【Armの牙城を崩すRISC-V】ASUS IoT提供RISC-V搭載SBC「Tinker V」登場

皆さんは「RISC-V」という名前を聞いたことがあるでしょうか。RISC-Vは「リスク-ファイブ」と呼び、最近急速に注目を浴びているコンピュータの命令セットアーキテクチャ（Instruction Set Architecture: ISA）です。ISAといえば、デスクトップコンピュータやサーバ向けのIntel、AMD製プロセッサに搭載されているx86、スマートフォンやモバイルデバイス向けプロセッサとして非常に高いシェアを持っているArmといったものが有名です。当ページでは、なぜRISC-Vが注目を集めるのかとASUS IoTが提供するSBC「Tinker V」の概要を紹介させていただきます。

RISC-Vの概要

RISC-V（リスクファイブ）は、確立された縮小命令セットコンピュータ (RISC) の原則に基づいたオープン標準の命令セットアーキテクチャ (ISA) です。他の多くのISA設計とは異なり、RISC-V ISAは、使用料のかからないオープンソースライセンスで提供されています。そのため、プロセッサベンダーにとっての希望の星なのがRISC-V。なぜならISAのライセンスフィーもロイヤリティもかからないし、独自命令も自由に拡張できるからです。そんな中、ソフトウェアエコシステムが立ち上がり始めており、拡張部分のサポートや最適化に向けたプロファイラ類の提供などは必要にしても、ソフトウェアエコシステムを一から立ち上げるような手間は必要ありません。RISC-Vは既にもはや不可避の存在と言われています。

RISC-V最新動向

RISC-Vコアが最初に参入した市場は、NVIDIAやWestern Digitalのディープな組み込み設計分野でした。QualcommのManju Varma氏は、2022年に開催されたイベントの基調講演に登壇した際、同社が「Snapdragon 865」以降、自社製チップでRISC-V CPUコアを採用し、その出荷数量が、計6億5000万個を超えたことを明かしました。Andesは、最初期にRISC-Vを活用したCPU IPプロバイダーの1社です。同社は、ローエンドから着実に各種CPUコアの品ぞろえを構築してきた他、現在ではベクトル拡張も追加しています。Andesが発表した新しいハイエンドCPUコア「AX65」は、13段のアウトオブオーダー実行パイプラインを採用しています。また、小型コア「NX45V」および「AX45MPV」は、ベクトル演算とスカラー演算を提供します。同社が獲得した重要なデザインウィンの1つに、ルネサスエレクトロニクスの車載用MPU「RZ/Five」があります。