関連商品・技術情報
商品基礎情報
Moku:Goとは
Moku:Goは、10以上の測定機能を1つの高性能デバイスに統合し、2つのアナログ入力、2つのアナログ出力を備えている多機能計測器です。
Moku:Goはプラント、コントローラー、ソフトウェアまたはハードウェアインターフェイス、および電源などの基本的な機器セットを1つのデバイスにまとめており、複数の機器をセットアップする時間を省きます。
ソフトウェアはLiquid InstrumentsのWebサイトから無料でダウンロードすることができます。
BattleBotsとBloodsportについて
BattleBotsとはロボットを戦わせるアメリカのエンターテイメント番組です。この番組に参加したBloodsportチームのロボットは全長117cmの回転アームで、ライバルのロボットに最大限のダメージを与えるように設計されています。重量は113kgで、14馬力の駆動力、4つの駆動モーターと2つの武器モーター、そして最大30馬力の武器パワーで敵を攻撃します。
このロボットは複雑な攻撃と防御のニーズが多岐に渡るためBloodsportチームはロボットを慎重に構築する必要がありました。1年にわたる製作期間中、チームメンバーはMoku:Goを利用して、重要なシステムコンポーネントの設計、テスト、検証を行いました。
Moku:Goは電子工学や電気通信の研究室で一般的に使用される10種類以上の計測器です。このMokuを使用することによって、ロボティクステストを可能にします。
課題
戦闘用ロボットは複雑な機器で構成されています。そしてロボットがどんなにボロボロになっても可能な限り動き続けなければなりません。
Moku:Goでコンポーネントを検証し、設計のあらゆる部分を徹底的に分析することで、Bloodsportの戦闘力を確保することができるのです。
競技中、チームメンバーはロボットやテスト機器を設置するためのスペースが非常に限られています。さまざまな部品や実験材料から、ロボット本体や指定されたメンバーまで、すべてが3メートル×3メートルの部屋に収まるようにしなければなりません。このようにスペースが限られているため、チームにはコンパクトで持ち運びができる機材が必要でした。
リングに上がると、ほとんどの戦闘ロボットはセンサーの入力を受けたり、出入りする信号を変調したりすることはありません。チームでソフトウェアの開発に携わっているリコ・バラキットはロボットをより滑らかに動かすために、設計上の改善を導入しようと検討していました。
解決策
Bloodsportチームは、必要とされるさまざまな電気部品やサブシステムをテストするために、デバイスで利用できる10以上の機器の1つであるMoku:Goオシロスコープを使用しました。Moku:Goを設計プロセスに導入する前、リコは小さな画面の携帯用オシロスコープを使用していました。このオシロスコープは使い方が非常に難しく、設計評価に必要な性能仕様や追加機能を提供するものではありませんでした。Moku:Goのソフトウェアは非常に使いやすく、持ち運びも可能なので、研究所での実験だけではなく、リモートワークと自宅でのテストを可能にしました。
リコは他のチームメンバーと約3,200km離れていたところに住んでいたため、使用するテスト機器や測定機能には簡単にデータを供給できることが重要な課題となりました。上記課題は、Moku:Goを使って課題を解決しました。Moku:Goのソフトウェアはスクリーンショットやビデオキャプチャで簡単に共有することができ、実際に画面共有しながらデバッグ会議も行いました。
Mokuに内蔵されている波形発生器とオシロスコープを使いながら、信号の忠実度を確認し、その結果をチームの他のメンバーに簡単にエクスポートすることができました。アリーナに集合したチームは、Moku:Goをコンパクトに持ち運び、直前のテストや検証を行うことができました。
Moku:Goのオシロスコープ、任意波形発生器、そして電源を備えたリコの在宅ワーク環境
結果
チームは、設計プロセスを通じて、広範な部品テストを実施しました。マイクロコントローラー保護に不可欠な部品を特定し、サブシステムの相互接続を証明し、さらに評価が必要な部品を決定しました。リコがMoku:Goを使い始めると、チームは選んだオプトカプラが内部通信バスを確実にサポートするのに十分なスルーレートを有していないことを発見しました。
オプトカプラを検証することで、リング上での制御性とロバスト性を向上させた(図3)。チームは、Moku:Goを使用して新しいカプラーをプロセスの初期段階でテストし、最高の性能を発揮できない部品を排除することを計画しています。また、30~60Vのバッテリーからの電圧スパイクを防ぐために選んだバルクコンデンサーやダイオードの検証も行いました。さらに、5V以上の電圧からシステム内のマイクロコントローラーを直接保護するバッテリー除去回路の動作確認と設計の微調整を行いました。
今後は、Moku:Goのロジックアナライザーやパターンジェネレーターを使って、マイコンの通信検証を行う予定です。また、マイコンや部品の小型化など、設計の改良を行う際にも、Moku:Goを使って機能や性能の検証を行う予定です。
「使い方はとても簡単です」とリコは言います。「箱から取り出してセットアップするのに2、3分かかるだけで、使えるようになる」とコメントを頂きました。
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