【高精度・高スループット】半導体基板形状測定の決定版 神津精機 Dyvoce(ダイボス)シリーズ
半導体製造プロセスの高度化に伴い、ウエハの形状管理はこれまで以上に重要性を増しています。特に、SiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)といった次世代パワー半導体の製造や、3D実装技術の進展において、μm(マイクロメートル)オーダーでの精密な形状測定は、歩留まり向上と品質保証に不可欠です。
神津精機が提供する表面形状測定装置「Dyvoce(ダイボス)」シリーズは、長年の実績を誇る高精度ステージメーカーならではの信頼性と、最先端のモーションコントロール技術を融合させた、非接触式のウエハ形状測定ソリューションです。研究開発から量産ラインのインライン評価まで、お客様のあらゆるニーズにお応えします。
Dyvoce(ダイボス)シリーズが解決する課題
ウエハの「反り」や「厚みムラ」は、製造プロセスの様々な段階で発生し、後工程に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
- 歩留まりの低下: 反りや厚みムラは、リソグラフィ工程でのフォーカスエラーや、搬送時の吸着エラーの原因となります 。
- 品質のばらつき: 研磨や成膜プロセスで発生する応力により、ウエハの形状は変化します 。この応力を正確に把握・管理できなければ、最終的なデバイスの性能にばらつきが生じます。
- プロセスの非効率化: インラインで形状不良のウエハを検出できない場合、後工程で問題が発覚し、手戻りや生産ラインの停止につながります。
Dyvoceシリーズは、これらの課題を解決するために開発されました。高精度な測定データに基づき、プロセスの診断や品質改善を強力にサポートします 。
ウエハの形状測定で分かること
・インゴットの形状測定
インゴットの曲率情報から大まかな結晶性を推定することができます。
Dyvoceでは、SiCなどのインゴットの形状測定も可能です。
・応力解析ソフトウェア
成膜前後のSORI形状の測定データを用いて、ウェハの直径方向に対して解析ラインを指定し、それぞれのデータの曲率半径と設定パラメータに応じた膜応力の分布を算出します。また、断面ごとのプロファイルデータの算出やレポート出力もおこなえます。
・ウエハの形状測定
ウエハの反りを見ることで、各工程での歩留まり向上・加工プロセスの診断にもつながります。ウエハの反りは、スライス時に作られるものか、その後の工程でのウエハの表面側と裏面側の応力差から発生します。これは、研磨プロセスなどで発生する加工変質層のムラや、成膜工程では成膜面に発生する膜応力が原因です。Dyvoceの測定データを使うと、その応力解析をすることができます。
・インラインのオフライン診断
ウエハの反りによっては、インラインプロセスを通せない場合も出てきます。例えば搬送のロボットハンドや装置の吸着版での吸着エラーです。
Dyvoceでは、枚葉機のワークテーブルをロボットハンドや各プロセス装置の吸着版を模して搭載することができるため、オフライン機でインライン機の評価をすることができます。
・ウエハの反り測定の注意点
ウエハはその名のごとく薄い物体であるため、装置に対してウエハをどうセットするかでウエハの反り形状・反り量が変わってしまいます。特に大口径ウエハや薄いウエハなど、剛性の低いウエハの場合それが顕著に表れます。現在、装置間で反り形状・反り量の相関が取れなくなっているのはこれが原因です。
そのため、Dyvoceでは装置内にウエハを3点の支持点上に水平配置して、表面が上向きの状態・裏面が上向きの状態の2つの測定結果から自重たわみを補正して、真値に近いウエハの反り形状・反り量を計測することができます。また、モデルデータを使用することで、表面片面のみの測定でも自重たわみを補正することもできます。


・ベアウエハの応力解析ソフトウェア
ベアウエハの形状データから、ウエハの持つ応力を解析します。
ウエハの厚さ測定でわかること
・ウエハの厚さ測定
ウエハの厚さを見ることで、各工程での歩留まり向上・加工プロセスの診断にもつながります。この厚さの制御ができないと、ウエハを吸着する露光工程でのフォーカスエラーなどにつながります。
・成膜の厚み測定
厚みムラ
成膜された各膜のGBIRを測定することができます。
・サイト評価での厚み測定
ウェハをカッティングした際の各サイトの厚みムラを測定できます。
・ウエハの厚さ測定の注意点
ウエハの厚さ測定は色々な測定方式があります。
それぞれで一長一短があるので、注意が必要です。
Dyvoce(ダイボス)シリーズの主な特長
Dyvoceシリーズは、測定対象や生産体制に合わせて最適なモデルを選択いただけます。
1. 自動機 CtoC対応:DY-2000RC/DY-3000RC
量産ラインに最適な、カセット・ツゥ・カセット(CtoC)方式の全自動測定装置です 。
