はじめての 1-Wire®

Maxim Integrated(以下、マキシム社と表記)の1本の信号線のみで双方向通信かつ電源供給可能な1-Wire(シリアルインターフェイス)の特長をご紹介します。

1-Wireとは?

1-Wire はマキシム社の登録商標であり、接地線(GND)と一本の信号線(兼電力供給線)だけで低速なデータ転送を行うシリアルインターフェイス規格で、送受信回路を絶縁対応することも可能です。

一般的なシリアルインターフェイスにはI2C、SPI、UART等の方式もありますが、これらはいずれも2本以上の信号線が必要です。

1-Wireには“1-Wireマスタ(ホスト)”と“1-Wireデバイス(スレーブ)”の2種類が存在します。

  • 1-Wireマスタは、バス上の1-Wireデバイスとの通信を開始し制御
  • バス上に複数の1-Wireデバイスを接続するマルチドロップ構成(バス接続)が可能

1-Wireを使用するメリット

1-Wireを使用するメリットは以下のとおりです。

使用する端子数を削減することが可能

例えばI2Cの場合、電源/接地(GND)を含めれば最少4本の端子が必要になります。これに対し、1-Wireを使用すれば最少2本の端子で構成可能です。このため、1-Wireを使用するICでは端子数を削減でき、パッケージの小型化が可能です。また、コネクタを介して接続する場合にも接点数が削減できるため信頼性が向上します。

長距離通信が可能

Active Pullupサポート時にStandard-modeであれば、最長500mの通信が可能です。よって、離れた位置にセンサ等を設置できます。しかしI2Cの場合、基本的にはPCB上のみで使用することを前提にしています。

多数のスレーブデバイスを接続可能

例えば、温度センサを遠距離に複数設置でき、広範囲の温度測定が可能になります。
(マルチドロップ構成の活用)

1-Wireの電力供給

ほとんどの1-Wireデバイスには電源用の端子がなく、1-Wireバスから電力を取得します。

  • 1-Wire デバイスの集積回路には 800pF 程度のコンデンサが集積されており、信号線から電力を得ています。

  • 一部のEEPROMやセンサ製品では別途電源用の端子が必要になる場合があります。

1-Wireデバイス固有の64ビットID

すべての1-Wire製品はROMコードとよばれる、固有の64ビットIDを持っています。

ROMコードはファミリーコード、CRC、シリアル番号で構成されています。

  • ファミリーコード(Family Code):デバイスの型式(MAX_OOOO,DS_OOOO)で共通の8bit
  • CRC(Cyclic Redundancy Check):読み出したIDが正しいかどうか検査するための付属的なデータ
  • シリアル番号(Serial Number):すべてのデバイスで異なる48bitのユニークなID

複数のデバイスが1-Wireバスに接続されている場合は、1-Wireマスタは64bitIDを指定して、通信を行う1-Wireデバイスを指定する必要があります。

1-Wireの通信速度/距離及びI2Cとの比較

1-Wireの通信速度は2種類あります。

  • Standard-mode(約16kbps)
  • Overdrive-mode(約120kbps)
  • 両モードに対応しているデバイス、片方のモードのみサポートのデバイスが存在します。

1-Wireは長距離通信が可能であり、最大で約500m*の通信が可能です。

1-WireとI2Cの主要スペックの比較は以下のとおりです。

  • その他1-Wireの特長
    • Standard-modeで最長500mの通信が可能。(Active Pullup サポート時)
    • 各種センサを多数設置可能。(マルチドロップ構成)

1-Wireの製品ラインアップ

マキシム社では1-Wireインターフェイスを有した、様々な製品分野のラインアップを用意してます。

アプリケーション例

1-Wireのアプリケーション例をご紹介します。

 ●1-Wireセキュリティチップ
  ○医療用消耗品ID
   ・例 電子メス:消耗品のID管理/認証、使用回数のカウント ⇨ 衛生面確保のため
  ○印刷カートリッジ認証
   ・トナーカートリッジ:ID管理/認証 ⇨ 本体保護、消耗品による利益確保のため
  ○PCB IDおよび認証
   ・PCB 製造番号管理:サーバとのリンクによるPCB Rev管理、故障/修理履歴管理

 ●1-Wire温度センサ IC
  ○機器内温度分布測定
   ・複数のローカル温度センサより測定値収集
  ○iButton(16mmステンレス缶に封止の完成品)
   ・温度/湿度ログ取得用デバイス
   ・iButtonを任意の測定箇所に貼り付け等の方法で固定してログ収集
   ・ログ収集後に1-Wireソケットへ装着してシステムへ転送

 ●1-Wire残量ゲージ
  ○2次電池残量計
   ・バッテリ 残量計 :バッテリ残量計測 兼 バッテリパック認証

担当エンジニアからの一言

1-Wireは一般的なシリアルインターフェイスに比較し、必要信号線が少ないため物理的な引き回しが容易であり、かつケーブルを介してPCB外のデバイスとも接続ができます。このため、高速伝送を必要としない温度測定、ログ管理、認証等のアプリケーションに最適なインターフェイス方式です。
詳細は、「ハードウェア構成編」、「プロトコル編」、「その他機能・注意事項編」で説明しています。あわせご覧ください。

おすすめリンク