商品基礎情報
★パワエレ市場の縁の下の力持ち
パワエレ市場は今、「400Vから800Vへ」という大きな転換点にあります 。従来の汎用部品の延長線では、機能・コスト・サイズで差別化を図ることは困難です。そこでご紹介したいのが、特定のアプリケーションで市場をリードする「縁の下の力持ち」、TE Connectivity(以下、TE社)のリレー・コンタクタです 。
★産業用リレー・コンタクタ
リレー・コンタクタは、ONとOFFの状態を作るための接点とその状態を制御するためのコイルからなる物理スイッチです。接点でOPEN/CLOSEの2状態を作成し、その設定を動かすために電磁力を使うというのが、このスイッチの基本動作です。
以下の図が概略図で、コイルに電流を流すと磁力によりアマチュアが鉄心に引かれます。そうするとアマチュアにつながったカードが接点を押し、スイッチが開放状態から接触状態に変わります。以上のようにリレー・コンタクターは先に説明したように磁力で金属の接点を物理的に動かしてスイッチのON/OFFを制御します。このため、絶縁性が高く、大電流や高電圧が取り扱えますが、スイッチング動作が遅く、さらに接点を持つために摩擦によるスイッチとしての機能に寿命があります。
一方、スイッチというと、FET(電界効果トランジスタ)も同じように小さな信号で大きな電力をON/OFFするスイッチです。FETは「ゲート」と呼ばれる端子に電圧をかけることで、内部の電子の流れを制御し電気的に回路を導通させます。このため、スイッチング動作は早く、物理的なON/OFFの接点を持たないため、スイッチング動作に伴うデバイスの破壊はありません。この反面、絶縁性や大電力を扱うのは苦手です。以上より、2種類にスイッチは、高速のスイッチングにはFETを用いて、電源のON/OFFや回路の切り替え等の確実にON/OFFが必要な部分にはリレー・コンタクタを使います。
特に近年のパワエレ市場においては、電源のON/OFFだけではなく、主電源とバックアップ電源の切り替えや充電回路と放電回路の切り替えなど、産業機器の電動化用途で重要なスイッチとして活躍しております。主な活躍分野は以下の通りです。
- 電動化市場: 電気自動車(EV)の普及に伴い、バッテリーの充放電を制御する高電圧DCリレー(EVリレー)の需要が爆発的に伸びています
- 再生可能エネルギーと蓄電市場: 太陽光・風力発電システム、およびエネルギー貯蔵システム(ESS)において、大電流を安全に遮断できるDCコンタクタの重要性が高まっています
- 産業オートメーション市場: 製造現場でのロボット導入や自動化が進み、省スペースかつ高信頼性な制御リレーのニーズが継続しています
このように、リレー・コンタクタは、主電源や充放電の切り替えなど近年の産業用の製品には無くてはならない名脇役として存在していますが、脱炭素化とインダストリー4.0の潮流を受け、従来の「単なるスイッチ」から「高付加価値なインテリジェント・コンポーネント」へと劇的な変革期にあります。
世界のリレーおよび産業用制御機器市場は着実に拡大しており、2026年には約1,611億ドル規模に達すると予測されています。また、センサーや通信機能を内蔵し、稼働状況をリアルタイムで監視。摩耗状態を検知して故障前に通知する予知保全(Predictive Maintenance)への対応が進んでいます。電気的な特性としては、高電圧・大電流対応(HVDC)が進んでいます。
★リレー・コンタクタの役割
物理的な設定を持つスイッチとして、リレー・コンタクタとして説明してきましたが、ではリレーとコンタクタは何が違うかというと、リレーが小電力用でコンタクタが大電力用という違いがあります。各々の素子の特長は以下の通りです。
リレーは、一般的な電圧で使われる通常リレーと高電圧用途で使われる高電圧リレーに分かれます。通常のリレーは接点間の距離が数mm程度と小さく、50V以下の一般的な回路で用いられます。主に接点の切り替え回数を考慮して作られた小型の製品となります。
一方、高電圧リレーは数百Vの電源の切断を目的に作くられており高い絶縁性能を持ちながら、非常にコンパクトに設計されています。一般的に接点間に真空やガスを封入することで、小さな隙間でも高電圧(数kV)を遮断できるよう設計されています。主な用途は、電気自動車(EV)の絶縁監視回路やDC急速充電器の内部回路など、高電圧ではあるが電流はそれほど大きくない箇所に使われます。
一方、コンタクタは大きな電流が流れている回路を安全に切り離すためのスイッチです。大電力を安全にスイッチングするために、アークを対策の機能や特殊なガス封入構造が備わっており、万が一の短絡時にも接点が溶着しにくい設計や、確実に回路を遮断する耐久性を備えています。用途としては、 EVのメインバッテリーのプラス・マイナス側に配置され、車両のシステム全体を起動・停止させるメインスイッチとして機能します。
表 デバイスの違い
| 項目 | リレー | コンタクタ | |
| 通常 | 高電圧 | ||
| 主な役割 | 制御信号の伝達、絶縁監視、小規模負荷 | 産業用蓄電池、小型EV | モーター、バッテリー、インバータの主電源開閉 |
| 定格電流 | ~30A | 50A〜200A | 高い(数十A ~ 1000A以上) |
