電源管理をもっと簡単に!パワーシステムマネージャの紹介
 
                                                                                 
                                    複数の電源レールを必要な場合「電源のシーケンス」「厳密な電圧調整」「故障時の原因究明」がエンジニアの大きな悩みの種です。Analog Devices, Inc.(以下、アナログ・デバイセズ社)のパワーシステムマネージャ(以下、PSM)製品なら、各電源の監視、制御、保護が自動化・可視化され、直感的な専用ソフト「LTpowerPlay®」によってシンプルに設定と確認ができます。そんな電源管理の救世主、PSM製品の特長を紹介します。
PSMとは?
サーバー、産業機器、医療機器など、精密な電源管理が求められる分野では、複数の電源を正確に制御し、安定稼働を確保することが不可欠です。
                                
                                
 デザイン・ノート:FPGAパワー・システム・マネージメントより抜粋
デザイン・ノート:FPGAパワー・システム・マネージメントより抜粋
                                			                
わずかな電圧変動が誤動作やデータ破損につながる可能性があり、さらに故障時には迅速な原因究明も必要となります。これらの課題を効率的かつ確実に解決するには、MCU等を使用した従来の個別管理では限界がありました。
こうした複雑なシステム要求において、既存回路にPSMを加えることで電源管理と状態確認をシンプルに実現できます。
                                
                                
 デザイン・ノート:FPGAパワー・システム・マネージメントより抜粋
デザイン・ノート:FPGAパワー・システム・マネージメントより抜粋
                                			                
PSMの主な機能は以下のとおりです。
- 信頼性向上とシステム保護
 ・電圧、電流、温度を高精度で監視し、異常時には自動シャットダウン
 ・フォルト履歴を記録する「ブラックボックス機能」でデバッグを容易に
 ・ウォッチドッグタイマーでシステムの安定稼働を支援
- 設計・開発効率化
 ・複雑な電源のシーケンス制御を自動化し、出力電圧の高精度なトリミング・マージニング
 ・直感的な専用GUI(LTpowerPlay)で設定・監視が容易なため、開発期間を短縮
 ・設定をEEPROMに書き込むことで自律動作も可能
- 運用・保守の簡素化
 ・電圧や電流などのリアルタイムデータを取得し、稼働状況を把握することでシステム信頼性を向上
 ・多機能統合により省スペース化を実現
PSMの代表製品
PSMの代表製品のラインアップは以下となります。
| 品番 | LTC2970 LTC2970-1 | LTC2972 | LTC2974 | LTC2975 | LTC2977 | LTC2979 | LTC2980 | LTM2987 | |
| チャネル数 | 2 | 2 | 4 | 4 | 8 | 16 | 16 | 16 | |
| 電流検出チャネル | 2 | 3 | 4 | 5 | − | − | − | − | |
| 入力電力測定 | − | ◯ | − | ◯ | − | − | − | − | |
| 温度検出 | 内部 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | 
| 外部 | − | 2 | 4 | 4 | − | − | − | − | |
| インター フェイス | PMBus | − | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | 
| SMBus | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | |
| I2C | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | |
| EEPROM | − | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | |
| トリミング/マージニング精度 | ±0.50% | ±0.25% | ±0.25% | ±0.25% | ±0.25% | ±0.50% | ±0.25% | ±0.25% | |
| シーケンス | 時間 | − | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | 
| カスケード | − | ◯ | ◯ | ◯ | − | − | − | − | |
| トラッキング | ◯※ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | |
| パッケージ(mm ×mm) | 4×5 QFN-24 | 6×7 QFN-44 | 9×9 QFN-64 | 9×9 QFN-64 | 9×9 QFN-64 | 12×12 BGA | 12×12 BGA | 12×12 BGA | |
| デモボード | DC980A/B | DC2619A | DC1978A | DC2022A | DC2028A | − | DC2198A | DC2023A | |
LTC2972の機能
では、PSM製品のLTC2972を例に、その接続方法と主要機能を示します。
                                
                                
 LTC2972のデータシート(rev.C)より抜粋
LTC2972のデータシート(rev.C)より抜粋
                                			                
- 2つのDCDCコンバータを管理
 ・複数個使用で他チャネル対応可能
- PMBusインターフェース(SCL, SDA)
 ・PMBus経由でホストコントローラと通信
- シーケンスの設定(VOUT_EN_)
 ・設定した時間による各電源の立ち上げ・立ち下げ
- 各DCDCコンバータの出力監視(VSENSP/M_ , ISENSP/M_)
 ・出力の電圧と電流を監視
- 出力電圧の調整(VDAC_)
 ・トリミング(微調整)とマージニング(ばらつき設定)の実施
- 入力電流監視(IIN_SNSP/M)
 ・入力電力や消費エネルギーの計算、過電流保護、システム効率の監視
- パワーグッド出力(PWRGD)
 ・各DCDCコンバータの電源状態を出力
- 温度監視(TSENSE_)
 ・バイポーラトランジスタ(例:MMBT3906)を接続し外部温度を測定
- メモリ内蔵
 ・設定保存と障害ログを記録
LTpowerPlay
LTpowerPlayは、PSMの設定、監視、デバッグを行うための無償GUIソフトウェアです。
PCとPSMを接続し、電源レールや設定値を視覚的に表示します。
電圧・電流・温度のリアルタイム監視、シーケンス設定、トリミング/マージニング調整、障害ログの読み出しなどを容易に行えますので
複雑な複数電源システムの開発期間短縮とデバッグ効率向上に貢献します。
                                
                                
 LTC2972のデータシート(rev.C)より抜粋
LTC2972のデータシート(rev.C)より抜粋
                                			                
参考記事
こちらで紹介した「LTC2972」の評価ボード「DC2919A」と「LTpowerPlay」の基本的な使用方法を以下で紹介していますので是非ご覧ください。