できるMPLAB® X IDE [スタートガイド編]
Microchip Technology 社(以下、Microchip社と表記)のMCU のPIC、AVR、SAM 製品を使用する場合に必要な統合開発環境、MPLAB X IDE について説明します。
スタートアップ編では、MPLAB X IDEを使用した一連の開発フローを説明します。
「できるMPLAB X IDE」は、以下の順番で、MPLAB X IDE について説明します。
MPLAB X IDEを使用してプログラムを作成し、評価基板のLEDが点滅動作することを確認します。
環境の準備
ハードウェア
PC:動作環境(MPLAB X IDE v5.40以降は64bit OSのみ対応です)
評価基板(またはエミュレータ+ターゲット基板)
今回は、 PIC16F18446 Curiosity nano を使用して説明します。
ソフトウェア
MPLAB X IDEをインストールします。MPLAB X IDE のダウンロードサイトから、インストールするPCのOSに合わせたパッケージをダウンロードしてください。
リンクをクリックするとインストーラのダウンロードが始まります。
ダウンロード完了後、このインストーラを実行してMPLAB X IDEをインストールします。
インストール完了後、使用するMCU/MPUに合わせて、コンパイラをダウンロードしてインストールします。
LEDの点滅を行ってみる
評価基板の動作確認によく使用されるLEDの点滅を行ってみます。
大まかな手順は次の通りです。
・プロジェクトを作成する
・プログラムを記述する
・プログラムをビルドして書き込む
・プログラムを実行する
では作業を行ってみます。
MPLAB X IDEの起動
デスクトップ上に作成されたMPLAB X IDEのショートカットアイコンをクリックしてMPLAB X IDEを実行します。
MPLAB X IDEを起動すると Start Page が開きます。
評価基板を接続する
プロジェクトには評価基板の設定がありますので、プロジェクトを作成するより先に評価基板を接続します。
プロジェクトの作成
プロジェクトを作成します。New Project … アイコンをクリックしてください。
ポップアップした New Project ウィザードを使用して、次の手順でプロジェクトを作成します。項目を設定した後、NEXTボタンをクリックして進めます。
① Choose Project で Standard Project を選択し、Nextボタンをクリックします。
② Select Device で Device に PIC16F18446 を入力し Tool に PIC16F18446 Curiosity nano-SN:MCHPXXXXXXX を設定し、Nextボタンをクリックします。
・MCHPXXXXXXは基板によって数値が変わります。
③ Select Compiler でコンパイラを選択し、Nextボタンをクリックします。
④ Project Nameに TEST_0 と入力し、Project Locationはそのままで、Finishボタンをクリックします。
ソースファイルの追加
プロジェクトが登録されるとGUIにプロジェクトツリーが表示されます。
テンプレートを使用してソースファイルを作成します。
① Source Filesツリーをクリックしてマークします。
② New Fileアイコンをクリックします。
③ ポップアップした New Fileダイアログの Categories の Microchip Embedded のツリーを開き下にスクロールします。
④ XC8 Compiler をクリックします。
⑤ File Types の main.c をクリックしマークしてます。
⑥ Nextボタンをクリックします。
⑦ New main.cダイアログで、Finishボタンをクリックし newmain.c をプロジェクトに登録します。
Configuration Bitsの設定
MCUに書き込んだプログラムを実行するには、クロックの供給が必要です。
またWDTが有効だと実行中にWDTによってMCUがリセットされてしまいますので、WDTを無効にします。
PIC16F18446ではこれらの設定はConfiguration Bitsとして設定します。
設定する項目
ではConfiguration Bitsを作成します。
① メインメニューの Window → Target Memory Views → Configuration Bits を選択します。
② 編集しやすいよう Configuration Bitsタブを CONFIG3 の WDTE が見える程度まで上にドラッグします。
③ EXTOSC と RSTOSC と WDTE をそれぞれ設定します。
④ Generate Source Code to Output ボタンをクリックします。
⑤ Outputタブの Config Bits Sourceタブに表示されたソースを全て選択(Ctrl+A)してコピー(Ctrl+C)します。
⑥ 次の作業のため Outputタブをドラッグして縮めるか、縮小ボタンをクリックします。
⑦ プロジェクトツリーのSource Filesのnewmain.cをダブルクリックで開きます。
⑧ 内容が重複しますので「#include 」を選択した後、ペースト(Ctrl+P)します。
プログラムの記述
LEDを点滅させますのでLEDが接続されている端子(RA2)を出力に設定し、状態を変更します。
LEDを点滅させるには端子の状態を変化させます。この基板ではHighレベルで消灯、Lowレベルで点灯です。
LTA2 = 1; // RA2端子はHigh
LTA2 = 0; // RA2端子はLow
LTA2 ^= 1; // RA2端子がHighならLow、LowならHigh
また点滅の間隔をソフトウェア・ディレイで設定しますのでクロック周波数の設定を行います。
#define _XTAL_FREQ xxxxxx // ソフトウェア・ディレイを行う場合、必ず設定
__delay_us(y) // y us のソフトウェア・ディレイを行う
__delay_ms(z) // z ms のソフトウェア・ディレイを行う
main() を編集します。
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ビルドして書き込み、実行する
Run Main Projectボタンをクリックして、プロジェクトのビルドをして、作成した実行ファイルを評価基板のMCUに書き込みます。
プロジェクトのビルドと書き込みに成功すると自動的にプログラムが実行され、評価基板上のLEDが、おおよそ1秒間隔で点滅します。
まとめ
スタートアップ編として、MPLAB X IDEをインストールして、プロジェクトを構築、ビルドして書き込み、実行と一連の作業を説明しました。
次回から各内容について、もう少し詳細な説明を行います。こうご期待ください。