、バッテリーの持続時間を最大限に延ばす
・電力消費量の多い機能のサポート:UAVのサイズや重量を増やすことなく、高性能な機器に安定した電力を供給する
・高効率と熱管理の簡素化:電力の変換効率を高め、熱管理の負担を軽減する
▌Vicorによる電力供給ネットワーク
監視ドローンは、高性能カメラとセンサーを搭載しながら生産性を最大限に高める必要があるため、UAVのサイズや重量を増やすことなく、これらの電力を大量に消費する機能をすべてサポートし、飛行時間を延長することでより多くの機能を実現する必要があります。
この課題を解決するために、コンパクトなゼロ電圧スイッチング(ZVS)降圧および昇降圧レギュレータを使用し、48VバッテリーをUAVシステム負荷に適した電圧に変換することを提案しました。
また、DCMコンバータモジュールはUAVのバックアップバッテリーを充電し続けることで、冗長性による安全性を確保する構成で採用されています。
農業用ドローン
▌お客様の課題と改善目標
農業用ドローンには以下の課題がありました。
【課題】
農業用ドローンは、作物の監視、施肥、病害虫の駆除など、重いペイロードを長時間搭載し、飛行しながら長時間の散布を行うという、特有の課題を抱えており、高い生産性が求められる産業において、ドローンは広大なエリアを確実かつ安全にカバーしなければなりません。また、これらのドローンには限られたスペースに対して、GPS、ポンプ、レーダーセンサー、ビジョンシステム、そして異なる電圧と電力レベルのフェイルセーフシステムなどを搭載する必要がありました。
これらの課題を解決するために、以下の目標が設定されました。
【改善目標】
・電力供給装置の重量を大幅に削減:ペイロード用の機内スペースを最大限に確保する
・飛行時間の延長:生産性の向上を実現する
・幅広い入力電圧への対応:様々な機器の電圧レベルに対応する
▌Vicorによる電力供給ネットワーク
Vicorの高性能電源モジュールの特徴である小型軽量を活かすことで、ポンプやセンサーなど、任務に必要なアクセサリの搭載を用意に実現できます。同時に、高い効率性により飛行時間が延長し、機体搭載スペースを削減するとともに、熱管理も簡素化することが可能です。
具体的な提案内容としては、高周波ゼロ電圧スイッチング(ZVS)トポロジを採用した、絶縁型・高効率の安定化DC-DCコンバータです。こちらは、広範囲の非安定化入力から動作し、絶縁出力を生成することが可能です。
モジュラーDCMコンバータと下流のVicor ZVS降圧および昇降圧製品は、効率的な電力分配をサポートし、優れた電力システム性能と、様々な非安定化電源から負荷点までの接続性を実現します。
このソリューションを採用することで、課題解決に至りました。
水中ROV
▌お客様の課題と改善目標
水中ROV(遠隔操作型無人探査機)には以下の課題がありました。
【課題】
ROVと母船をつなぐテザー(ケーブル)が長くなるにつれて、電圧降下が深刻な問題となりました。
長距離の低電圧送電は電力損失を招き、ROVのパフォーマンスを維持することが困難なためです。
また、ROV本体の限られたスペースと重量も大きな制約でした。大型のカスタム電源コンバータはROVの積載量を圧迫し、必要なセンサーや機器を十分に搭載することができませんでした。
さらに、電源システムから発生するノイズが、テザーを介したデータ通信を妨害する可能性もありました。これらの課題が、ROVの効率的かつ安定した運用を妨げる要因となっていたのです。
これらの課題を解決するために、以下の目標が設定されました。
【改善目標】
・テザーの延長:電圧降下の問題を解消し、ROVと母船をつなぐテザーを、性能を維持したままより長くする
・スペースと重量の削減:電源システムを小型・軽量化し、ROVのペイロード(搭載可能な機器やセンサー)を最大化する
・通信の安定化:電源システムからのノイズを抑え、テザーを介したデータ通信への干渉を防ぐ
・コストの抑制:高価なカスタム電源ソリューションを避け、効率的なソリューションを導入する
▌Vicorによる電力供給ネットワーク
高電圧(700V)の低損失テザーを使用し、ROV上で低いSELV電圧に変換するソリューションを提案しました。
