Amplitude|各種バーストモードの解説
フェムト秒レーザー加工において近年注目されているバースト機能。このページでは、産業用フェムト秒レーザーのパイオニアである仏Amplitude社の各種バーストモードについてご紹介しています。
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バーストモードの基本情報
フェムト秒レーザーにおけるバーストモードとは
フェムト秒レーザーは非常に短いパルス幅(10-15秒)を持ち、熱影響を極限まで抑えた微細加工(非熱加工)が可能です。しかし、単一パルス(シングルパルス)による加工では、材料除去量が少なくスループットに課題が残る場合があります。
バーストモードとは、本来1つの強いパルスとして出力するエネルギーを、時間的に極めて近接した複数のサブパルス(パルス群)に分割して連続照射する技術です。これにより、材料へのエネルギー投入プロセスを時間軸で精密に制御し、熱蓄積を巧みに利用することで、加工効率と品質を飛躍的に向上させることができます。
バーストモードを特徴づける主要なパラメータは以下の3点です。
- バースト繰り返し周波数 (Burst Repetition Rate): パルスの塊(バースト)自体がレーザーシステムから出力される頻度。これは通常、スキャナ(ガルバノミラー等)やステージの移動速度と同期させるための周波数です。
- バースト内パルス間隔 (Intra-burst Pulse Rate): 1つのバースト内に含まれる微小パルス同士の時間的間隔。これがナノ秒オーダーであれば「MHzバースト」、ピコ秒オーダーであれば「GHzバースト」となります 。
- バースト内パルス数 (Nppb: Number of pulses per burst): 1つのバーストのかたまりをエンベロープと呼びますが、エンベロープに含まれる微小パルスの総数 1
AMPLITUDE社のバーストモードの仕組み
GHzバースト数が最大6000バースト(ロングGHzバースト)
Amplitudeのレーザーソースは、独自のオシレータ技術と柔軟な制御システムにより、極めて多彩なバースト出力が可能です。ソフトウェア上から簡単にMHzとGHzのバーストを切り替えることができます(※切り替え時はレーザー照射を一時停止する必要があります)。また、バースト波形は最大9つまで設定可能で、メーカープリセットを活用することで複雑な波形も即座に呼び出せます。また、FemtoBurst(後述)を使用して、自分で波形を設定することができます。
- オシレータ周波数: MHzバースト時は40MHz、GHzバースト時は1.28GHzをベースにパルスを生成します。
- パルスピッカー (PP): ユーザーが設定する繰り返し周波数(例: 100kHz)に従って、オシレータからのパルス群を切り出します。
- エネルギー分割: シングルパルスのエネルギー(例: 500µJ)を指定したパルス数(Nppb: Number of pulses per burst)で分割、あるいは蓄積して出力します。
各バーストモードの詳細
0.シングルパルス
最大2MHzまでの発振が可能な基本モードです。Satsuma X-50を例にとると、標準で500µJ @100kHz を出力します。バーストを使用しない、単一の高エネルギーパルスによる加工用途に使用されます。
1.MHzバースト / GHzバースト
シングルパルスのエネルギーをバースト発振数(Nppb)で分割するモードです。
MHz Burst (標準装備): パルス間隔は約25ns (40MHz)。加工効率はシングル比較で10-20%向上します。GHz Burst (オプション): パルス間隔が極めて短く(1.28GHz)、アブレーション閾値の低下を引き起こし、ナノ秒レーザーに近い大幅な加工効率向上を実現します。
波形はいずれも増幅器の利得飽和特性により、右肩下がりの自然落下 (Natural falling edge) となります。
2.FemtoBurst
高度な波形整形を可能にするオプション機能です。通常のバーストが右肩下がりになるのに対し、FemtoBurstでは各パルスの出力エネルギーを個別に制御できます。
これにより、すべてのパルスエネルギーを均一にするフラットバースト (Flat burst) や、徐々にエネルギーを上げる右肩上がりの波形など、材料やプロセス要件(例:均一なエネルギー堆積が必要なガラス切断など)に合わせて波形を自由にカスタマイズ可能です。
3. Super Burst Mode
バースト数に応じてパルスピッカーの繰り返し周波数を意図的に下げる(例:500kHzから155kHzへ)ことで、共振器内にエネルギーを多く蓄積するモードです。
これにより、1ショット目にシングルパルスと同等のエネルギーを出力しつつ、トータルのバーストエネルギーを大幅に増加(例:40µJがトータル120µJへ)させることができます。2パルス目以降は自然落下波形となります。メーカー出荷時のプリセット、または国内エンジニアによるプリセット更新が必要です。
4. SuperFemtoburst
Super Burst(エネルギー蓄積)と FemtoBurst(波形整形)を同時に適用するモードです。
発振器の繰り返し周波数を下げることで蓄積されたエネルギーを用いて、シングルパルスのエネルギーの約90%という高い水準で、フラットなバーストを出力します。最大で4.5mJ(10パルス、MHzフラット時)という驚異的なエネルギーを制御された波形で材料に供給できます。
メーカー出荷時のプリセット、または国内エンジニアによるプリセット更新が必要です。
ロングGHZバーストが開く新たな可能性
様々な分野でのアプリケーション適用例
- ガラスへのパーカッションドリリング:アスペクト比の高い高速穴あけが可能。
- 電極箔切断:活物質と金属をワンパスで高速切断。
- シリコンダイシング:クラックやHAZが著しく少ない高精度切断を実現。
その他、様々な分野で適用が進んでいます。
ロングGHzバーストについてはこちらのページで詳しく紹介しています。
※詳細をご希望の場合はお問い合わせください。
まとめ
Amplitude社のフェムト秒レーザーに搭載された多彩なバーストモードは、加工効率の向上と熱影響の抑制という、従来はトレードオフと考えられていた二つの課題を同時に解決します。特にGHzバーストによるインキュベーション効果の活用や、FemtoBurstによる精密な波形整形は、半導体、ガラス加工、金属の表面テクスチャリングなど、最先端の微細加工分野においてかつてない高い生産性と品質をもたらす革新的なツールです。
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参考文献1. Hirsiger et al., “Machining metals and silicon with GHz bursts: Surprising tremendous reduction of the specific removal rate for surface texturing applications”, SPIE Laser Applications in Microelectronic and Optoelectronic Manufacturing (2020).
2. Bonamis et al., “Use of bursts up to GHz repetition rate for femtosecond ablation efficiency increase.”, Journal of Laser Application, 31, 022205 (2019).
3. Bonamis, E. Audouard, C. Hönninger, J. Lopez, K. Mishchik, E. Mottay, and E. Manek-Hönninger Opt. Express 28, 27702-27714 (2020).
4. Domke, et al., Applied Surface Science 505, 144594 (2020).
AMPLITUDE社フェムト秒レーザー発振器のご紹介
最新のフラッグシップモデルーSatsuma X
2024年にリリースされたSatsuma Xは、各種バーストモードのほか様々なオプションをご用意しております。
- FemtoTrig:パルスオンデマンド(POD)制御。ガルバノスキャナなどの走査光学系に速度に合わせ、周波数だけでなくパルスエネルギーも均一に制御します。直線と曲線の混在した加工軌跡において、曲線部においても均一な加工を実現します。LIPSS(ナノ周期構造)加工にも有効です。
- 波長変換ユニット:IR波長だけでなく、SHG(Green)、THG(UV)の波長変換モジュールを追加できます。