商品基礎情報
ロボットとロードセルの関係
近年、飲食店での配膳ロボットをはじめ、工場や物流倉庫で活躍する自律走行搬送ロボット(AMR)や無人搬送車(AGV)を身近に見かける機会が増えました。
これらの自動化機器には多くの半導体やセンサーが搭載されていますが、中でも「ロードセル」は単に重さを測るだけでなく、対象物を適切につかむ・離すといった『触覚(力覚)』を機器に与えるための不可欠なデバイスとして、その重要性を増しています。
一方で、ロードセルは専門的な製品であるため「どの方式やモデルを選べばよいかわからない」という声も少なくありません。そこで本記事では、ロードセルの基礎知識と、グローバルなセンサーメーカーであるTE Connectivity社の高信頼性ロードセルラインアップをご紹介します。
ロボットにおけるロードセルとは?(基本原理と種類)
ロードセルを一言で表すと「加わった力(荷重)を電気信号に変換するセンサー」です。
ここで、「重さ」と「荷重」の違いを整理しておきましょう。
重さ(質量): 物体が本来持っている量(単位:kgなど)
荷重: 物体に加わっている力や負担
例えば、体重50kgの人が体重計に乗った場合、表示される「50kg」が重さであり、そのとき体重計の面に加わっている力が「荷重」となります。
荷重を測定するセンサーにはいくつか種類があり、用途に応じて使い分けられます。
| 方式 | 感度 | 応答速度 | 主な測定対象 |
| ロードセル(ひずみゲージ) | 高 | 中 | 静的な重さから動的な力まで、幅広く高精度に測定したい場合 |
| 圧電式 | 中 | 高速 | 衝撃や瞬時に変化する急激な力を測定したい場合 |
| 感圧フィルム(FSR) | 小 | 中 | 精度よりも薄さ・曲げやすさ・省スペースを優先したい場合 |
| 電磁平衡式 | 高 | 遅い | 分析天秤など、0.1mg単位の超高精度な計量を行いたい場合 |
様々な方式の中でも、産業用途で最も広く使われているのが「ひずみゲージ式ロードセル」です。
ひずみゲージ式ロードセルの測定原理
ロードセルは、金属に力が加わった際に生じるごくわずかな変形(ひずみ)を利用します。力を受ける金属板(起歪体:きわいたい)の上に「ひずみゲージ」を貼り付け、伸び縮みに伴う電気抵抗の変化を測定します。通常、回路には「ホイートストンブリッジ回路」が用いられます。4つの抵抗のうち1つ(または複数)をひずみゲージに置き換えることで、抵抗値の変化(⊿R)を出力電圧の変化(⊿ Vo)として検出します。
ここで、R=R1=R2=R3=R4として、ひずみゲージに力が加わって、R+⊿Rに抵抗値が変わったとします。そうすると、出力電圧⊿Voは以下の式が成り立ちます。
出力電圧を測定することで変形量がわかり、ひずみ量は加わった力に比例するため、結果として正確な荷重を算出できます。
しかし、従来のひずみゲージ式ロードセルには1つの課題がありました。
従来のロードセルでは、金属基板上にひずみゲージを貼り付ける際、有機エポキシ接着剤が使用されていました。
しかし、有機接着剤は経年劣化や温度変化の影響を受けやすく、長期間の使用における精度低下や製品寿命の縮小という問題を抱えていました。
この課題を根本から解決したのが、TE Connectivityの「Microfused™(マイクロヒューズド)」技術です。
Microfused™技術には、主に以下のような特長があります。
■接着剤不使用による超高信頼性・長寿命
高温ガラス(ガラスフリット)を使用し、約600℃以上の熱処理によってシリコン系ひずみゲージをステンレス基板へ直接焼き付け(融着)します。金属・ガラス・シリコンが分子レベルで結合するため、接着剤の剥離や経年劣化が存在しません。
■高感度・高分解能
従来の金属箔ゲージに比べ、ひずみに対する電気抵抗変化率(ゲージ率)が約10倍〜20倍と非常に高い特長を持ちます。起歪体の微小な変形でも大きな電気信号が得られるため、高精度な測定が可能です。
これにより、Microfused™技術を搭載したTE社のロードセルは、「長期安定性」「高感度」「高耐過荷重」を兼ね備えた製品となっています。
TE社ロードセルのラインアップ
以下にTE社のロードセルラインアップを示します。
★ FX29 シリーズ(超小型・ロープロファイル 圧縮ロードセル)
