セイコーエプソン｜温度変化なんて怖くない！（水晶編）

水晶製品は人工水晶で作られていますが、カットする方向で振動モードやその特性が異なります。

当然カットする方向で温度特性も変わってきます。

下記はATカット、Xカット、STカット、での振動モードと温度特性をまとめたものです。
ATカットは3次曲線の温特、Xカット、STカットは2次曲線の温特となっており、Xカット、STカットは温度による影響度がより大きいことが分かります。

水晶製品がカット方向によって温度特性が異なることは理解頂けましたでしょうか。
さて、この温度特性の影響をなくすにはどのようにすれば良いでしょうか。
水晶には容量で周波数が変動する、という特性があります。
下図は横軸を容量（CL）、縦軸を周波数変化量で表した容量-周波数特性になります。

この特性を利用して、水晶の温度特性に逆位相をかける形で出力される温度特性の周波数を補正します。
このような形で温度補償をかけることで高精度の温度特性を出力することが可能になります。

①温度補正機能がある代表的な水晶製品は、温度補償型水晶発振器（TCXO）になります。
　⇒主にGPSアプリケーション（ウェアラブルや車載）用の基準クロックとして使われることが多いです。

②温度補償機能を持ったRTCモジュール
　⇒RTCモジュールは主に時計用クロック用途として使われますので、32KHz（音叉型）Xカット、の水晶チップが使われます。2次曲線の温度特性になるので、25℃からの温度変化で時計精度は大きくずれてしまいますが、温度補償をかけることで高精度の時計クロックを出力することが可能です。

③温度補償機能を内蔵した32KHz発振器
　⇒32KHzは時計用クロックとCPUやMCUのサブクロックとしても使われます。
　　受け側のCPUやMCUで温度補正等の高精度を要求される場合に必要とされることが多いです。