【DNNベース】ノイズキャンセリング・チップ:Clarity™ NC100
PIMIC社のご紹介
PIMIC社は、超高効率なエッジAI半導体を開発するスタートアップ企業です。
• 設立: 2022年7月
• 本社: 米国カリフォルニア州クパチーノ
• 開発拠点: 台湾およびインドにR&Dセンターを設置
PIMIC社は、独自のProcessing-In-Memory技術(特許技術:Jetstreme™)により、AI推論におけるパフォーマンスやメモリ帯域幅、ニューラル・シリコン・アーキテクチャのボトルネックを解消し、性能・電力・面積(PPA)効率を10倍以上に高めた、スケーラブルなエッジAI半導体を提供しています。
Processing-In-Memoryとは
社名の由来でもあるProcessing-In-Memory(PIM)技術がPIMIC社のキーテクノロジーです。
従来のコンピュータ(フォン・ノイマン型)では、データが必要になるたびにメモリからプロセッサ(CPU/GPU)へとデータを移動させる必要がありました。しかし、AIのような膨大なデータを扱う処理では、この移動が大きな負担となります。
PIMはメモリの内部に演算機能を持たせることで、データを動かさずにその場で処理を行います。その場で処理を行うことで高速化、省電力化、効率化へ劇的な効果が得られます。
- 高速化:
データの移動待ちがなくなるため、演算性能が大幅に向上します。 - 省電力:
コンピュータの消費電力の多くは「データの移動」に使われています。
移動を最小限にすることで、消費電力を大幅に削減できます。 - 効率化:
データ移動の制約が発生しないため、システム全体の効率が向上します。
PIMIC社では、特許取得済みのスケーラブルな独自PIM技術(Jetstreme™)を開発しています。
このJetstremeTM PIMを活用することで、AIコンピューティング処理の約95%を占める「行列乗算」をメモリ内で効率的に処理します。この効率化は従来のアーキテクチャと比較して計算能力を50倍に高めつつ、消費電力20倍削減(消費電力1/20)を実現します。将来的にはメモリ帯域幅のブレークスルー(40Tbps以上)を目指し、3Dウェハ間ハイブリッドボンディング技術の開発も進めています。
ノイズキャンセリング(ENC) :Clarity™ NC100
Clarity™ NC100は、Jetstreme™ PIMを搭載し、ディープニューラルネットワーク(DNN)をベースにした環境ノイズキャンセリング(ENC)チップです。
独自の技術により、超低消費電力エッジデバイスとして、たった1つのマイクで、強風や騒音環境下でもクリアな音声を届けます。
Clarity™ NC100製品概要
DNNベース・ノイズキャンセリング・チップ
- ノイズ低減(Noise Reduction) : 最大40dB@3dB SNR
- 消費電力(Power Consumption) : ~150uA (ENCモード時)
- 電源電圧(Supply Voltage) : 1.8V(1.62~1.98V)
- 動作温度 : -20℃~+85℃
- パッケージ : WLSCSP(1x1mm),QFN24(4x4mm)
- シングルマイク・ソリューション
- ソフトウェア開発不要(ハードチップ)
<サンプル出荷中/2026年量産予定>
マイクからの入力をNC100内のDNNエンジンが解析。人間の声と環境ノイズ(交通騒音、人混み、風切り音、機械音など)を瞬時に音声の音響パターンとノイズに判別し、ノイズ成分のみを除去します。3dB SNR(信号対雑音比)という厳しいノイズ環境下でも、最大40dBのノイズ低減を達成し、強風のような極端な状況でもクリアな音声を届けます。また、前処理としてAGC(自動利得制御)、後処理としてDRC(ダイナミック・レンジ・コンプレッション)を搭載しており、聞き取りやすい音質に整えることができます。
また、消費電力はわずか約150µAであり、従来のノイズキャンセリング処理に比べて、極めて低い消費電力により、ウェアラブル機器やイヤホンなどのバッテリー寿命を大幅に延ばします。
オーディオサンプル
様々な環境や場所のノイズに対し、ClartiyTM によるノイズキャンセリング処理を施したオーディオサンプルをご用意しました。その効果をぜひご体感ください。

シングルマイク構成
従来、音声品質の向上には複数マイクを用いたビームフォーミング技術が主流でしたが、配置スペースの確保や高い信号処理負荷が課題でした。
NC100は、DNNベースのノイズキャンセリングにより、シングルマイクで従来と同等以上の性能を実現します。また、マイク配置の制約をなくすことで、設計の簡素化と製品デザインの自由度向上、さらにはBOMコストの削減にも貢献します。
ソフトウェア開発不要
NC100は、DNNベースのノイズキャンセリング処理を内蔵しているため、ソフトウェア開発は一切不要です。マイクの後段に接続するだけで、即座にクリアな音声を実現できます。
動作設定はハードウェアピン(ピンストラップ)のみで完結できるほか、必要に応じてホストMCUからI2C経由で制御することも可能です。
ターゲットアプリケーション
NC100は騒音環境下での音声認識の精度や通話品質の課題を効率的に解決します。
小型かつ低消費電力なハードウェアチップとして、様々な音声インターフェースへ容易に搭載できるため、ウェアラブル端末やポータブル機器にも最適です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
ノイズキャンセリングを搭載する上で、従来の常識だった「複数のマイク」や「高速CPU/DSP」は、もう必要ありません。DNNベースのClarityTM NC100は、わずかな消費電力で、強風や騒音下でも、たった1つのマイクでクリアな音声を抽出します。さらに、本製品はハードウェアチップとして提供されるため、複雑なAI学習や開発の手間は不要。容易に製品へ組み込むことが可能です。
音声通信品質や音声認識率の向上に課題をお持ちの方は、ぜひご検討ください。