はじめての 1-Wire® [ハードウェア構成編]


「はじめての1-Wire」では、Analog Devices, Inc.(以下、アナログ・デバイセズ社)の1本の信号線のみで双方向通信かつ電源供給可能な1-Wireの概要を説明しました。
今回は、1-Wireインターフェィスのマスタについてのハードウェア構成を説明します。
1-Wireマスタの構成
1-Wire通信の構築要素にはマスタ(ホスト)とデバイス(スレーブ)があり、マスタは必ず一つだけ接続する必要があります。
通信はマスタからデバイスへのアクセスに対しデバイスが応答する手法をとっています。
次に、4つの構成の詳細を説明します。
①汎用MCU
1-Wire インターフェイスを内蔵していないMCUを使用し、汎用部品を使用する場合 MCUのGPIOポートを2ポート使う必要があります。
Softwareで1-WireのプロトコルをプログラミングしてGPIOをOpen-Drainモードで使用します。
- メリット:
- 使用するMCUが限定されない
- 追加製造コストは汎用部品のみ
②ASIC・FPGA
ASIC・FPGAに1-Wireインターフェイスを組み込む場合
1-Wireのマスタ回路はアナログ・デバイセズ社HPよりVerilogとVHDLの両形式で無償提供されています。
1-WireのIP “DS1WM”をダウンロードしてASIC・FPGAに組み込みます。
- メリット:
- ホスト機能の組み込みが容易
③汎用MCU + アナログ・デバイセズ社の1-WireマスタIC(プロトコル変換)
1-Wire インターフェイスを内蔵していないMCU及び他社製MCUを使用し、専用回路デバイスを使用する場合
MCUのI2CまたはUART Portからプロトコル変換を行う1-WireマスタICを介して 1-Wireインターフェイスへ接続します。
- メリット:
- 設計が容易
- 使用するMCUが限定されない
※) DS2480BはSerial port(UART)と1-Wire I/F 間を接続用IC。直接5VベースのRS232C I/Fに接続可。
9600,19200,57600,115200 bpsに対応。1-WireはOverdrive及びStandard Speedをサポート。
④1-Wireインターフェイスを持ったアナログ・デバイセズ社のMCU
1-Wire インターフェイスを内蔵したアナログ・デバイセズ社製MCUを使用する場合
アナログ・デバイセズ社製MCUには一部の製品を除いて1-Wireインターフェイスが内蔵されており、接続可能です。
- メリット:
- 付加する回路が不要で追加のコストなし
1-Wireマスタ機能搭載デバイス(代表例)
1-Wireマスタ内蔵マイコン
1-Wireマスタを内蔵したマイコンの例です。
MAX32621
超低電力FPU内蔵Arm® Cortex®-M4ベースのマイクロコントローラ(MCU)
・2MBのフラッシュおよび256KBのSRAM内蔵
1-WireマスタIC(プロトコル変換)
UART以外のI/Fから1-Wire I/FへのBridgeデバイスの例です。
DS2482-101
スリープモード付き、シングルチャネル1-Wireマスタ
・I2Cから1-Wireへの双方向プロトコル変換ブリッジデバイス
DS24L65
セキュア認証用IC (I2C I/F)
・SHA-256コプロセッサおよび1-Wireマスタ機能内蔵
担当エンジニアからの一言
本編ではバリエーション豊かなマスタ構成についてご紹介しましたが、あわせてプロトコル編及びその他機能・注意事項編もご覧いただきますと、シンプルなコマンド体系さらにノイズおよび保護対策、拡張機能などを備えていることがお判りいただけます。それら多彩な機能によって、ユーザーは柔軟なシステム構築を容易に実現できますので、この機会に是非1-Wireインターフェイスを検討されてはいかがでしょうか。
なお、「はじめての1-Wire」では1-Wireの特長をご紹介していますので、そちらもあわせてご覧ください。