本製品は、ボタン型の超小型・薄型デザインのパッケージで提供されます。10lbf~200lbf(50N~1000N)の測定範囲を持ち、優れたスパンおよびゼロ点の安定性、卓越したサイクル寿命、高分解能、高い過負荷耐性、そして20mV/Vという増幅なしでのスパン感度を実現しています。
使い捨て医療機器から耐久性が求められる家電製品やフィットネス機器に至るまで、様々な組み込み型の力計測用途に最適化されており、その出力もmV出力、増幅出力、デジタル出力といったオプションが用意されています。
★ FC22 / FC23 シリーズ(高信頼性 OEM圧縮ロードセル)
本製品は、ステンレス鋼筐体を採用した頑丈な超小型圧縮センサーです。FC22は直接的に力を測定するため、シリコンゲルを充填した空洞内に圧力カプセルを埋め込む競合製品に見られるような、リード線やダイ(素子)の疲労破壊といった問題が生じません。極めて微小なひずみで動作するMicrofused技術は、実質的に無制限のサイクル寿命、優れた分解能、そして高い過負荷耐性を実現します。より高い荷重範囲の用途にはFC23をご検討ください。
★ ELAF / FN2420 シリーズ(小型ボタン型・圧縮用ロードセル)
本製品は、ステンレス製フラットボディーで高い耐久性と剛性を誇るモデル。低偏荷重感度で正確な測定が可能な高精度モデルです。
センサー、電源、アンプ、デジタル表示器といった適合コンポーネントがセットアップおよび校正済みであり、導入後すぐにご使用いただけます。
従って、試験装置や自動車衝撃テスト、厳しい環境下での圧縮力モニタリングに広く適用可能です。
★ FMT シリーズ(ワッシャ型・貫通穴型ロードセル)
本製品は、ボルトやねじの締め付け力・締結張力を測定するために中心穴あきワッシャー型ロードセル構造を採用した製品です。
このセンサーは、締め付け時の摩擦によって生じるトルクに起因するヒステリシスや感度のばらつきを低減するよう設計されており、静的および動的な用途の双方で使用可能です。これらにより、プロセス制御機器やロボット関節部、機械組付け箇所の締結管理に使用が可能です。
★ FN3030 / FN3000 シリーズ(S字型 引張・圧縮両用ロードセル)
本製品は、Sビーム(S字型)構造を持ち、1台で「引張力」と「圧縮力」の両方向の荷重計測に対応した製品です。0~100,000 Nの標準範囲で引張力および圧縮力を測定します。
また、高出力が必要な場合には、アンプ内蔵モデルも用意されています。高精度・高レスポンスで、材料試験機、ケーブル張力測定、組み込み用はかり等に最適です。
★ FN7325 / FN7110 シリーズ(多軸ロードセル / Force & Torque Sensors)
本製品は、3軸方向の力(0~5 kNから0~250 kNの範囲)およびそれに対応するトルク(0~200 Nmから0~7000 Nmの範囲)を測定します。これにより、ロボットの力覚制御や複雑な機構の応力解析用途向けに最適です。本センサーには、内蔵アンプ(A1またはA2)、セパレート型コネクタ、ケーブル出力など、多様な設計やオプションを適用可能です。
また、顧客の仕様に合わせてインターフェースを変更することもできます。
★ XFC / FN2114 シリーズ(産業・過酷環境向け 超頑丈型ロードセル)
本製品は、 車両または疲労試験ベンチや耐久性試験ベンチ向けに開発された製品です。IP密閉構造や耐腐食性金属を採用し、油煙・粉塵・水滴が舞う過酷な製造現場や自動車クラッシュテストなど、高い耐衝撃性と信頼性が求められる環境下に対応した製品です。
まとめ
自動化・ロボット化が進む現代において、ロードセルには精度だけでなく、過酷な環境に耐えうる耐久性と長期的安定性が求められます。TE Connectivity社のMicrofused™技術を採用したロードセルは、そうした課題に応える最適なソリューションです。
丸文株式会社はTE Connectivityの正規代理店(AUTHORIZED DISTRIBUTOR)として、豊富なラインアップの中からお客様の用途に合わせた最適な型番の選定や、導入に関する技術サポートを提供しております。「どのモデルを選べばよいかわからない」「仕様について詳しく聞きたい」という方は、ぜひお気軽に丸文までお問い合わせください。