第5世代CAPSENSE™搭載 PSoC™ 4000Tキットを動かしてみた
インフィニオンテクノロジーズのPSoC™ 4000Tプロトタイピングキットを用いた、静電容量式センシングのデモをご紹介します。
PSoC™ 4000Tは第5世代CAPSENSE™をサポートし、前世代の物と比較して消費電力を10分の1に抑えながら、10倍高いSNR性能を実現します。
PSoC™ 4000T
第5世代CAPSENSE™ MSCLP
PSoC™ 4000TのMSCLP (Multi-Sense Converter Low Power) は、
- 超低消費電力:Deep Sleepモードの状態でも、CPU介在なしの自律スキャンが可能
- ノイズの低減:レシオメトリックセンシング・基準電圧が不要な差動動作・CDAC (Capacitor DAC) の構成
- ゲインの向上:補償CDACを使用したベースライン補償
等の特長があります。
CY8CPROTO-040T
CY8CPROTO-040Tプロトタイピングキットは静電容量式のボタン・近接センサー・スライダーの評価が可能です。今回は自己容量式のボタンを使っています。
ModusToolbox™
ModusToolbox™はインフィニオンテクノロジーズのMCU向けのソフトウェア統合開発環境です。はじめにModusToolbox™を使ったプロジェクトの作成手順を説明します。
プロジェクト作成
①ModusToolbox™ソフトウェアv3.2を起動して、New Applicationをクリックします。
②PSoC™ 4 BSPs → CY8CPROTO-40Tを選択して、Nextをクリックします。
③Sensing → MSCLP Low Power CSD Buttonを選択して、Createをクリックします。
④GitHubからCode Exampleがダウンロードされ、プロジェクトが作成されます。
ビルド・Flash書き込み・Tuner起動
⑤MSCLP_Low_Power_CSD_Buttonを選択します。
⑥Build Applicationをクリックしてビルドエラーがないことを確認し、CY8CPROTO-040TとPCをUSBで接続します。
⑦MSCLP_Low_Power_CSD_Button Program (KitProg3_MiniProg4)をクリックして、Flash書き込みの成功を確認します。
⑧CAPSENSE™ Tunerをクリックして、2組のウィジェット(Button0, LowPower0)にチェックを入れます。
Code Example
次に作成したプロジェクトの動作を説明します。
動作概要
3つのパワーモードが定義されており、異なるリフレッシュレートでスキャンします。
早いリフレッシュレートはタッチの応答性はよいですが、消費電力が増加します。
一定時間、ボタンのタッチが検出されない場合は、別のパワーモードに遷移します。
- ACTIVE:高速リフレッシュレート(128Hz)、MCU起動時やタッチ検出後の状態
- ALR (Active Low Refresh rate):中速リフレッシュレート(32Hz)
- WoT (Wake-on-Touch):低速リフレッシュレート(16Hz)、CPU介在なしの自律スキャン
1つのボタンに2つのウィジェットが登録されています。
- Button0:ACTIVEとALRでのスキャンに使用
- LowPower0:WoTでのスキャンに使用
2つのユーザーLEDを使用しています。
- パワーモードLED:各パワーモードのリフレッシュレートで点滅
- タッチLED:タッチが検出されると点灯
デモ動画
CAPSENSE™ TunerでのSensor Dataや、各パワーモードの遷移の様子をご覧ください。
低消費電力化に向けて
このCode Exampleでは、低消費電力の観点でいくつかの余分な処理があります。
- I2C:CAPSENSE™ TunerにSensor Dataを送るためにI2Cを使用
- TCPWM:パワーモードLEDを点滅させるためにTCPWMを使用
- Low Powerモード:CPU未使用時は、TCPWM動作のためにDeep SleepではなくSleepモードを使用 (Deep SleepモードではMSCLPやI2Cは動作可能だが、TCPWMは動作不可)
I2C/TCPWMを未使用、Deep Sleepモードを使用するように変更すると、以下のような消費電力での動作が可能となります。
詳しくはこちらをご覧ください。
まとめ
今回はPSoC™ 4000Tのプロトタイピングキットを用いたデモをご紹介しました。第5世代CAPSENSE™をサポートするPSoC™ 4000Tは、高いSNRと低い消費電力での静電容量式センシングが可能です。前世代の物と比較してより使いやすくなり、様々なアプリケーションでご検討いただくことができます。