サステナビリティ 人的資本
丸文の”人材”
当社の強みは、創業当初から培われた「常に時代の一歩先を見据え、次のニーズに応える」という「先見」・「先取」の精神を脈々と受け継ぎ、未来に向けて新たな価値創造への挑戦を続けていることです。私たちは“お客様のため”になるのかを常に考え、行動してきたことで、ありがたいことに多くのお客様から信頼をいただいてきました。ときには迅速な対応、ときには専門的な知識など、その場その場で求められることに最大限に応える力をこれからも培ってまいります。
自律的な成長を支える人材育成
基本的な考え方:キャリアオーナーシップマインドの醸成
事業を取り巻く環境が大きく変化し、ビジネスモデルそのものの変革が求められる時代において、企業の持続的成長の源泉は社員一人ひとりの能力とそれに伴う推進力に他なりません。当社の人材育成は、その能力を最大限に引き出し、「経営目標の達成に必要な職務責任を遂行できるプロフェッショナル人材」を養成することを第一の目的としています。
その達成のため、私たちは、各現場で日々生まれる課題に即応できる「現場主導の人材育成(OJT)」を基本に据え、実践的な教育を最重視しています。このOJTをより効果的なものにするため、社員本人がキャリアプランを描き(主体性)、上司が日々の業務を通じてフィードバックを行い(伴走)、会社がその成長を制度面で支える(仕組み)、という三者が一体となった計画的な推進体制を構築しています。
このような会社の支援のもと社員が自立的(自律的)にキャリアについて考察し、それに向けて努力し、成長を図ることが組織の成長や成果につながり、ひいては会社業績の向上への大きな原動力になると考えています。
教育方針
- 社員の資格・職位毎に定めた職務責任基準と研修制度の連動を強化推進する。
- 資格・職位別研修においては、各資格・職位における職務責任基準を担うために必要な知識・スキル・ビジネスマインドを研修カリキュラムに組み入れることで組織風土の醸成と活性化を促進する。
- 研修の効果を現場での実践に活かすことを目的とし、研修で学んだ知識・スキル・ビジネスマインドを実務において実践することにより定着を図る。
- キャリアオーナーシップマインドに基づき、主体的な学びによるキャリア自律・自立を支援する。
- 当社グループの連結経営体制強化の視点から、グループ各社の社員のレベルアップを支援する。
多様な成長を支えるプログラム
当社では、キャリアオーナーシップという考え方を実践に移すため、以下のプログラムや制度を体系的に連携させ、社員の自立的(自律的)な成長を多角的に支援しています
■人的資本への投資実績(2024年度)
人材育成制度
当社では、以下の人材育成制度を行っています。
目的 | 各資格・職位に必要な能力・知識・スキル・ビジネスマインドの習得 | 語学力強化など、実務遂行に必要な知識・スキルの習得 | 自発的なスキルアップ、学習機会の提供 |
---|---|---|---|
形態 | 集合研修、オンライン研修、個別面談 | 集合研修、オンライン研修 | e-ラーニング、通信教育、奨励金・手当支給 |
教育研修の受講状況
研修受講率 | 35.1% | 47.4% | 100% |
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研修費用総額 | 16.1百万円 | 20.1百万円 | 33百万円 |
一人当たり受講時間 | 24.0時間 | 24.5時間 | 19.5時間 |
次世代リーダーの計画的育成
当社では、次世代のマネジメントを担うリーダー候補の確保・育成を重要な経営課題と認識し、この課題に対応するため、「外部からの経験者採用」と「内部での若手育成」の両輪で、継続的にリーダーを輩出する仕組みの構築を進めています。
不足している年代・職務については即戦力となる経験者採用を強化します。同時に、将来の当社をけん引するリーダー候補として、若手社員への教育研修プログラムを一層充実させ、計画的な育成を継続していきます。
キャリア形成の対話と支援
社員が中長期的なキャリアについて考える機会を持つため、上司-部下間での相談だけではなく、他部署の先輩や、キャリアに詳しい人事部など、タテ・ヨコ・ナナメの関係での「1on1ミーティング」を通してキャリア形成を支援していきます。今後はさまざまな視点での「キャリア教育」の導入も検討し、社員のキャリアオーナーシップマインドの醸成を後押しします。
新たな経験と挑戦を後押しする機会
