ミリ波レーダー特集
| ●ミリ波レーダーとは ・ミリ波とは ・ミリ波レーダーとは ・ミリ波レーダーの概要 ・ミリ波レーダーの特徴 ・ミリ波レーダーの動作方式 ・よくあるご質問 ●ミリ波レーダーの使用例 ●ミリ波レーダー製品のご紹介 ●ミリ波レーダーのデモ ●ミリ波レーダーの基礎&ホワイトペーパー |
ミリ波レーダーとは
ミリ波レーダーを初めて扱うかた向けに、まず『ミリ波とはなにか?』、その後『ミリ波レーダーがどういったもので、どのような特長があるか?』をご紹介します。
ミリ波とは
「ミリ波」とは波長がmm単位となる30~300GHz帯の電波のことを指し、以下のような特徴があります。
- 直進性が強い
- 広帯域幅を確保できる
- カメラやレーザなどに比べて霧や雨等の環境変化による影響を受けにくい
- 情報伝送容量が大きい
ミリ波レーダーとは
ミリ波を対象物に照射してセンシングを行う機器がミリ波レーダであり、対象物の距離や角度、相対速度等を検知することができます。
ミリ波レーダーの概要
ミリ波レーダは21世紀に入り民生レベルへの活用が活発になり、その理由や背景として
- CMOS(Complementary MOS:相補型金属酸化膜半導体)による1チップICやモジュールが安価に商品化されつつある
- 電波の利用可能な周波数帯域が不足してきており、新たなミリ波帯域の利用にシフトしつつある
などが挙げられます。
ミリ波レーダーは耐環境性に優れていながら高精度測距かつ小型に実装ができ、屋内・屋外問わず様々な用途でセンシングデバイスとして応用が期待されています。
例えば、遠距離での車両接近・離反を検知する高度道路交通システム(ITS)、低プライバシー侵害性という利点を活かした見守り向けアプリケーション、さらには呼吸・拍動も検知可能なことからヘルスケア・モニタリング等への利用にミリ波が注目されています。
ミリ波レーダでは24GHz帯、60GHz帯、76GHz帯、79GHz帯のミリ波が主に使用されており、周波数により利用可能な帯域幅が異なります。
ミリ波各周波数で利用可能な帯域幅
ミリ波レーダーが使用され始めた当初は24GHz帯が使用されておりましたが、法改正により利用可能な帯域幅が250MHzに制限されたため、より広帯域が使用可能な60GHz帯や79GHz帯が昨今では広く使用されています。
ミリ波レーダーの特徴
- 1. 直進性が強く、大気や壁による減衰が大きい
ミリ波は直進性が強く、大気や壁による減衰が大きいため電波到達距離がマイクロ波と比較して短いという特徴があります。
一見するとデメリットのように見えますが、他のミリ波システムへの干渉という観点から長所となります。
例として、複数の部屋にそれぞれミリ波レーダを設置し、室内センシングを行うケースを見ていきます。
壁による電波の吸収・反射により隣室のレーダに干渉を起こすことがほぼ無いため、屋内近距離向けの用途でもミリ波レーダーが適していることが分かります。
- 2. 回路やアンテナ設計の小型化が可能
電波を用いる際、回路の大きさやアンテナ長は電波波長に依存しています。そのため、波長の短いミリ波を用いることで回路やアンテナモジュールを小型に設計でき、アプリケーション自体の小型化に寄与します。
下図は24GHz帯ならびに60GHz帯ミリ波レーダに用いるアンテナの図です。周波数が高くなる=波長が短くなるとアンテナサイズが小さくなります。
出典:Texas Instruments Inc.
Choosing 60-GHz mmWave sensors over 24GHz to enable smarter industrial applications
- 3. 広帯域幅による高距離分解能、高角度分解能
ミリ波は広帯域幅を利用できるため、レーダーに用いることで高距離分解能を実現できます。(FMCWレーダーの場合、距離分解能は帯域幅に依存し、広帯域なほど距離分解能を小さくできます。)例えば、79GHz帯の場合は最大4GHzの帯域を使用することができ、この場合は3.75cmの距離分解能を有します。
また、センシングデータに対し信号処理を加えることとで、mm単位未満の動きや1°単位での変位を測定することも可能です。
- 4. 天候等の環境変化に強い
ミリ波の特徴として環境変化に強いことは前述しましたが、センシングにもその特徴が活かせます。
ミリ波レーダーは、雨、霧等の影響を受けにくく、かつ照度変化に関係なく対象物を検知することが可能です。
環境耐性について、他のセンシング方法と比較すると以下のようになります。
ミリ波レーダーの動作方式
- FMCW方式
FMCW(周波数連続変調)方式は、時間経過に応じ周波数が上昇していくように変調した電波を用いる方式です。
変調した送信波と、何らかの物体にあたり反射した受信波を比較することで、距離や速度等の情報を取得することが可能です。
- パルスコヒーレント方式
パルス式をベースに、各送信波にコヒーレント性を持たせたものがパルスコヒーレント方式です。
パルス生成タイミングをごく短時間かつ正確に制御することにより、低消費電力化と高精度測距を両立しています。
よくあるご質問
Q:ミリ波レーダーは最大何m先まで検知が可能ですか?
