モバイル機器向けアナログ・デバイセズ社製品のご紹介 (nanoPower編)
近年、様々なモバイル機器が各メーカーから販売されていますが、半導体チップに求められる要件も製品進化と共に厳しくなっています。本コンテンツではモバイル機器に求めれる要件・スペックを説明し、要求へのソリューションとしてAnalog Devices, Inc.(以下、アナログ・デバイセズ社)がリリースしている、nanoPower Technology製品を紹介します。
モバイル機器に求められる要件
長いバッテリ駆動時間実現のための高電源効率・低消費電力化
モバイル機器が動作するエネルギー源は主にバッテリが用いられています。バッテリは有限のエネルギー源で、モバイル機器が動作するたびに消費されていきます。バッテリの容量はAH(アンペアアワー)等の単位で表記されますが、容量を大きくしようとするとバッテリの体積も増加します。小型のモバイル機器では搭載できるバッテリの体積に制限があるため、限られたバッテリ容量で最大限の動作時間が得られる様に設計することが必要になります。
モバイル機器小型化のための省スペース化
モバイル機器では小型な機器が多いため、筐体内部に部品を配置できるスペースも限られます。そのため部品の一つである半導体チップには、チップ自身のパッケージ面積を小さくすることや、1つのチップで複数の機能を内蔵することで電子回路全体のトータルの面積を削減することを求められます。
また半導体チップは、抵抗やコンデンサ等の周辺部品と組み合わせる必要がありますので、より小さく・少ない周辺部品で動作することも求められています。
nanoPowerソリューション
nanoPowerシリーズ
nanoPower Technologyは単機能のアナログまたはミックスド・シグナルICの供給電流または自己消費電流(IQ)を1µA未満に抑え、電力消費を劇的に削減することによりバッテリ寿命を改善するアナログ・デバイセズ社の独自の技術です。nanoPower Technology製品を使用すると、より小型のバッテリを使用し、製品のバッテリ再充電や交換までの時間を延長する設計が可能となります。
一般的なバッテリ駆動アプリケーションは、何かが起こるのを待ち受けているアイドル状態で大半の時間を過ごします。この「何か」は一定の間隔で発生する時間的に制御されたイベントであったり、あるいはユーザーがスイッチを入れることによるイベントであったりします。イベントを受け取ったシステムは、センサーからの読み出しや結果の表示など規定の動作を行った後、次のイベントを待つスリープ状態に戻ります。動作中とアイドル時の消費電流を極めて小さく抑えることにより、システムをより小型のバッテリでより長時間動作させることが可能になります。
下記製品はnanoPower Technologyに対応した昇圧DC/DCコンバータのMAX17227Aです。一般的なコンバータでは出力電圧の設定のために抵抗分圧を使用しますが、動作時はこのパスから常時リーク電流が発生します。一方でMAX17227Aでは、起動時の一瞬のみRSEL端子に接続した抵抗に基準電流を流して出力電圧を決定するため、その後の動作ではリーク電流が発生しません。
また抵抗分圧では2個の抵抗が必要になりますが、MAX17227Aでは1個の抵抗のみで構成できるのがメリットになります。
これらの機能によって、モバイル機器に求められる自己消費電流の削減や省スペース化に貢献できます。
nanoPower Technology製品は前述の昇圧DC/DCコンバータ以外にも、降圧DC/DCコンバータのMAX38640Aも提供しています。このデバイスは330nAの自己消費電流で動作します。96%ものピーク効率を誇り、長いバッテリ寿命が必須のアプリケーションに最適です。
MAXM17225とMAXM38643Aはインダクタを内蔵したnanoPower Technologyの電源モジュールです。
インダクタ等の周辺部品がパッケージに内蔵されていますので、より省スペース化したいユーザー様におすすめです。
また周辺部品込みの特性データがデータシートに記載されておりますので、電源評価を短縮することができます。
今回ご紹介したMAX17227A/MAX38640A/MAXM17225/MAXM38643Aを含め、 nanoPower Technologyに対応した電源製品やアナログ製品は多くのラインアップございますので、下記製品も合わせてご検討ください。
