大気圧プラズマによる表面改質-その適用事例の紹介(金属編)-
前回は、樹脂材料における大気圧プラズマによる表面改質についてご紹介しましたが、今回は金属材料についての適用例をご紹介しましょう。
様々な分野で樹脂材料の適用が進んでいるとは言え、金属材料も相変わらず多くの分野で使用されており、更にはその種類も増えてきています。
元来、金属材料では「溶接」という工程が一般的でしたが、適用箇所、適用部位、材質が増えてきており、「溶接」では適用できない箇所への「接着」の必要性も徐々に高まってきました。もちろん金属材料においても、樹脂と同様に接着や塗装を行う際には、洗浄や油膜の除去、表面粗しなど事前の表面処理が非常に重要となります。
そこで今回は、大気圧プラズマを使用した表面改質について、実際の代表的な金属材料を使用した処理効果、濡れ性の向上のデータをいくつかご紹介していきます。
①アルミダイカスト(ADC12)
鋳造性、強度、被削性(切削加工のしやすさ)、熱伝導性のバランスが非常に良いことが特徴で、特に自動車業界などでよく使用される金属材料ですが、表面の酸化膜や加工状態、油膜などにより、前処理が必要となることも多いです。しかし下記のように大気圧プラズマを照射することで、濡れ性が飛躍的に向上することが確認できます。
②Al-Mg系アルミニウム合金(A5052)
市場に広く流通しており、入手しやすい汎用性の高い素材で、産業用ロボットや半導体装置、電子筐体、建材など幅広い用途で使われています。やはり、表面の洗浄や脱脂など前処理が必要なことが多く、大気圧プラズマを使用することで下記のように濡れ性が向上します。
③オーステナイト系ステンレス鋼(SUS304)
加工しやすく、錆びにくく、耐食性に優れるため、最も広く使われる汎用ステンレス鋼種ですが、接着や塗装の前処理が必要になることも多い材料です。
こちらも大気圧プラズマを使用することで濡れ性を向上させることができます。
④その他処理効果が見込める金属材料
この他にもまだまだ多くの金属材料がありますが、Al-Mg-Si系アルミニウム合金(A6061)、Al-Cu系アルミニウム合金(A2024)、フェライト系ステンレス鋼(SUS430)、オーステナイト系ステンレス鋼(SUS301,SUS316)、機械構造用炭素鋼(S45C、S50C)、チタン(Ti)、金(Au)、白金(Pt)銅(Cu)、すず(Sn)、圧延鋼板(SPCC,SPHC)など、多くの材料での処理効果を確認しています。
⑤評価テストのおすすめ
金属材料にプラズマ処理を行うことで表面の濡れ性が向上すれば、基本的には接着や塗装の前処理として適用できる可能性が高くなります。しかし、あくまでも最終的に必要なのは接着強度や密着強度の改善になりますから、実際に大気圧プラズマを使用した評価テストを実施し、実際に使用する接着剤や塗料との組み合わせで、その効果を詳細に確認していただくことが必要です。
丸文とFUJIではこのようなお客様のテストをお助けする目的で、東京および愛知県にプラズマのラボを設けています。
※東京 丸文 ラボ
※愛知県 FUJI 本社 ラボ
いずれのラボでも、評価にはスタッフがお付き合いしますので、是非お気軽にお試しください。
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