介護ロボットとは?注目されている理由やメリット・デメリットなど解説
近年、介護ロボットはIoT技術を活用したネットワーク化が進み、効率的なケアが可能となっています。このような技術革新により、介護現場での利用が徐々に広がりを見せています。
介護ロボットは、歩行をサポートする装置や、介護者の負担を軽減するパワーアシスト機器といったロボット技術にとどまりません。入浴や食事の補助など、特定のシーンに対応した多種多様なロボットが開発され、利用されています。
本記事では、介護ロボットの基本的な仕組みや種類、そして現場での具体的な活用事例について詳しく解説します。
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介護ロボットとは
厚生労働省によれば、ロボットは「情報を感知する(センサー系)」「情報を判断し制御する(知能・制御系)」「動作する(駆動系)」の3つの要素技術を備えた知能化した機械システムと定義されています。この技術を応用し、利用者の自立支援や介護者の負担軽減に役立つ機器を「介護ロボット」と呼びます。
また、厚生労働省と経済産業省が策定した「ロボット技術の介護利用における重点分野」では、9分野16項目(2024年時点)を対象に、介護ロボットの開発支援が進められています。
介護ロボットの普及率
令和4年度に実施された「事業所における介護労働実態調査結果報告書」では、施設系(入所型)の介護施設において、介護福祉機器の導入率が比較的高いことが明らかになっています。
一方、訪問系サービスや居宅介護支援においては、全体的に介護福祉機器の導入率が低い傾向にあります。訪問系サービスでは「いずれも導入していない」と回答した割合が57.0%、居宅介護支援では82.5%にも達しています。
このデータから、訪問系サービスや居宅介護支援では介護ロボットの導入が進んでいない現状が浮き彫りになっているといえるでしょう。
介護ロボットが注目されている理由
介護ロボットが注目される背景には、さまざまな社会的な要因が関係しています。以下にその主な理由を挙げて解説します。
高齢者数が急激に増加しているため
日本では総人口が減少している一方で、65歳以上の高齢者人口は2024年9月時点で3,625万人と過去最多を記録し、総人口の29.3%を占めています。この傾向はさらに続き、2040年には高齢者が総人口の約35%を占めると予測されています。
こうした高齢化社会の進展に伴い、医療や介護サービスの需要が増加し、それに対応する労働力の確保が難しいという課題が懸念されています。
要介護者数も増加しているため
高齢化に伴い、要介護者の数も増加傾向にあります。令和4年5月時点で、要介護(要支援)認定者数は691.4万人に達しており、この増加が介護業界に大きな影響を及ぼしています。
要介護者の増加により、介護施設や在宅介護サービスにおける人材不足が深刻化し、財政的な負担の増加も課題として浮き彫りになっています。
慢性的な人手不足
介護業界では慢性的な人手不足が問題となっています。公益財団法人介護労働安定センターが実施した令和4年度の調査によると、介護事業所全体で60%以上の施設が人材不足を感じているという結果が出ています。
こうした人手不足は介護職員の負担増加につながり、介護業界からの離職を引き起こす悪循環を生んでいます。特に人材不足は、介護業界が最優先で解決すべき深刻な課題といえるでしょう。
介護ロボットのメリット
介護ロボットには、さまざまなメリットがあります。以下で3つのメリットについて解説します。
作業負担を軽減できる
介護ロボットは、移乗や移動支援、排泄の補助といった介護者にとって身体的な負担が大きい作業をサポートします。
また、事務作業を自動化するロボットも存在し、記録作業やスケジュール管理といった業務の効率化を実現します。こうしたサポートによって、介護の現場全体の負担軽減につながっています。
健康状態の変化や異常を早期にキャッチできる
