ミリ波レーダの豆知識1 [コーナリフレクタ]

ミリ波レーダの評価試験を行う上で欠かせないアイテムであるコーナリフレクタについてご紹介します。

コーナリフレクタとは?

コーナリフレクタとは、直角二等辺三角形の金属板を3面につなぎ合わせた治具で、光や電波を到来方向へ正確に反射させるために使用します(図1)。

図1

コーナ状に反射板を配置することで、他の形状より反射波の指向性を広くすることができます(表1)。 そのため、電波の入射角度に関わらず均一な反射波を得られるという利点があります。

表1

コーナリフレクタではRCS(レーダ断面積)が数値化されており、材質、形状、サイズ、電波の周波数帯域によって値が変化します。ミリ波レーダを評価する際、想定される物標のRCSに合わせたコーナリフレクタを使用すると、評価をスムーズ行うことができます。

RCSについて

ここでRCSについておさらいしておきましょう。
RCSはRadar Cross Sectionも略であり、照射された電波を受信アンテナ方向へ再放射する能力を表す指標です。レーダにおける受信電力の決定にはRCS値(σ)が関わっており、以下のレーダ方程式で表せられます[1]。

上記式より、受信電力はRCS値と比例関係にあることがわかります。そのため、RCS値の高い物標の方がより大きい受信電力を得ることができ、検知可能な距離が増加することになります(図2)。

図2

代表的な物標のRCS値についてまとめます。RCS値をdBsm(dB square meter:1m2=0dBsmと換算)で表した場合、物標ごとのRCS値は表2のようになります。

表2

コーナリフレクタのメリット

コーナリフレクタをレーダの評価に導入すると、以下のようなメリットがあります。

1. 効率の向上、コストの削減

コーナリフレクタを三脚に設置して評価することができるため、人員の削減や効率を向上させることができます。また、物標が自動車などの高価な物の場合、コーナリフレクタで代用することでコストを削減することが可能です。

2. 安定度の向上

ミリ波レーダモジュール評価キットのご利用シーンに合わせてコーナリフレクタを使い分ける(物標をリフレクタでモデル化する)ことで、物標の個体差に左右されることなく安定して検証を行うことが可能です。

取扱いコーナリフレクタの紹介

当社では、モジュールベンダ様が作成するコーナリフレクタも取扱っており、実験する際は以下のようなリフレクタを活用しています(図3)。
 ①RCS狙い値:0dBsm@79GHz(人間相当)
 ②RCS狙い値:10dBsm@79GHz(乗用車相当)

図3

上記以外のコーナリフレクタ(特定のRCS値、および、周波数帯域の違い)についても、ご要望に応じてカスタム品をご提供することが可能です。
例えば、周波数帯域の違いで以下のようなコーナーリフレクタをご提供することも可能です。

  • RCS狙い目:0dBsm@24GHz(人間相当)
  • RCS狙い目:10dBsm@24GHz(乗用車相当)
  • RCS狙い目:0dBsm@60GHz(人間相当)
  • RCS狙い目:10dBsm@60GHz(乗用車相当)
  • RCS狙い目:0dBsm@76GHz(人間相当)
  • RCS狙い目:10dBsm@76GHz(乗用車相当)

詳細は下記のお問い合わせフォームよりお問い合わせください。なお、本コーナリフレクタはあくまで実験用の簡易的な治具であり、その精度について保証するものではございませんので予めご了承ください。


参考文献
[1]梶原昭博, “ミリ波レーダ技術と設計 -車載用レーダやセンサ技術への応用-”, 科学情報出版(2019)