振動観測によるAI異常検知・予知保全 実例紹介
各種センサーを用い振動をモニタリングし、そこで得られたデータに基づいてAIモデル生成し、異常検知・予知保全に役立てた事例をいくつかご紹介させていただきます。
振動観測によるAI異常検知・予知保全 実例紹介
はじめに
▌いつか壊れる
・機械はいつか壊れる
- 動くものである以上、いつかは壊れる。
– 部品同士のすり合わせは、いつか摩耗する。
- いつか壊れる機械の兆候の多くは、振動に現れる。
– 振動センサーを付け、データをAIで賢く分析する。
▌振動観測+AIのポイント①
・振動は、FFTで周波数ごとの信号の強弱に変換
- オリジナルの波形の形での分類が難しく、オーディオアプリのスペクトル表示のように、
周波数ごとの信号の強弱で表すもの。
▌振動観測+AIのポイント②
・一般的な振動による予兆
- 正常なものは、回転数などに依存した特定の周波数にピークを持つ。
– 異常なものは、正常時のピークを残しつつも、「雑味」が増える。
– この雑味の発生状態をAIで判定する。しきい値では判定が困難な波形の形をAI分析、判定する。
・実は予知保全は難しい
- 振動の観測の結果、対象となる観測結果がOKなのか、NGなのかは、お客様か市場でなければ分から
ない。
– たとえば製造装置ならば、製造装置が壊れているからNGとは限らない。その製造装置で製造される
製品の品質を満たさなくてもNGと言える。
– 製造装置の場合、消耗品は定期メンテナンスで交換することが多いが、経済的効果を狙って、壊れ
る時期を予測してメンテナンスしたいニーズがある。
▌良くある質問:「NGデータがない」
▌実例① 攪拌槽での事例
・三品業界で利用の多い撹拌機
- 三品業界(食品・医薬品・化粧品)の材料の混合、撹拌に撹拌機が利用される。
– ラインの自動化は進んでいるが、IoTやデータの活用は進んでいないケースが多い。
・攪拌槽での事故事例
- 事故前までは、ハンディ加速度計で、月一程度で振動を観測、点検していた。
– このような点検を行っていても、事故は突然起きた。
– 攪拌機の一方のベアリングが偏摩耗により加熱。
– 焼損を引き起こし、シャフトが溶断し攪拌槽に落下。
– 他方の撹拌プロペラと溶断した撹拌プロペラが攪拌槽内で衝突し、粉砕の上、攪拌槽を損傷する大事
故に発展。
– 総額数千万の稼働損と修復費用の発生。
– 破壊時の異物が後工程に流れ込み、広範囲のメンテナンスが発生。
・ご提案
- 撹拌機の予知保全が可能。
– 消耗品近辺に振動センサーを固定し、振動を観測。
– MANUFACIAで振動AIモデルを生成し、エッジに実装。
– 振動AI分析をリアルタイムで運用し、事故を防止。
▌実例② ポンプの事例
・食品から精密デバイスまで、広く使われる真空ポンプ
- 焼酎の蒸留、製麺機の真空脱泡、半導体の製造など、真空ポンプは広く使われている。
・真空ポンプの事故事例
- 半導体は真空状態を長時間維持して、製造プロセスが進む。
- 本来真空であって欲しい時間内にポンプが故障すると、製造途中の製品はスクラップになる。
半導体分野でのシリコンウエハのバッチ処理などは、数百万円の損失となる。
- ターボ分子ポンプは、異常を早期に発見できれば、修理コストが抑えられるが、はっきりと聞こえる
異音ならば全損が多い。
・ご提案
- ポンプの異常検知が可能。
- ポンプの台座などに振動センサーを固定し、振動を観測。
- MANUFACIAで振動AIモデルを生成し、エッジに実装。
- 振動AI分析をリアルタイムで運用し、ポンプの異常状態を検知。
▌実例③ 金型を製造する工作機の軸ブレ
・軸ブレが製品品質に影響を与える
- 特に金型の製造を行うようなケースでは、わずかな軸ブレが金型で生産される製品の品質に影響を与
る。たとえば、自動車のパンバーの金型など。
– 軸部分の振動を観測することで、軸のブレ方向を観測できる。この場合、3軸以上のセンサーが必須。
・ご提案
- 主軸のブレを検知可能。
- 主軸近辺に固定あるいは半固定で3軸加速度センサーを取り付け。
- OK状態をMANUFACIAで学習し、振動AIモデルを生成し、エッジに実装。
(AIモデル生成時はNGデータも必要)
- 主軸の状態を振動AI分析で運用し、異常な軸ブレを検知。
- クーラントがかかるため、脱着可能な半固定状態が望ましいこともある。
▌実例④ 遠心分離機の事例
・汚水、下水の処理
- 遠心分離機は、比重差を利用して固体と液体、または、水と油を分離させる装置。
下水処理場、工場の排水の処理などに利用される。
・ブレードは消耗品
‐ スクリュコンベアの周囲にはブレードが取り付けられている。
- ブレードは消耗品。破損することで徐々に遠心分離機の性能が下がったり、他のブレードを破損する
こともある。
- 定期メンテナンス、ブレークメンテナンスがあるが、ブレークメンテナンスでサービスマンの派遣調
整が困難なこともある。
・ブレード以外にも
- 内胴の汚泥つまり、オイルやグリス切れ、ベルトのゆるみなど、遠心分離機には、多数の消耗品リス
クポイントがある。
・ご提案
- 遠心分離機の異常検知が可能。
- 遠心分離機の各ポイントに振動センサーを取り付け、各振動センサーにエッジデバイスを設ける。
- MANUFACIAで振動AIモデルを生成し、エッジに実装。
- 振動AI分析をリアルタイムで運用し、異常を検知。
- 監視ネットワークを構築すれば、計画的にサービスマンを派遣できるようになる。