現場で役立つ 待機時消費電力対策


待機時消費電力とは?
電化製品の電源プラグをコンセントに差し込んだだけで、動作していない状態を「待機状態」と呼び、この待機状態の時に消費している電力をまとめて「待機時消費電力」と呼びます。
一般的に待機時消費電力には次のようなものがあります。
- 電源スイッチをOFFにした状態で
- 使用する機器の表示部やタイマなどが消費する電力。
- 使用する機器のLEDが状態を知らせる時に消費する電力。
- 使用する機器がリモコンなどの、外部からの操作信号を待ち受けするために消費する電力。
- 充電式の機器が充電以外で消費する電力。
- これらの待機時消費電力は、本体の電源プラグを抜くことでゼロにできますが、実際にはその製品の使いやすさを考えると電源プラグを毎回、抜いておくことはできません。
- しかし、この待機時消費電力は電気を使っているという意識のないままに電力が消費されており、ムダにエネルギを消費していることから、欧州を中心に世界的に待機電力規制と省電力化への規制が注目されるようになってきています。
国際的な省電力化への波
国際的な省電力化が注目される一方で、この国際規格に対して現行のIC製品・回路構成では、追従しきれない状態になってきています。
- 待機時の低消費電力化
- 高効率化
- 小型・軽量化
システムの省電力化に有効な対策
皆さんは、どんな消費電力対策を行っているのでしょうか?
- プロセッサ・マイコンなどのスリープ機能を使っての待機電力抑制?
- LED・インターフェース関係の効率的な使い方?
- システム内に点在している電源IC1つ1つの効率改善?
もっとも有効なのは、電源プラグからの入力を一番最初に受けるAC/DC(AC電源を機器が使用するDC電源に変換する)電源IC部分の効率です。ここでの変換効率が低ければ、以降の他のシステム全体をどんなに省電力対策を行ったとしても、大きく影響しません。
機器全体の電源効率は、このAC/DC変換部分の効率が支配的ですので、逆にこの部分の効率を上げることができれば、機器全体の省電力化を行うことができます。
MPX2001の特長
今回ご紹介するMPX2001は高効率と低待機時消費電力を実現するAC/DC向けの電源ICです。
MPX2001は、45W~65W電源設計で88%を超える平均変換効率が実現でき、制御方式はフライバック制御方式型で1次側MOSFETドライバ回路と2次側の同期整流ドライバ回路が1チップになりIC内部で絶縁されているので帰還回路のフォトカプラが不要です。
EVX2001-Y-02Aの特長
EVX2001-Y-02AはMPX2001フライバック電源ICの評価キットになっており、ユーザにとって3つメリットがあります。
メリット1
- 評価キットにはMPX2001を動作させるのに必要な周辺部品が実装されており、安定化電源とパワーメータ、電子負荷を接続するだけで、すぐに測定を開始できます。
メリット2
- 実際のUSBアプリケーションでの規格を確認する測定・評価ができます。
メリット3
- ユーザーズ・ガイドも用意されており、回路定数と周辺の接続についても記載されております。
パソコンにも接続することができるので出力電圧値も変更して評価することができます。
EVX2001-Y-02Aの評価
実際にEVX2001-Y-02Aを評価します。
今回評価する項目
●効率測定
●待機時消費電力測定
動作させるEVX2001-Y-02Aの回路図は以下の通りです。
EVX2001-Y-02A測定環境
以下の測定環境で評価します。
●効率測定
●待機時消費電力測定
※パワーメータ (横河計測株式会社製 WT310) 消費電力ソフトウェア
EVX2001-Y-02Aの測定結果
EVX2001-Y-02Aの効率グラフ 全体(効率レンジを0%~100%)
入力電圧を120Vac、230Vac、出力電圧20Vで測定した効率グラフです。(室温25℃)
EVX2001-Y-02Aの効率グラフ 拡大(効率レンジを76%~92%のところを拡大)
入力電圧を120Vac、230Vac、出力電圧20Vで測定した効率グラフです。(室温25℃)
EVX2001-Y-02Aの消費電力レポート
消費電力ソフトウェアを使用して、待機時による消費電力を確認しました。
●WT310の消費電力ソフトウェアを使用すると、下記のようなテストレポートを作成できます。
担当エンジニアからの一言
今回の測定結果からもわかるように、 MPX2001は待機時電力も0.114Wで、負荷効率が最大負荷の20%の時に87%を維持できますのでシステムの省電力化に役立つ電源ICです。
さらに、IC内部で絶縁されているのでフォトカプラなしでレギュレーションができるため、基板サイズを縮小することができます。フォトカプラなしでの回路設計が可能なため、フォトカプラの経年劣化によるシステムへの影響を考慮する必要がなくなり、システム設計も容易です。
MPX2001は、USB Power Deliveryとして最適なデバイスとしてお薦めしております。