Mokuとは?
Mokuシリーズはオシロスコープやロックインアンプ、ファンクションジェネレーター、PIDコントローラーなど、14の計測機能を一つの筐体から実行できる多機能計測器です。
周波数を時間領域でも周波数領域でも見たい…というような方や、複数の計測器導入をお考えの方、計測環境構築に苦戦している方などにおすすめです。
多機能計測器:Mokuでできること
14の高性能計測器とシンプルなソフトウェアにより、研究開発の現場を快適にします。
オシロスコープやファンクションジェネレーターの機能はもちろん、データロガーやロックインアンプなどの機能も搭載しています。無料でダウンロードできるソフトウェアは、シンプルな設計になっており、ノンエキスパートの方でも安心してご使用していただけます。Mokuのソフトウェアは、パソコンだけでなくタブレットにも対応しており、Wifiを介して無線で測定を行うこともできます。また、Python、MATLAB、LabVIEWのAPIにも対応しております。
Mokuシリーズ性能比較
Mokuシリーズは現在4つの製品があり、それぞれハードウェアの違いとなります。
最も大きな違いは入出力チャンネルと周波数帯域です。
詳細は下記の表をご確認ください。
製品画像 | ![]() |
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重さ | 0.8 Kg | 1.6 Kg | 6.7 Kg | 10.2 Kg |
横×奥行き×高さ | 24cm×13cm×3.8cm | 20cm×20cm×4.4cm | 44cm×33cm×7cm | 44cm×37.1cm×8.7cm |
アナログ入力チャンネル アナログ帯域幅 インピーダンス 入力範囲 |
2チャンネル 30MHz 1MΩ 最大±25V |
2チャンネル 200MHZ 50Ωまたは1MΩ 最大±5V |
4チャンネル 600MHz 50Ωまたは1MΩ 最大±20V |
8チャンネル 2GHz 50Ωまたは1MΩ 最大±20V |
アナログ出力チャンネル 出力範囲 アナログ帯域幅 |
2チャンネル 最大出力範囲±5V 20MHz |
2チャンネル ± 1 V(50 Ω) 300MHz |
4チャンネル ± 5 V(50 Ω) 500MHz |
8チャンネル ± 500 mV(2 GHzまで、50 Ω)、± 5 V(100 MHzまで、50 Ω) 2GHz |
追加ポートと接続 | USB-C、オプションのイーサネットポート (10/100 Base-T) |
USB Mini B、SDカードスロット、 10 MHzリファレンス入出力、イーサネットポート(10/100 Base-T) |
USB-C、10 MHzリファレンス入出力、イーサネットポート(10/100/1000 Base-T) | USB-C、10/100 MHz リファレンス入出力、 GPSDO、100 Gb QSFP+、10 つの 1 Gb SFP+、XNUMX Gb イーサネット、取り外し可能な Wi-Fi ドングル |
内部記憶装置 | 8 GB | 16GB SDカード | 240GB SSD | 1TB SSD |
デジタルI / O | 16チャンネル、125 MSa/s | 専用TTLトリガーポート | 専用TTLトリガーポート | 32チャンネル専用TTLトリガーポート |
搭載機能 | 全14機能 ・標準機能(6種) ロジックアナライザ オシロスコープ スペクトラムアナライザ ファンクションジェネレータ 任意波形発生器 データロガー ・オプション(8種)全14機種搭載フルモデル ロックインアンプ レーザーロックボックス フェーズメーター FIRフィルタビルダー PIDコントローラ 周波数応答アナライザ デジタルフィルターボックス タイム&周波数応答アナライザ |
全14機能 ・標準機能(5種) オシロスコープ スペクトラムアナライザ ファンクションジェネレータ 任意波形発生器 データロガー ・オプション(9種)全14機種搭載フルモデル ロックインアンプ レーザーロックボックス フェーズメーター ロジックアナライザ FIRフィルタビルダー PIDコントローラ 周波数応答アナライザ デジタルフィルターボックス タイム&周波数応答アナライザ |
全14機能 ・標準機能(5種) オシロスコープ スペクトラムアナライザ ファンクションジェネレータ 任意波形発生器 データロガー ・オプション(9種)全14機種搭載フルモデル ロックインアンプ レーザーロックボックス フェーズメーター ロジックアナライザ FIRフィルタビルダー PIDコントローラ 周波数応答アナライザ デジタルフィルターボックス タイム&周波数応答アナライザ |
全14機能 ・標準機能(6種) ロジックアナライザ オシロスコープ スペクトラムアナライザ ファンクションジェネレータ 任意波形発生器 データロガー ・オプション(8種)全14機種搭載フルモデル ロックインアンプ レーザーロックボックス フェーズメーター FIRフィルタビルダー PIDコントローラ 周波数応答アナライザ デジタルフィルターボックス タイム&周波数応答アナライザ |
多機能を活用したマルチインスツルメンツモードとは?
