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商品基礎情報
ピストンホンとは
ピストンホンは内部のピストンが動くことで一定の音圧を発生させる校正器のことです。そのため非常に高い精度で校正することができます。一方でピストンの動作によって基準音源を発生させるため、基準周波数は250Hzになり、1kHzの基準音源を発生させることはできません。
ピストンホンはその精度の高さから、校正機関等で使用されています。
ピストンホン 42AA/42AC
42AAと42ACには大気圧計が付属してきます。工場出荷時、標準大気圧を1013hPaと仮定し、基準音源が114dBになるよう出力調整しています。そのため、ピストンホンを使用する前に大気圧計を使用して大気圧の値を測定・確認しなければなりません。42ACは基準音源が134dBのため、感度の低いハイドロホンの校正などに使用されます。
42AAと42AC には、ON/OFF スイッチの上に 2 色の LED があり、バッテリーの状態と安定した動作の両方を示します。ピストンホンが正常に動作している場合、LED は緑色に点灯し、カムの速度が 250 Hz になるように正しくロックされていることを示します。バッテリー残量が少ない、または速度が正常でない場合、LEDは赤色に点灯します。
42AA/42AC詳細
- 駆動方法:単3型アルカリ電池4本
- 校正可能なマイクロホン:1/2マイク、1/4マイク、1/8マイク
(オプションのRA0023をご購入していただくと、1インチのマイクも校正が可能です。) - 標準付属製品:ZC0002K(大気圧計)、単3型アルカリ電池4本、1/2カプラー、1/4カプラー、1/8カプラー
※ピストンホンをClass0の校正器として使用する場合は、別売りのRA0168(精密気圧計)を購入していただく必要がございます。
大気圧計についてと補正方法
上記で説明した通り、ピストンホン42AAと42ACを使用する際には、付属の大気圧計(下記画像)を使って、大気圧の値を調べなければなりません(工場出荷時、標準大気圧を1013hPaと仮定し、基準音源が114dBになるよう出力調整しているため)。補正を行う際は下記グラフを見て、補正を行う必要があります。
(例)
大気圧が1020hPa(102kPa)の場合、下記グラフでは+0.06となっているため、ソフトウェア上では、音圧レベルを114dBではなく、114.06dBと入力しなければなりません。
上記の作業は、手間がかかり、正確性も欠けてしまう場合があります。この作業を自動で計算し、補正後の音圧レベルをディスプレイ上で表示してくれるピストンホンが42APとなります。
ピストンホン 42AP
42APには、ディスプレイと大気圧計、温度計が搭載してあり、画面上で補正された音圧レベルを確認することができます。そのため、42AAや42ACのように、大気圧計を使用する必要がありません。基準音源は250Hz,114dBとなっています。42AP には、ON/OFF スイッチの上に 2 色の LED があり、バッテリーの状態と安定した動作の両方を示します。ピストンホンが正常に動作している場合、LED は緑色に点灯し、カムの速度が 250 Hzまたは、251.2Hz になるように正しくロックされていることを示します。バッテリー残量が少ない、または速度が正常でない場合、LEDは赤色に点灯します。
ディスプレイには5項目を表示することができ、LEDライトの横にあるボタンを押すことで、表示画面を切り替えることができます。下記画像に項目の表示例がありますので、ご確認ください。
(ディスプレイに表示できる項目)
補正された音圧レベル(dB)
A特性フィルタ付で測定した現在の補正済み音圧レベル(dBA)
校正温度(℃)
校正温度(℉)
静圧(hPa)
42AP詳細
- 駆動方法:単3型アルカリ電池4本
- 校正可能なマイクロホン:1インチマイク、1/2マイク、1/4マイク、1/8マイク
- 標準付属製品:単3型アルカリ電池4本、1インチカプラー、1/2カプラー、1/4カプラー、1/8カプラー
音響校正器 42AG(マルチ音響校正器)
42AGは内部に大気圧計・温度計・湿度計が内蔵されていますが、測定環境条件を表示できるだけであり、補正などは行っていません。内部のリファレンスマイクが音圧レベルを自動的に調整する仕様になっております。したがって、測定環境の影響は受けません。精度は±0.2dBとなっており、ピストンホンより精度は劣っていますが、現場でのマイクロホン使用前校正では問題なくご使用いただけます。
基準音源は250Hz(94dB/114dB)と1kHz(94dB/114dB)の4パターンの音を出力することが可能です。
ピストンホンと音響校正器の違い
ピストンホンと音響校正器では精度・価格が異なります。ピストンホンは内部のピストンが動くことで一定の音圧を発生させます。そのため非常に高い精度で校正できるのが特長です(GRAS ピストンホン42AA精度±0.08dB) 。一方でピストンの動作によって、基準音源を発生させるため、基準周波数は250Hzになり、1kHzの基準音源を発生させることはできません。一方音響校正器は、ピストンホンより精度は劣っていますが、校正器によっては複数の基準音源を発生させることができ、どこでも手軽に校正を行えることが長所となっています。(音響校正器42AG精度精度±0.2dB)
ピストンホンはその精度の高さから、校正機関等で使用されているため、値段も音響校正器より高額なケースがほとんどです。一方音響校正器は精度こそピストンホンと比べて、劣っていますが、値段もピストンホンの1/2程度の値段で購入することができ、使用前に時間のかかる準備などがありません。そのため、普段の業務では、多くのお客様がピストンホンではなく、音響校正器を活用し、定期校正をするときのみ、校正機関に依頼するケースが多いです。