はじめてのデジタル回路 Part 1


デジタル製品をはじめて使うためにデジタル回路の基本について説明します。
Part1ではデジタル回路、Part2ではタイミングデバイス、Part3では通信と周波数について説明します。
デジタル回路
デジタルとアナログ
デジタルは離散的な情報を表現しています。0と1しか情報がないので、効率的な情報の処理や容易にコピーができます。
一方アナログは連続的な情報を表現しているため、細かいニュアンスを表現できますが、コピーが難しいです。
デジタル回路
デジタル回路とは信号をデジタルで処理するための回路です。
現在のデジタル回路ではCMOSを使用したデジタル回路が主流です。
CMOSはNchのFETとPchのFETを組み合わせており、CMOSを組み合わせることでロジックが作られています。
AND、OR、NOTなどこれらを論理素子とよびます。
組み合わせ回路と順序回路
CMOSを使用した回路では下記の回路があります。
1.組み合わせ回路
・現在の入力によって出力が決まる回路です。
2.順序回路
・過去に入力した結果によって出力が決まる回路です。
論理回路
CMOSとは
デジタル回路の基礎となるCMOSとはComplementary Metal Oxide Semiconductor の略語で、Pch MOSFETとNch MOSFETを組み合わせて論理機能を持たせることができます。最もシンプルな回路としてインバータ回路があります。
インバータ回路
入力を反転して出力する回路です。
例えば、Hiの信号が入力されると、PchのFETはOFF,NchのFETがONになるため、出力はLowになります。
フリップフロップ回路
フリップフロップ回路の登場でデータを一時的に保持することができるようになりました。データを保持する条件によってフリップフロップにはいくつか種類があります。
今回はクロックと同期して情報を保持できるDタイプフリップフロップを例に動作を説明します。
フリップフロップ回路ではクロックが変化するまでは信号を保持し続ける必要があります。
クロックのタイミングでしか出力が変化しないため、入力信号に対してDelay(遅延)という意味でD-フリップフロップ回路とも言います。
セットアップ時間とホールド時間
D-フリップフロップ回路ではクロック信号の変動と同期してデータを保持するため、
クロック信号が変化する前に値が決定している必要があります。
この時間をセットアップ時間といいます。
また、クロックが変化した後にも出力が確定するまでの時間、値を保持し続ける必要があります。
この時間をホールド時間といいます。
遅延時間
入力が変化したら出力がすぐに変化することが理想ですが、実際の論理回路には必ず遅延時間があります。
フリップフロップや論理回路を使用する上で注意しなければいけないのが遅延時間です。
伝搬遅延時間
デジタル回路では出力を安定させるために非線形領域を使用します。
そのため、トランジスタが完全にONするまでに時間が掛かり、信号が入力されてから出力されるまでに時間が掛かります。この時間のことを伝搬遅延時間といいます。
カウンタ回路
カウンタ回路
1または0の数を計算する回路をカウンタといいます。
カウンタはフリップフロップを組み合わせて作ることができます。
使用するフリップフロップの数によって計算可能な桁数が決まります。
例) フリップフロップが3つだと23⇒8進数のカウンタ
4つだと24⇒16進数のカウンタ
10進数を表現するためには、フリップフロップが3つだと8進数までしかカウントできず足りませんが、4つだと16進数になってしまいます。
16進数で9になったタイミングで値を全て0に設定することで実現しています。
カウンタ回路ではクロック信号を1/nにすることができます。
そのため、分周回路とも呼ばれます。(nは整数)
100kHzの周波数を2分周を2回すると100÷(2×2)で25kHzになります。
まとめ
今回はデジタル回路の基礎として、デジタルの基礎と論理回路を紹介いたしました。
デジタルでは離散的な情報を取り扱うため、0か1しかなく情報の処理と複製が容易といった特徴があります。
情報を処理するために論理回路と呼ばれる回路が使用されています。
処理した信号を保持するためにフリップフロップと呼ばれる回路があり、信号を保持するタイミングを決定するために
タイミングデバイスが使用されています。