- ハイスループット測定: 自動搬送により、人手を介さずに連続測定が可能。生産性を最大限に高めます 。
- 最大12インチウエハ対応: 業界標準の300mmウエハに対応し、SEMI規格に準拠した測定が可能です 。
- オンライン対応: SECS/GEM/GEM300に対応しており、OHT(天井走行式無人搬送車)によるカセット搬送も可能です 。
- カスタム対応: TAIKOウエハの特殊形状測定や、ロードポート数の変更など、お客様の仕様に合わせたカスタマイズが可能です 。
2. 手動機 枚葉型:DY-3001YM
研究開発やオフラインでの詳細な評価に最適な、手動式の枚葉型測定装置です 。
- 多様なサンプルに対応: 最大300mmまでのウエハはもちろん、IGBTモジュールや電子基板部品など、様々な種類のサンプルに対応します 。
- インライン機のオフライン評価: 装置のワークテーブルを、実際の製造ラインで使われているロボットハンドや吸着プレートを模した形状にすることで、インラインで発生する問題をオフラインで事前に評価・診断できます 。
共通の特長
- 非接触レーザ変位計: 測定対象に合わせた最適なレーザ変位計を用いることで、デリケートなウエハを傷つけることなく、高精度な測定を実現します 。
- 多彩な測定項目: 表面形状(SORI、Bow、Warp)や厚さ(TTV)はもちろん、GBIR(裏面全面基準理想サイト形状)、応力(たわみ)測定など、SEMI規格に準拠した多角的な評価が可能です 。
- 豊富な対応材質: Si(シリコン)をはじめ、SiC、GaN、Ga2O3(酸化ガリウム)、LT/LN(タンタル酸リチウム/ニオブ酸リチウム)、サファイア、ダイヤモンドなど、多種多様な材質の測定実績があります 。
Dyvoce(ダイボス)シリーズのアプリケーション事例
Dyvoceシリーズは、半導体製造のあらゆるプロセスでその性能を発揮します。
ウエハ加工プロセスの診断
- 用途: スライス、研磨、ポリッシングなど、各加工工程後のウエハの反り(Warp, Bow)や形状を測定します 。
- 活用法: 加工プロセスによって生じる応力や加工変質層のムラを可視化します 。これにより、加工条件の最適化や装置のメンテナンス時期の判断が可能になり、歩留まり向上に直結します 。
成膜プロセスの品質管理
- 用途: 成膜前後のウエハ形状を測定し、その差分から膜応力を解析します 。
- 活用法: 専用の「膜応力解析ソフトウェア」を用いて、成膜面に発生する応力の分布を正確に算出します 。これにより、成膜プロセスの品質を定量的に管理し、デバイスの信頼性向上に貢献します。GBIRを測定することも可能です 。
リソグラフィ工程でのフォーカスエラー防止
- 用途: 露光工程前のウエハの厚さや厚みムラ(TTV)を精密に測定します 。
- 活用法: ウエハの厚さが均一でないと、吸着時にフォーカスエラーが発生し、パターン転写に失敗する原因となります 。Dyvoceで事前に厚みを制御することで、露光工程の歩留まりを大幅に改善できます。
TAIKOウエハの形状測定
- 用途: 裏面研削後のTAIKOウエハ特有のエッジ(外周部)形状を含む、全体の形状を測定します。
- 活用法: TAIKOプロセスはウエハの剛性を著しく低下させるため、反りや応力の管理が極めて重要です。Dyvoceはカスタム対応により、こうした特殊形状のウエハも高精度に測定し、プロセスの安定化に貢献します。
高精度測定を支える技術と知見
ウエハの反り測定における注意点と解決策
ウエハは非常に薄く、特に大口径化や薄化が進むと、自重によってたわんでしまいます。
そのため、「どのようにウエハを保持するか」によって測定される反りの形状や量は大きく変わってしまいます 。これが、測定装置間でデータの相関が取れない大きな原因でした 。
Dyvoceシリーズでは、この問題を解決するため、
ウエハを3点の支持点で水平に配置する方式を採用しています 。さらに、重力による歪みをキャンセルするための「重力補正」機能を搭載 。これにより、ウエハ本来の形状を正確に捉え、再現性の高い測定を実現します。重力補正には、代表的なウエハを用いる方法や、表裏の反り情報から算出する方法など、複数の手法が用意されています 。
これらのツールにより、単なる形状測定に留まらず、プロセスへの深い理解と改善につながる洞察を得ることが可能です。
ご興味をお持ちいただけましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。お客様の課題解決に向け、最適なソリューションをご提案いたします。
関連商品
表面形状測定装置 Dyvoce
表面形状測定装置 Dyvoce (ダイボス) シリーズは、被測定ワークに合わせたレーザー変位計を用いる 非接触形状測定システムです。
使い易さを追求した機能、シンプルなユーザーインターフェースを装備し、高精度ステージメーカーならではの高い信頼性とモーションコントロール技術により、様々な測定を可能にします。