| サイズ | 小型・軽量 | 中型・軽量 | 比較的大きく、堅牢な構造 |
| 接点構造 | 1線切り(単接点)が多い | 1線切り(単接点)が多い | 2線切り(複接点)やアーク消去機構が一般的 |
ここで、リレー・コンタクタで重要な要素となるアーク放電について追加の説明をしておきます。「アーク放電」を一言で言えば、「本来は電気が流れないはずの空気中を、電気が無理やり突き抜けて流れる現象」のことです。身近な例でいうと、冬場の「静電気のパチッ」や、空に光る「雷」もアーク放電の一種です。リレーやスイッチの内部で起きる仕組みを簡単に噛み砕くと、以下のようになります。
通常、空気は電気を通さない「絶縁体」です。しかし、電気が流れている接点を引き離そうとすると、その瞬間に強い電圧がかかり、空気中の分子がプラスとマイナスにバラバラになります。すると、そこが一時的に「電気の通り道」になってしまい、接点が離れているのに電気が流れ続けてします。アーク放電は単なる光ではなく、非常に激しいエネルギーを持っており、この放電によって温度は数千度から2万度に達し、リレーの金属接点がドロドロに溶けたり、蒸発したりします。
では、リレー・コンタクタにおいて、アーク放電がどこで発生するかというと、電気を切る瞬間に接点において発生します。電圧が低い(12Vや24V)場合は、少し離れればアーク放電はすぐに消えます。しかし、高電圧(400V以上など)になると、アークが非常に強力で長く伸びるため、普通の構造では「電気を切りたくても切れない(火花が消えない)」という極めて危険な状態になります。そのため、前述した「磁石で引き延ばす」や「ガスで冷やす」といった消弧技術が、高電圧リレーには不可欠な技術となります。
そんなアーク放電を押さえる技術を有するメーカーがTE社になります。
★リレー・コンタクタの製品ラインアップ
TE社は、世界最大級のリレーおよびコンタクタのラインアップを誇るメーカーです。その製品ラインアップを用途別に整理してまとめます。
1. 産業・汎用リレー (Industrial & General Purpose)
工場設備、ビル自動化、制御盤などで広く使用される標準的なリレーです
- 主な種類: パワーリレー: 基板実装型からパネルマウントまで、中~大電流の切り替えに対応
- フォースガイドリレー: 安全回路(非常停止など)に不可欠な、接点の溶着を検知できる構造を持つリレー
- 信号用リレー: Axicomブランドを中心とした、通信や精密計測向けの微小電流用リレー
代表型番:3-1393789-7, 6-1393098-2, 1423794-1
2. 自動車・EV用リレー/コンタクタ (Automotive & EV)
ガソリン車の電装品から、電気自動車(EV)の高電圧バッテリー遮断まで対応します
- 主な種類: プラグイン/PCBリレー: ワイパー、ライト、パワーウィンドウなどの制御用
- 高電圧DCコンタクタ (EVCシリーズ): EVのメインバッテリー回路用。1,000V近い高電圧の遮断が可能です(EVC 135, 175, 250, 500など)
- プリチャージリレー: 高電圧回路の起動時に突入電流を防ぐ小型のDCリレー
代表型番:1393292-5, 3-1414937-3, 2395367-1
3. 航空宇宙・防衛・過酷環境用 (Aerospace, Defense & Marine)
極限状態(高温、振動、高高度)での信頼性が求められる分野です
- 主な種類: 高電圧・真空リレー (Kilovac): 真空封止技術により、小型ながら数万ボルトの絶縁や遮断が可能です
- MILスペックリレー (CII): 米軍規格に適合した超信頼性リレー
- AC/DCコンタクタ (HARTMAN): 航空機の電力分配に使用される大型コンタクタ
代表型番:1618002-1, 1393139-4, 1616005-1
4. 特殊コンタクタ (Specialized Contactors)
特定の産業用途に最適化されたモデルです。
- 主な種類: 定格目的コンタクタ (Definite Purpose): HVAC(空調)や冷凍機のコンプレッサー、ファン制御に特化
- DCコンタクタ (LEVシリーズ): フォークリフト、ゴルフカート、太陽光発電システムなどのDC電源管理用
表 リレー・コンタクタの種類
| ブランド名 | 得意とする製品・分野 |
| Potter & Brumfield | 産業用汎用リレー、回路保護 |
| SCHRACK | パワーリレー、安全リレー(フォースガイド) |
| Kilovac | 高電圧DCリレー、真空リレー(EV・航空宇宙) |
| Axicom | 信号用リレー、通信・計測 |
| HARTMAN | 航空機用コンタクタ(大容量・軽量) |
| CII | 防衛・宇宙用小型リレー(MIL規格) |
★まとめ
2026年には約1,611億ドル規模に達すると予測されるリレー市場 。摩耗状態を検知する予知保全対応など、コンポーネントはインテリジェント化しています 。
丸文では、世界標準の技術を持つTE製品から、お客様に最適な選定を提案します。また、他のリレーサプライヤーの相当品や互換品等もお調しますので、お気軽にお問い合わせください 。