オールインワンを活用した計測機能の同時展開
Mokuに標準搭載されているマルチインスツルメンツモードは、計測機能の中から最大 8 つの機能を同時に実行することが可能です。
たとえば、ファンクションジェネレーターをシステムの入力信号として使い、PIDコントローラでシステムの出力を制御する「閉ループ制御」のシステムを作成し、ロボットアームやモーターの制御アルゴリズムの構築したり、マイクロホンなどからの入力信号をオシロスコープで観測し、同時にロックインアンプで特定の周波数に埋もれた微弱な信号を検出・分析したりすることなどが可能です。
計測機能の順序や設定は、ユーザーで簡単に変更することができます。
※Mokuシリーズによって設定可能な計測機能数は異なります。
クラウドコンパイル機能について
カスタムの計測器やアルゴリズムを、クラウド経由で簡単に実装
Moku Cloud Compileを使用すると、VHDLまたはVerilogコードをMokuデバイスにデプロイできます。すべてのMokuシリーズにはFPGAが搭載されており、計測環境をカスタマイズすることが可能です。通常、FPGAカスタマイズには専門的なハード記述言語の知識が必要ですが、Mokuシリーズではブラウザから計測器にカスタマイズ機能を実装することが可能となります。
使用例1
Moku:Labを用いてダークマターを解明する
ダークマターは宇宙の質量の80%以上を占めると推定されており、物理学分野における最大の謎のひとつとなっています。アルバータ大学の研究グループは、NEWS-G(New Experiments with Spheres – Gas)実験と共同で、ネオンガスとメタンガスを含む球形比例計数管と呼ばれる検出器の開発に取り組んでいます。測定性能、柔軟性、コンパクトな設計の組み合わせに基づいて、研究グループはMoku:Labを選択しました。 Moku:Labのロックインアンプを使用して非常に小さな信号を検出、検出器内のメタンをオシロスコープで測定しています。
使用例2
原子時計の精度を支えるMoku:Pro
コロラド州立大学の研究グループは、トラップイオンベースの光原子時計の研究において、その精度を阻害する微小な外部摂動(マイクロモーション)を最小限に抑えるという課題に直面していました。従来の技術では検出が困難だった微小なイオンの動きを正確に測定するため、同グループはMoku:Proを導入しました。
Moku:Proの「タイム&周波数アナライザ」機能は、イオンの残留微動量を正確に測定するために使用されました。これにより、イオンが微小運動によって理想的なトラップの中心からずれていないかをチェックし、適切な補正措置を適用することが可能となりました。さらに、散乱光子の検出とトラップ駆動RF信号のゼロ交差との間の時間間隔を繰り返し測定することで、光子散乱イベントのロックイン検出を実行し、相互相関測定を実装する便利な構成を提供しました。
このように、Mokuのタイム&周波数アナライザの精密な時間解析機能が、原子時計の精度と安定性を維持するための重要な技術を開発する上で不可欠な役割を果たしています。