【放送・コンテンツ・通信事業様必見】コストと時間を大幅削減!映像評価ソリューションとは?
スマートフォンでの動画視聴が当たり前となり、私たちの映像体験はかつてないほど豊かになりました。しかしその裏側では、コンテンツ配信事業者や通信事業者、デバイスメーカーが「いかにして最高の映像体験を届けるか」という課題に直面しています。これまでの「動画品質」の評価は、コストや時間、再現性の面で多くの困難を伴ってきました。従来の手作業評価では、増大する動画コンテンツと多様な視聴環境に対応することは出来ません。この記事では、この課題を解決する画期的な技術として、AIを活用した「動画品質評価」について、初心者の方にも分かりやすく、解説していきます。
2.なぜ動画品質は劣化するのか?~アーティファクトの発生原因~
私たちが普段目にする動画コンテンツは、撮影されてからディスプレイに表示されるまで、大きく分けて
「①エンコード(圧縮)」「②伝送」「③デコード(復元)&表示」というプロセスを辿ります 。この各段階で、様々な要因によって「アーティファクト」と呼ばれる映像の劣化が生じる可能性があります 。
•主なアーティファクトの種類
- ブロックノイズ(Blockiness): モザイクのようなブロック状のノイズ。圧縮率が高すぎると発生しやすい。
- ぼやけ(Blurriness): 映像全体のシャープさが失われ、不鮮明になる。
- ティアリング(Tearing): 画面が途中で上下に引き裂かれたように見える現象。
- フリーズ(Freezing): 映像が一時的に静止してしまう現象。
特にYouTubeやNetflixのようなストリーミングサービスでは、ABR(Adaptive Bitrate)という技術が広く使われています。これは視聴者の通信環境に応じて配信される映像のデータ量(ビットレート)が動的に調整される仕組みです。通信状況が悪化すると、スマートフォンなどのクライアントはサーバーに対して低ビットレートの映像を要求します。これにより、過度に圧縮された映像が再生され、ブロックノイズやぼやけの発生、最悪の場合、データの受信が追いつかずに映像が停止(フリーズ)してしまいます。
3.客観的な動画分析の必要性
近年、4K/8Kの高解像度映像や、Netflixに代表されるOTT(Over-The-Top)ストリーミングサービスが普及し、ユーザーはいつでもどこでも映像体験を行うことが出来るようになりました。特に、通信環境が刻々と変化するモバイルネットワーク上での動画品質保証は困難を極めます。映像の”きれいさ”や”快適さ”を示す「動画品質」は、これまで専門家が実際に映像を見て評価する主観的な手法や、元の映像(参照動画)と比較する手法が一般的でした。しかし、これらの手法には「コストが高い」「評価に時間がかかる」「そもそも比較対象の元映像が手に入らない」といった大きな課題がありました 。
4.動画品質を測る従来の3つのアプローチ
このように複雑な要因で変化する動画品質を、機械的に測定するにはいくつかの方法があります。これらは大きく4つのカテゴリに分類されます。
1.パケットベース評価
ネットワークを流れるデータ(パケット)のビットレート、遅延、損失率などを監視し、そこから映像のフリーズや解像度の変化を「推測」する手法です。
2.フレーム測定
映像を構成する一枚一枚の絵(フレーム)の連なりを分析し、フレームの欠落やカクつき、音と映像のズレ(リップシンク)などを検出します。
3.ピクセル比較(Full-Reference)
劣化のない元の「参照動画」と、実際に受信した動画をピクセル単位で比較し、その差分から品質を評価します。非常に正確ですが、比較対象となる参照動画が常に必要という大きな制約があります。(多くのOTTサービスでは参照動画の入手が困難なため、この手法の適用は限定的です 。)
5.映像評価ソリューション導入のメリット
ここでは映像評価ソリューションを導入するメリットについて解説します。
Non-Reference評価
従来の多くの高精度な動画品質評価手法は、評価対象の動画と完全に同じ「劣化していない元の動画」が必要でした。しかし、AIを活用した映像評価ソリューションでは、元動画なしに、「この映像は粗い」と判断出来るように映像そのものからアーティファクトを検出し、受信した動画データそのものから品質を評価出来ます。
評価プロセスとコストの大幅な効率化・自動化
従来の主観評価(人間が目視で評価)は、時間と人件費がかかり、結果も評価者によってバラつきがありました。映像評価ソリューションでは、自動で品質をスコアリングするために、評価にかかる時間とコストを劇的に削減出来ます。
6.応用事例~客観的な動画品質評価がビジネスを変える~
この動画品質評価がどのようなケースで活用できるかについてご紹介します。
•通信事業者
自社のモバイルネットワークが、競合他社のネットワークと比較して、特定の動画サービス(例:HBO、Netflix)をどれだけ高品質に配信できているかを客観的な数値でベンチマーキングできます。
•デバイスメーカー
スマートTVやセットトップボックス、AR/VRディスプレイなどの開発において、ソフトウェアのアップデートが動画再生品質に悪影響を与えていないかを、開発ラボで迅速かつ自動的にテスト(リグレッションテスト)できます。
•コンテンツ/ゲームプロバイダー
自社の動画配信サービスやクラウドゲーミングサービスが、劣悪なネットワーク環境下でどのように動作し、ユーザーの体感品質(QoE: Quality of Experience)がどう変化するかを正確に把握し、サービスの改善に役立てることができます。
7.まとめ
映像評価ソリューションは、放送、コンテンツ、通信事業者などが直面する、品質維持、自動化といった課題に対する画期的な手法です。具体的にはSpirent社のUmetrix Videoを活用し、ユーザーへの高品質動画の提供、映像評価プロセスの効率化などの実現に努めてまいります。丸文では、映像評価ソリューションはもちろん、最先端製品を数多く取り揃えており、お客様に最適なソリューションの導入を支援いたします。