Nuvoton社 産業用バッテリー監視IC (BM-IC)

〜高精度・低消費電力でバッテリーシステムの安全と効率を最大化〜
リチウムイオンバッテリー(LiB)は、その高いエネルギー密度と小型・軽量性から、1991年の初量産以来、携帯機器からノートパソコン、そして電気自動車(xEV)へと急速に普及してきました。
産業用BMICはUPS(無停電電源装置)、ESS(エネルギー貯蔵システム)、AGV(無人搬送車)、電動工具等、様々なアプリケーションに対して、採用されており、安全性と環境保全に貢献しております。
- 産業用BM-IC
商品基礎情報
リチウムイオン電池の構造と材料
略称 | 正極材料 | 負極材料 | 電圧 | エネルギー密度 | 耐熱暴走 | 耐劣化 |
LCO | コバルト酸リチウム LiCoO2 | 黒鉛 C6 | 3.6-3.7V | ![]() |
△ | △ |
NCA | ニッケル系LiNixCoyAlzO2 | 黒鉛 C6 | 3.6V | △ | ◯ | |
NMC | 三元系LiNixMnyCozO2 | 黒鉛 C6/シリコンSi | 3.6-3.7V | △ | ◯ | |
LMO | マンガン酸リチウム LiMn2O4 | 黒鉛 C6 | 3.7-3.8V | ◯ | △ | |
LFP | リン酸鉄リチウム LiFePO4 | 黒鉛 C6 | 3.2-3.3V | ◯ | ◯ | |
LTO | マンガン酸リチウム LiMn2O4 | チタン酸リチウム Li4Ti5O12 | 2.4V | ◎ | ◎ |
電池の種類と特徴
- リチウムイオン電池は、エネルギー密度がニッケル水素電池と比較し、約2倍~3倍
- 小型、軽量、高電圧であり利便性良い
- 過充電・過放電により発熱、発火などの危険性あり、適切な管理が必要
なぜBM-ICが必要なのか?
【劣化による発火】
- 電解質が酸化してガスが発生し、バッテリー内部が膨張する
- 膨張によって直接的に発火や爆発が起こるとは考えにくいですが、これに衝撃が加わることで事故に繋がる恐れがあります
【ショートによる発火】
- 正極と負極の間にショート(短絡)が発生して発熱・発火を引き起こす
- 製造工程での微細な粉の混入や、電極の一部に不均一な部分があるなどによって電流が集中し、リチウムが針状結晶(デンドライト)の形で析出してくることが考えられます
【安全装置の不備による発火】
- 安価なモバイルバッテリーでは、安全装置が機能しない場合や、そもそも安全装置がついていない可能性もあります
【外部からの衝撃による発火】
- 強い衝撃を与えると、セパレータが破れて極材同士が反応。発熱を引き起こし、やがて発煙や発火、爆発に至ることがあります
リチウムイオン電池は、正極・負極・電解液からなる化学反応により電気を蓄える為、高いエネルギーを持つ反面、過充電や過放電、過熱などにより性能劣化や上記発熱・発火のリスクも伴います、その為BM-ICが必要不可欠です。
BM-ICの主な機能
●セル電圧監視 => 過充電、過放電防止し性能を最大限引き出す
●温度監視 => 異常な温度上昇の検知し最適な性能を引き出す
●セルバランス => 各セルの電圧を均一に保ちバッテリーの容量を最大
限に引き出す
Nuvoton社 産業用BM-ICについて
- 産業用BM-IC
- 測定機能を1チップで実現
- 部品点数削減、合理化に貢献
- 電池のセル電圧、電流、温度を高精度に測定(過充電・過放電を制御)
- 1つのICで、直列接続されたセル 1~22個測定
- 測定データをデジタル値でマイコンに伝える
Nuvoton社産業用BM-IC ラインアップ展開
- バッテリ遮断回路の制御に合わせた商品ラインアップ展開で顧客ニーズに対応
電圧測定精度について
- 電圧測定精度±2.9mV(業界最高水準)を実現
- BM-ICのセル電圧測定誤差を小さくすることで電池の使用範囲を広くする
Nuvoton社 産業用BM-IC特長と製品仕様について
特長
- システムの安全性向上、コスト削減
- 故障診断機能とフェイルセーフ機能搭載、外部保護回路なしで安全なシステム構築が可能
- バッテリ容量の効率的な活用
- 電圧測定精度±2.9mV(業界最高水準)
- 中国国家標準規格*に準拠したアプリケーションに対応
*GB/T34131-2023, システムで±5mV以下@-20~65℃
- バッテリの長時間駆動
- 動作時電流260μA(当社従来比1/10以下)
- シャットダウン時電流0.1μA以下
製品仕様
- バッテリ監視IC
KA49701A (Low Side)
KA49702A (High Side) - 最大接続セル数 : 17セル
- 定格電圧 : 85V
- 電圧測定精度 : ±2.9mV
- 電流測定精度 : ±1.0 %
- 消費電流
動作時 : 260μA
シャットダウン時 : 0.1μA 以下 - パッケージ : QFP-48pin(7mm×7mm)
Nuvoton社は、2010年にBM-ICの研究開発を開始し、2012年の産業向け第1世代量産開始から10年以上にわたり、産業および車載分野でBM-ICの豊富な実績を積み重ねてきました。車載分野で培った高精度・高信頼性・機能安全の技術を基盤に、産業分野の多様なニーズに応えるBM-ICソリューションを提供しています。
Nuvoton社製品ラインナップ
製品名 | パッケージ | 最大 セル数 |
電圧測定精度 (25℃) |
電流測定 精度 |
FET制御 | セル バランス |
消費電力 (動作時Typ.) |
ステータス | 主なターゲット アプリ |
KA49701A | QFP-48 | 17 | ±2.9mV | ±1% | Low Side | 外付け | 260μA | 量産開始 25年4月 |
UPS、ESS、 e-bike、AGV、 その他産業系の 電池駆動アプリ ケーション |
KA49702A | QFP-48 | 17 | ±2.9mV | ±1% | High Side | 内蔵 or 外付け |
260μA | 量産開始 25年4月 |
|
KA49517A | QFP-64 | 17 | ±5mV | ±1% | High Side | 内蔵 or 外付け |
3.6mA | 量産中 | |
KA49522A | QFP-64 | 22 | ±5mV | ±1% | High Side | 内蔵 or 外付け |
3.6mA | 量産中 |
新製品KA49701A/KA49702Aに加え、様々な電圧、セル数、機能要求に対応する産業用BM-ICを幅広く取り揃えております。
お客様のアプリケーションに最適な製品を選択いただけます。
サポートツール
- 構成 : BM-IC搭載基板、マイコン基板、接続ケーブル、評価用ソフトウェア (GUIツール)
- 機能 : PCのGUI上でセル電圧、電流、温度のモニタリングが可能。(視覚的にわかりやすい)
充放電制御、セルバランス動作の評価。
各種保護機能の動作検証。
UART/USB経由でPCと接続し、容易に評価を開始できます。
評価キットのご利用により、お客様の製品開発期間の短縮に貢献します。詳細はお問い合わせください。
(有償 or 無償) (Plug in or 開発必要)