介護ロボットはセンサーやデータ分析機能を活用し、利用者の体調や行動の異変を早期に検知することが可能です。例えば、転倒や心拍数の異常、認知症の兆候などを事前に把握できるため、重大なトラブルを未然に防ぐことが期待されます。
この早期検知能力により、迅速な対応が可能となり、利用者の安全と健康をより一層確保することができます。
高齢者の孤独感を軽減する
見守りやコミュニケーション機能を備えたロボットは、高齢者と会話を行ったり、レクリエーションやリハビリの相手を務めたりすることで孤独感を軽減します。ロボットが話し相手になることで、高齢者は精神的な安心感を得ることができ、特に一人暮らしの高齢者にとって心強い存在です。
また、こうしたロボットは認知機能の維持や向上にも役立つとされ、介護の質を向上させる重要なツールとなっています。
介護ロボットのデメリット
介護ロボットにはデメリットもあります。以下で詳しく解説します。
導入コストがかかる
介護ロボットの導入には、初期費用が高額である点がデメリットとして挙げられます。特に、中小規模の介護施設や在宅介護では、このコストが大きな負担になる場合があります。
また、導入後の運用にも定期的なメンテナンス費用やソフトウェアの更新費用が必要となるため、長期的なコスト計画が求められます。
使いこなせない可能性がある
介護職員が介護ロボットを十分に活用するには、新しい技術や機能についての学習や研修が必要です。しかし、現場の忙しさからこれらの時間を確保することが難しく、ロボットの操作方法や機能を習得できないことがあります。
その結果、ロボットが十分に活用されないまま放置され、かえって現場の負担が増してしまうリスクがあります。
設置場所や保管場所がない恐れがある
介護施設は限られたスペースで運営されていることが多く、大型の介護ロボットを設置する場所や、使用していないときの保管場所を確保できない場合があります。
さらに、利用者が多い施設では、ロボットが動線を妨げないように配置する工夫が求められるため、スペースの有効活用が重要な課題となっています。
介護ロボットの導入フロー
介護ロボットの導入フローは以下の通りです。ぜひ参考にしてください。
課題や目的を洗い出す
介護ロボットを導入する前に、現状の課題を明確にし、導入の目的や達成したい目標を設定することが重要です。
ただし、管理部門だけでなく、現場の介護職員やチームとも認識を共有し、全員で導入の意義を確認しておくことがスムーズな導入に繋がります。
介護ロボットの選定
次に、自社の課題を解決できる介護ロボットを見つけるため、情報収集を行います。
介護ロボットには多種多様な種類があるため、自社の目的や課題に最適なものを選定することが成功への第一歩です。
計画を立てる
導入スケジュールや設置場所を具体的に検討し、計画を策定します。現場で介護ロボットを運用するスタッフへの研修プランをあらかじめ用意しておくことで、運用開始後の混乱を最小限に抑えることができます。
導入・運用・評価をする
実際に介護ロボットを導入し、運用を開始します。この段階では、現場での運用状況や利用者からのフィードバックを収集することが重要です。現場の課題や利用者の意見をしっかり把握し、効果を検証します。
改善を行う
導入の目的がどの程度達成されたかを評価し、運用中に見つかった課題に対する改善策を講じます。また、介護ロボットの定期的なメンテナンスが必要な場合には、それも適切に行うことで長期的な活用を実現します。
まとめ
介護ロボットは、高齢化社会が抱える課題を解決する一つの有力な手段として注目されています。そのメリットは、介護者の作業負担を軽減し、きめ細やかなケアを提供する一方で、導入コストや運用の難しさといったデメリットもあります。
適切な計画と運用体制を整えることで、こうした課題を克服し、介護現場での効果を最大化できるでしょう。
AIコミュニケーションロボット「Kebbi Air」は、AI(人工知能)を活用した自然な会話機能に加え、エンターテインメントコンテンツの提供やビデオ通話による見守り機能を備えています。また、体表面温度の測定や受付・入退館管理など、多彩な機能を搭載しており、介護施設やオフィスをはじめ、さまざまな場面で活用されています。