A:レーダー自体のアンテナ設計や対象物のサイズ・電気的特性等に左右されるため、一概にはお応えできません。
エスタカヤ電子工業製TITANシリーズの場合、理想値として最大300mの検知距離を有します。
Q:ミリ波レーダーに弱点はありますか?
A:ガラスや段ボールなど、電波を透過しやすい物体の検知は不得手となります。
また、測定環境が金属物等電波を反射しやすい物体に囲まれている場合、乱反射が起きてしまい本来検知したい信号を得られない可能性があります。
Q:ミリ波レーダー同士で電波干渉を起こすことはありますか?
A:同じ周波数帯のミリ波レーダーを数m範囲の近距離で同時に使用した場合、干渉を起こす可能性があります。
この場合、それぞれのレーダーの送信タイミングをずらすように制御する、レーダー同士を正対させて設置しない等の対策が必要となります。
ミリ波レーダーの使用例
北陽電機株式会社様 ~ミリ波センサー~
北陽電機株式会社様に当社ソリューションをご活用いただき、ミリ波センサー(MWB-05FMN-EW)を開発しました。雨・雪・霧などの外部環境に強く、屋外で利用する自動搬送台車や建設機械などの周辺の障害物検知用途に最適です。
株式会社ユニテック様 ~非接触バイタル信号検出モジュール~
株式会社ユニテック様にAcconeer社製ミリ波レーダー A121 を採用いただき、心拍・呼吸検知が可能な非接触バイタル信号検出モジュールを開発いただきました。
株式会社マツシマメジャテック様 ~レーダー式ミリ波レベル計~
株式会社マツシマメジャテック様に当社ミリ波レーダーソリューションを活用いただき、自社開発製品としてレーダー式ミリ波レベル計の生産を開始しました。
ミリ波レーダー製品のご紹介
エスタカヤ電子工業製 ミリ波レーダーモジュール評価キット TITAN (タイタン) について紹介します。
Acconeer社製 60GHz帯ミリ波レーダーA121のご紹介
Acconeer社製60GHz帯ミリ波レーダーチップA121およびA121搭載モジュールXM125をご紹介します。
TITAN用評価ソフトウェア TitanDemoKitApp
ミリ波レーダモジュール評価キットTITANの評価用ソフトウェア TitanDemoKitApp についてご紹介します。
Acconeer社ミリ波レーダー評価用ソフトウェア Acconeer Exploration Tool
Acconeer社製60GHz帯ミリ波レーダーの評価用ソフトウェアであるAcconeer Exploration Toolのご紹介、およびその導入手順について解説します。
FCLコンポーネント社製 60GHz帯ミリ波レーダーモジュール(FSM7SPA01)のご紹介
FCLコンポーネント社製 60GHzミリ波レーダーモジュール(FSM7SPA01)および 本モジュールを搭載した評価キット(FSM7SPA01-EV1)をご紹介します。
本モジュールは工事設計認証取得済みで、超小型・高分解能・低消費電力が特徴のセンサーで、対象物までの距離や人の存在検知が可能です。
ホシデン社製 マルチユースミリ波センサー評価キット(HVE1496)のご紹介
ホシデン社製マルチユースミリ波センサー(HVE1496)をご紹介します。本製品は、水位計や液面計に向けたワンストップソリューションで、対象物までの距離を非接触で計測することが可能です。
ミリ波レーダーのデモ
ミリ波レーダーを用いた水位検知
ミリ波は水に対し良好な反射特性を示すため、ミリ波レーダーで水位を検知することができます。
実際にミリ波レーダーを用い、水位検知できる様子をご紹介します。
ミリ波レーダーを用いたガラス越しの人検知
ミリ波レーダーは透過性が高いことが特長で、これを活かすことで障害物越しの人検知が可能です。
実際にミリ波レーダーを用い、ガラス越しに人を検知できる様子をご紹介します。
ミリ波レーダーを使用した車内置き去り検知のご紹介
幼児の車内置き去りが大きな社会問題として取り上げられる中、園でのオペレーションの見直しや車内に取り残された際を想定した園児教育、車内に置き去り検知装置を設置する等、さまざまな側面から対策が求められています。今回は置き去り検知装置としてミリ波レーダーを使用した場合どのように人を検知できるのか、デモ動画を交えてご紹介します。
ミリ波レーダーの基礎&ホワイトペーパー
ミリ波レーダーの基礎1[距離・速度・角度検出について]
ミリ波レーダーがどのように距離、速度、角度情報を取得しているのか、その具体的なメカニズムをご紹介します。特に、DSP処理することで物標の位置情報や速度を取得するプロセスを重点的に解説します。
ミリ波レーダーの基礎2[スペックについて]
ミリ波レーダーに関する各種スペックについてご紹介します。
ミリ波レーダーによる非接触バイタルセンシングの基礎
ミリ波レーダーではどのように呼吸や心拍の情報を取得しているのでしょうか?実はその中身はあまりよく知られていません。今回はミリ波レーダーによる非接触バイタルセンシングの基礎として、少し踏み込んで解説していきます。