モバイル機器向けアナログ・デバイセズ社製品のご紹介 (ModelGauge&昇降圧電源編)
近年、様々なモバイル機器が各メーカーから販売されていますが、半導体チップに求められる要件も製品進化と共に厳しくなっています。本コンテンツではモバイル機器に求めれる要件・スペックを説明し、それらに対応するAnalog Devices, Inc.(以下、アナログ・デバイセズ社)がリリースしている、ModelGauge、昇降圧DC/DCコンバータ、USB製品を紹介します。
モバイル機器に求められる要件
長いバッテリ駆動時間実現のための高電源効率・低消費電力化
モバイル機器が動作するエネルギー源は主にバッテリが用いられています。バッテリは有限のエネルギー源で、モバイル機器が動作するたびに消費されていきます。バッテリの容量はAH(アンペアアワー)等の単位で表記されますが、容量を大きくしようとするとバッテリの体積も増加します。小型のモバイル機器では搭載できるバッテリの体積に制限があるため、限られたバッテリ容量で最大限の動作時間が得られる様に設計することが必要になります。
モバイル機器小型化のための省スペース化
モバイル機器では小型な機器が多いため、筐体内部に部品を配置できるスペースも限られます。そのため部品の一つである半導体チップには、チップ自身のパッケージ面積を小さくすることや、1つのチップで複数の機能を内蔵することで電子回路全体のトータルの面積を削減することを求められます。
また半導体チップは、抵抗やコンデンサ等の周辺部品と組み合わせる必要がありますので、より小さく・少ない周辺部品で動作することも求められています。
ModelGauge&昇降圧電源ソリューション
● ModelGaugeシリーズ
モバイル機器では、バッテリ残量をディスプレイに表示したり、システム情報として取り扱うケースもあります。
アナログ・デバイセズ社ではリチウムイオンバッテリの高精度な残量測定が可能なModelGaugeシリーズを提供しています。その中でも、最新のアルゴリズムを備えたModelGauge m5 EZはバッテリの特性評価が不要で設計期間が短縮できることが特長の製品です。
ModelGauge m5 EZ のアルゴリズムを支えるのは、各種バッテリの特性に関する情報を蓄積したデータベースです。お客様のユースケースに似た様々なテスト条件の下で、セルの動作と特性を評価した結果が格納されています。
実際、それらのデータを活用し、容量の異なる何百種類ものバッテリを対象としてアルゴリズムの性能を解析しています。
右図に示したヒストグラムは、その解析結果の例になります。
多数のバッテリを試験した中、94%のケースでバッテリ残量は3%未満の誤差になっており、高い精度が得られています。
下記製品はModelGauge m5 EZに対応した代表的な製品です。MAX17260は1セルリチウムバッテリに対応した製品で、MAX17261はマルチセルリチウムバッテリに対応した製品です。
ModelGauge m5 EZに対応した製品には、対応するリチウムイオンバッテリのセル数や付加機能によって、様々なラインナップがありますので、下記製品も合わせてご検討ください。
品番 | 機能 | バッテリー |
---|---|---|
MAX17260 | 1セル向けModelGuge m5 EZ | 5.1µA 1セル残量ゲージ、ModelGauge m5 EZおよびオプションのハイサイド電流検出 |
MAX17262 | 1セル向けModelGuge m5 EZ 電流検出抵抗内蔵 |
5.2µA 1セル残量ゲージ、ModelGauge m5 EZおよび電流検出内蔵 |
MAX17261 | マルチセル向けModelGuge m5 EZ | 5.1µAマルチセル残量ゲージ、ModelGauge m5 EZ内蔵 |
MAX17263 | 1セル/マルチセル向けModelGuge m5 EZ LED driver内蔵 |
シングルセル/マルチセル残量ゲージ、ModelGauge m5 EZおよびLED制御内蔵 |
MAX17300-03 MAX17310-13 |
1セル向けModelGuge m5 EZ 認証機能(SHA-256)内蔵 |
1セルModelGauge m5 EZ残量ゲージ、プロテクタ、内部自己放電検出、およびSHA-256認証内蔵 |
MAX17320 | マルチセル向けModelGuge m5 EZ 認証機能(SHA-256)内蔵 |
2S~4S ModelGauge m5 EZ残量ゲージ、プロテクタ、内部自己放電検出、およびSHA-256認証内蔵 |
● 昇降圧DC/DCコンバータ
モバイル機器の種類によっては、より大きな負荷電流を供給したいシチュエーションも存在します。バッテリアプリケーションに適している昇降圧DC/DCコンバータを2製品を紹介します。
MAX77839Dは1セルリチウムイオンに対応した昇降圧DC/DCコンバータです。
自己消費電流(IQ)が6uAと低く、負荷電流が3Aまで供給可能ですので、高負荷が必要なアプリケーションに最適です。電源効率は最大ピークで96%となっており、より長いバッテリ駆動動作時間にも貢献できる製品です。
また1つの抵抗で出力電圧を設定できるため、省スペース化にも適した製品です。
MAX77827Aは高効率の昇降圧DC/DCコンバータで、1セルリチウムイオンで動作するアプリケーションを対象としています。
負荷電流が1.6Aまで供給可能ですので、幅広いアプリケーションに対応可能です。また軽負荷時にスイッチング動作をPWMに固定する設定端子を備えており、ノイズ要求が厳しいアプリケーションにも使用可能です。
● USB製品
モバイル機器を充電するインターフェースとして、USB端子を使用することが多くなっています。
USB充電規格の中にはDefault USB Power、USB BC1.2、USB Type-C、USB Power Delivery等、様々な規格があり対応するデバイスを適切に選択する必要があります。アナログ・デバイセズ社のUSB対応製品に関しては別コンテンツで紹介していますので、こちらをご参照ください。
サンプルキットのご案内
本コンテンツでご紹介した昇降圧DC/DCコンバータのMAX77839D/MAX77827Aをセットにしたエッセンシャル・電源ツールキット (MAXESSENTIAL02EP)の評価サンプルをご用意しております。ご希望の方はリンク先のサンプル希望ボタンよりお申し込みください。
※応募多数の場合は抽選となります。抽選結果は発送をもってかえさせていただきます。