はじめての 1-Wire® [その他機能・注意事項編]

Maxim Integrated(以下、マキシム社と表記)の1本の信号線のみで双方向通信かつ電源供給可能な1-Wireインターフェイスのその他機能及び注意事項を説明します。

独自のノイズ対策

1-Wireインターフェイスは長距離通信を安定的に行うため、ノイズ対策が施されています。

  • 1-Wire方式は、チップベースのタグ付けや長いラインのセンサアプリケーションなどのその他のアプリケーションも可能です。しかし、当初の1-Wireフロントエンドは、これらのアプリケーションで発生する一部のノイズレベルやライン特性(ライン長など)を想定していませんでした。

  • 外部ノイズレベルやライン特性を考慮した、1-Wire拡張ネットワーク規格(1-Wire Extended Network Standard)と呼ばれる新しい1-Wireフロントエンドが開発され、複数の新デバイスに実装されました。

  • 新しい1-Wireフロントエンドは、高周波ノイズ用のローパスフィルタ、ローからハイへの切換え時の電圧ヒステリシス、および立上りエッジホールドオフ時間という3つの主要要素を備えています。

詳しい解説は「アプリケーションノート 3925 1-WIRE®拡張ネットワーク規格」をご参照ください。

複数デバイス(スレーブ)使用時の注意

テストの結果、高い信頼性の実現が最も難しいのはスター型ネットワークトポロジであることが明らかになっています。 様々な支線の接合部で、著しいインピーダンスの不整合が生じます。1つの支線の端からの反射がほぼネットワークの荷重(半径ではなく)に相当する距離を伝搬してデータエラーの原因となる可能性があります。

過電圧対策

1-Wireインターフェイス上のEPROMデバイスをPCBへ実装後にData書き込みを行う必要がある場合は、他の1-Wireデバイスへ過電圧が印可される問題が発生します。
OTP EPROMデバイス(DS2406、DS2502、DS1982等)にData書き込みを行う場合、12Vパルスを印可する必要があります。 しかし、ほとんどの1-Wireデバイスは、2.8V~5.25VのVpupで読取り および書込みを行います。これらのデバイスのほとんどが5.5V耐圧であるため、OTP EPROMデバイスへのData書き込みパルスは過電圧となります。
このため、5V/3.3Vのデバイスを保護する構成が必要となります。
下図をご参照ください。

適切な保護回路には、以下の要件を満たす必要があります。
・1-Wireバスにかかる負荷が非常に低い
・1-Wire EPROMのプログラミングを妨げない
・5Vの1-Wireデバイスを適正に保護する
・通信信号の全振幅を維持する
これらに対応した回路例を下図に示します。

詳しい解説は「チュートリアル 5026過電圧への暴露からの5V 1-WIREスレーブを保護」をご参照ください。

また、1-Wireは⻑距離通信が可能なインターフェイスですがこの回路は信号ラインが長くなる場合に懸念されるサージに対する保護回路として使用することが可能です。

絶縁対応

1-Wireはアイソレーション回路の追加により絶縁を行うことが可能です。
絶縁構成を実現するためには、ホスト側のインターフェイス端子はDQ信号を出力用と入力用に分けて構成する必要があります。

以下は、1-Wireマスタ側で絶縁構成を実現するための回路例です。

担当エンジニアからの一言

本編ではノイズおよび保護対策、拡張機能についてご紹介しましたが、あわせてハードウェア構成編及びプロトコル編もご覧いただきますと、バリエーション豊かなマスタ構成さらにシンプルなコマンド体系を備えていることがお判りいただけます。それら多彩な機能によって、ユーザーは柔軟なシステム構築を容易に実現できますので、この機会に是非1-Wireインターフェイスを検討されてはいかがでしょうか。
なお、「はじめての1-Wire」では1-Wireの特長をご紹介していますので、そちらもあわせてご覧ください。

おすすめリンク