部門の壁を越えて新たなスキルや経験を得る「社内複業制度」は、社員に新たな挑戦の機会を提供します。また、高度な専門知識の習得を目指す社員には「資格取得奨励制度」を通じて奨励金や手当を支給し、その意欲と挑戦を具体的に支援・称賛する文化を醸成しています。
多様性の推進
当社は、持続的な企業価値向上のための重要課題(マテリアリティ)を特定し、その解決に向けた取り組みを経営戦略の中核に据えています。人的資本の領域においては、特に「多様性の確保」と「次世代リーダーの育成」を、企業の持続的成長を支える重要な基盤であると考えています。
ダイバーシティ方針
私たちは、人権、人格および多様性を尊重し、いかなる差別もおこないません
- 雇用における差別を行わず、機会の均等を図ります
- 従業員の多様性、人格、個性を尊重し、差別や嫌がらせを排除します
- 多様な人材が個々の能力を十分に発揮できる人事処遇制度を構築します
■ダイバーシティ関連指標
女性管理職比率 | 8.0% | 7.9% | 7.7% |
---|---|---|---|
経験者採用管理職比率 | 20.2% | 17.8% | 18.3% |
外国人管理職比率 | 2.0% | 2.0% | 1.9% |
シニア従業員数* | 31名 | 47名 | 65名 |
*60歳以上。非常勤顧問(特別社員)は含みません
女性活躍推進に向けた取り組みと目標
上記方針のもと、現在の重点テーマとして女性活躍を推進しています。ライフステージに関わらずキャリア形成を図れる環境整備や、管理職候補者向けの研修などを通じ、KGI(長期目線の状態目標)である「女性管理職比率15%以上」の達成を目指します(中期目標:2027年度までに10%)。
また、キャリア形成の参考として、女性社外取締役による講演会「キャリアとの向き合い方~今をどう生きるか~」を実施しました。自身の経験に基づき、主体的に考え提案し行動することがステップアップの鍵であると語られ、社員が自らのキャリアを考える貴重な機会となりました。
エンゲージメント向上への取り組み
当社は、全社員を対象にエンゲージメントサーベイを毎年1回実施しています。調査では、事業の将来性や社会貢献性、仕事のやりがい、評価への満足度、成長・キャリア機会の確保などについて、社員の意識を測定しています。またストレスチェックや心理的安全性アンケートも定期的に実施し、社員の心身の健康状態を確認しています。
これらの調査結果をもとに人事施策の充実に取り組むとともに、役員・社員が一堂に会した「タウンホールミーティング(方針説明会)」を通じて、パーパスや経営方針の浸透、会社としての一体感の醸成に努めています。
また2018年度より「働き方改革」として、多様な働き方を実現し、働きやすさを向上させる制度の設計や労働環境の整備に取り組んでいます。具体的にはテレワークや時差通勤制度を導入するとともに、フリーアドレスの導入や、会議や社員のリフレッシュ、コミュニケーションの場として活用できる多目的フロアの設置など快適な職場環境の整備を進めました。また、子育て支援の側面においては、育児休暇の5日間の有給化や育児休暇、育児勤務(短時間勤務)の適用期間の延長など、子育て世代を応援する施策の充実に努めています。
2022年度からは、社員のモチベーションやエンゲージメントを向上させる「働きがい改革」へと取り組みを深化させ、新たに定年延長や社内複業制度**、選択型週休3日制度などの導入を進めています。このように、社員一人ひとりが当社で働き続けたいと思い、大切な家族とともに幸福感をもって日々過ごせる働き方、自分の思いを実現し、個性を発揮しながら働きがいを実感できる環境づくりに取り組んでいます。
* Employee Net Promoter Score:社員の職場や会社への愛着や信頼度を表す指標
** 希望者が社内の複数部署での業務に従事し、自律したキャリア構築、成長を促進する制度
前中期経営計画「丸文 Nextage 2024」における社員エンゲージメントの総括
当社では、前中期経営計画の開始年である2022年度より、エンゲージメントサーベイを毎年実施しています。最終年度の調査では、エンゲージメントスコアは開始年度から+12.1ptと向上し、課題であった「成長・キャリア機会」「役割とリソース(人員やツール、職務上の裁量など)」の項目でも改善が見られました。これに加え、当社の新卒社員定着率も高い水準で推移しており、これまでの改革の成果が着実に表れたものと捉えています。一方で「ロールモデルの不在(自身の成長イメージを描きにくい環境)」といった課題も明らかになりました。調査結果を踏まえ、私たちはこれまでの取り組みを継続・強化します。