品番 | 機能 | バッテリー |
---|---|---|
MAX38640/1/2/3 | 降圧DC/DCコンバータ | 小型1.8V ~5.5V入力、330nA IQ、700mA nanoPowerバックコンバータ |
MAX38650 | 降圧DC/DCコンバータ | 小型1.8V~5.5V入力、390nA IQ、100mA nanoPower降圧コンバータ、100%デューティ・サイクル動作に対応 |
MAX38656 | 降圧DC/DCコンバータ | 100%デューティ・サイクル動作が可能な小型1.8V~5.5V入力、420nA IQ、1.5A nanoPower降圧コンバータ |
MAX17220-MAX17225 | 昇圧DC/DCコンバータ | 400mV~5.5V入力、nanoPower同期整流ブーストコンバータ、True Shutdown内蔵 |
MAXM17225 | 昇圧DC/DCコンバータ | 小型、0.4V~5.5V入力、300nA IQ、nanoPowerブーストモジュール、True Shutdown内蔵 |
MAX17227 | 昇圧DC/DCコンバータ | 400mV~5.5V入力、2A nanoPowerブーストコンバータ、短絡保護およびTrue Shutdown内蔵 |
MAXM38643 | 降圧DC/DCコンバータ | 小型、1.8V~5.5V入力、330nA IQ、600mA nanoPowerバックモジュール |
LTC3336 | 降圧DC/DCコンバータ | 15V/250mAナノパワー降圧DC/DC、設定可能なピーク入力電流 |
LTC3388-1/-3 | 降圧DC/DCコンバータ | 20V高効率ナノパワー降圧レギュレータ |
LTC3337 | バッテリ残量検出 | 高精度クーロン・カウンタ内蔵のメイン・バッテリのSOH監視 |
MAX16056 – MAX16059 | 監視回路 | コンデンサ可変のリセットおよびウォッチドッグタイムアウト内蔵、125nA nanoPower監視回路 |
MAX16140/2 | 監視回路 | nanoPower、小型監視回路、マニュアルリセット入力付き |
MAX16152/53/54/55 | 監視回路/ウォッチドッグタイマ | nanoPower監視回路ICおよびウォッチドッグタイマ |
MAX16150 | 監視回路 | nanoPowerプッシュボタン(オン/オフコントローラ)およびバッテリフレッシュネスシール |
MAX6610/11 | 温度センサ/電圧リファレンス | 高精度、低電力、6ピンSOT23温度センサおよび電圧リファレンス |
MAX31875 | 温度センサ | 低電力I2C温度センサー、WLPパッケージ |
MAX9634 | 電流検出アンプ | nanoPower、4ピンUCSP/SOT23、高精度電流検出アンプ |
MAX9938 | 電流検出アンプ | nanoPower、4ピンUCSP/SOT23、高精度電流検出アンプ |
MAX40000 – MAX40001 | コンパレータ | 1.7V、nanoPowerコンパレータ、リファレンス内蔵 |
MAX40002 – MAX40005 | コンパレータ | nanoPower 4ピンコンパレータ、超小型WLP/SOT23パッケージ |
MAX40203 | ロードスイッチ | 超小型nanoPower、1A理想ダイオード、超低電圧降下 |
MAX31341B | RTC | 低電流、リアルタイムクロック、I2Cインタフェースおよびパワーマネージメント内蔵 |
MAX31342 | RTC | 低電流、リアルタイムクロック、I2Cインタフェース内蔵 |
サンプルキットのご案内
本コンテンツでご紹介したnanoPower Technology製品のMAX17227A/MAX38640A/MAXM17225/MAXM38643Aをセットにしたエッセンシャル・電源ツールキット (MAXESSENTIAL02EP)の評価サンプルをご用意しております。ご希望の方はリンク先のサンプル希望ボタンよりお申し込みください。
※応募多数の場合は抽選となります。抽選結果は発送をもってかえさせていただきます。