このソリューションの中心となるBCMは、テザーからの高電圧入力を公称48Vまで絶縁・降圧し、わずか39cm²のスペースで1.5kWの電力を供給します。
これにより、48Vモーターやスラスタ、制御電子機器に電力を供給できるほか、高い効率によって機体内の冷却を簡素化できます。
さらに、ZVS降圧レギュレータが48Vの電力を5Vと3.3Vに変換し、下流の負荷に供給することで、ROVのサイズと重量を最小限に抑え、必要なセンサーペイロードを最大限に活用できます。
この提案により、供給電流と損失が減少し、より細く長いテザーの使用が可能となり、低ノイズ変換トポロジーが通信への干渉を防ぐことにも貢献しました。
有線式ドローン
▌お客様の課題と改善目標
有線式ドローンには以下の課題がありました。
【課題】
長距離での運用では、従来の低電圧送電では電圧降下や電力損失が大きく、十分な電力を供給することが困難です。また、高解像度カメラやセンサーなど、消費電力の大きい高性能な機器を搭載すると、飛行時間が短くなるという飛行時間の制約も大きな課題です。さらに、これらの機器を多く搭載すると、機体全体の重量が増加し、飛行性能に影響を及ぼします。これは搭載能力の制約として、効率的な運用を妨げる要因となっています。
これらの課題を解決するために、以下の目標が設定されました。
【改善目標】
・テザー経由の電力供給の最適化
・高い信頼性を備えた堅牢で高集積な電源の実現
・高電圧から安全な48V SELVへの効率的な変換
▌Vicorによる電力供給ネットワーク
重要な積載スペースを占有しないように、テザーの高電圧を高効率および高電力密度でダウンコンバートできる必要があります。その為に、97%以上の効率で1.8kWの電力を昇圧または降圧できるBCM® モジュールを活用し、HV を SELV に変換する最も効率的な方法を検討しました。
地上局では、BCM4414が単相または三相交流電源からの整流出力を絶縁して48Vに降圧し、2台目のBCM4414は、この48Vを800Vに昇圧し、テザーを介して伝送します。
3台目のBCM4414は、機体に搭載された800Vを48Vに降圧するために使用されます。
この提案により地上電源とUAVのサイズと重量は大幅に削減され、テザー自体の直径と重量を実現しました。
その結果、運用場所への容易な輸送が可能になり、柔軟性と性能が大幅に向上したシステムを生み出しました。
配送用ドローン
▌お客様の課題と改善目標
配送用ドローンには以下の課題がありました。
【課題】
配送用無人航空機(UAV)は、その生産性を高めるために、航続距離の延長や、より重く大きな荷物の取り扱いが求められています。しかし、この要求は複数の課題を生み出します。
第一に、安全性の確保です。混雑した地域での運用では、人や物、そして貴重な貨物の安全を守るため、モーターやナビゲーション、ビジョンシステムなど、主要な機能に複数の冗長電源システムを組み込む必要があります。
第二に、この冗長性が重量の増加を招くことです。安全性を確保するための冗長システムは、機体全体の重量を大幅に増やしてしまい、結果としてUAVの航続距離や積載能力を制限してしまうというジレンマを抱えています。
これらの課題を解決するために、以下の目標が設定されました。
【改善目標】
・高電力密度による小型化と軽量化
・高効率による飛行時間の延長と航続距離の拡大
・小型のVicorレギュレータは、負荷点に複数配置することで冗長性を実現可能
▌Vicorによる電力供給ネットワーク
積載量を増やし、バッテリーへの負担を減らしてスムーズに飛行するためには、機体全体の重量を軽く抑える必要があります。Vicorの ZVS 降圧および昇降圧製品は、電力密度が高く軽量なため、貴重な積載スペースと重量を占有することなく、配送用 UAV の飛行時間を延長するのに最適です。
PI33xx ZVS 降圧および PI37xx ZVS 昇降圧製品は非常に高密度であるため、設計者は複数のポイントオブロードコンバータを組み込むことでケーブル配線を節約できると同時に、複数の電源バスで複数のデバイスに電力を供給し、安全で信頼性の高い配送作業に必要な冗長性を実現できます。