■エンゲージメント向上関連指標
平均勤続年数 | 16.6年 | 16.5年 | 16.4年 |
---|---|---|---|
有給休暇取得率 | 67.9% | 73.6% | 71.3% |
月平均残業時間 | 19.6時間 | 16.5時間 | 16.4時間 |
ストレスチェック受験率 | 96.7% | 97.1% | 99.2% |
健康診断受診率 | 98.4% | 99.3% | 98.7% |
社員の成長と挑戦を支える働く環境
当社は、社員一人ひとりが心身ともに健康で、安心してその能力を最大限に発揮できる職場環境こそが、人材育成、エンゲージメント、そして企業の持続的成長の全ての土台であると考えています。私たちは、心理的な安全性と、多様な働き方を尊重する柔軟性を確保することで、社員が挑戦を恐れず、活発に協業できる環境の整備に努めています。
建設的な意見の対立ができる職場環境(心理的安全性の醸成)
当社が最も注力している取り組みの一つに「心理的安全性の醸成」があります。これは「メンバーがネガィブなプレッシャーを受けずに自分らしくいられる状態」であり、「お互いに高め合える関係を持って、建設的な意見の対立が奨励されている状態」と当社では定義しています。上司・同僚・部下が、ただ言いたいことを言い合うのではなく、会社のパーパス(存在意義)という共通の軸を持ち、その実現に向かって建設的な意見を交わしている状態を目指しています。当社では「心理的安全性スキルトレーニング」のカリキュラムを用意し、経営層を含め、多くの社員が受講しています。
柔軟で多様な働き方の推進
当社では、社員一人ひとりの生産性向上とウェルビーイングを両立させるため、柔軟な働き方を推進しています。
場所の柔軟性としては、個人の働きやすさと組織の連携しやすさを最適化するハイブリッドワーク(テレワーク月8回上限)を制度化しています。
時間の柔軟性としては、個々の事情に応じて週3日の休日を選択できる「選択型週休3日制」を導入し、多様なライフプランの実現や自己啓発のための時間を支援しています。
多様な働き方を支える環境づくりの例
ビジネスカジュアル(“働着方”改革)の導入
「“働着方”改革」と銘打ったビジネスカジュアルの導入は、堅苦しさをなくし、よりリラックスした雰囲気で、社員が自分らしさや個性を発揮しながら働けることを目的としています。
当社ではCPO(Customer/Place/Occasion)を遵守し、丸文社員として品格を損なわない服装であることを大原則とし、当社独自のルールを設けて運用しています。
フリーアドレス化による協業と新たなコミュニケーションの促進
部門の垣根を越えた協業を促進するための選択肢の一つとして、本社・支店の一部でフリーアドレス化を進めています。また、カフェラウンジフロアも一新し、ちょっとした休憩や打合せ、偶発的コミュニケーションの場としても活用されています。このような取り組みがもたらす新たなコミュニケーションの効果を検証しつつ、今後もさまざまな働き方に適した環境を自律的に選択できる職場環境の構築を支援していきます
性別を問わないライフイベントとキャリアの両立支援
性別に関わらず全ての社員がライフステージの変化に対応しながらキャリアを継続できるよう、支援制度の充実に努めています。特に、男性社員が育児に積極的に参加できる企業文化を醸成するため、育児休業の取得を推進しています。(2024年度男性育休取得率:47.1%)
育児・介護支援
当社では、社員の家庭生活と職業生活との調和を図ることを目的として、育児休暇、育児勤務、介護休暇、介護勤務の制度を設けています。
■育児休暇関連指標
育児休暇取得者数 | 23名 | 23名 | 28名 |
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育児休業復職率 | 100.0% | 100.0% | 100.0% |
女性の活躍推進
当社は、勤務地の限定や職掌転換、各種の子育て支援、旧姓使用など、社員が希望する多様な働き方を支援し、ライフステージのイベントに関わらず、女性がキャリア形成を図れ、活躍できる環境、制度の充実に努めています。
また管理職を志す候補社員に対しては、組織運営におけるマネジメントに必要となる基礎知識を学ぶ研修を実施するなど、働き方の在り方のひとつとして、社員一人ひとりの意思を尊重し、ワークライフバランスの充実を図り、キャリア形成についても幅広く支援しています。女性管理職比率は、2027年度までに10%、長期的には15%の目標を掲げています。