Analog Devices USB Power Delivery ソリューション(3/3)
今回はUSB Power Delivery が抱える3つの課題に対する解決方法について、Analog Devices, Inc.(以下、アナログ・デバイセズ社)が提供するソリューションをご紹介します。
Solution 3.デジアナ混在ソリューション
アナログ・デバイセズ社が提供するUSB PDのデジアナ混在トータルソリューションをご紹介します。
代表的なUSB PDシステム
- アナログ・デバイセズ社では、PDコントローラ(MAX77958)を含む全てのUSB PD用 ICをトータルソリューションとしてご提案可能です。
- アナログ・デバイセズ社 USB Type-CおよびUSB PDソリューション一覧
機能 | 説明 | |
MAX77860 | チャージャおよびCC制御、I2C設定 | 3.15A USB-Cバックチャージャ、I2C内蔵、1セルリチウムイオンバッテリ用 |
MAX77751 | チャージャおよびCC制御 | 3.15A USB-C自律型バックチャージャ、1セルリチウムイオンバッテリ用 |
MAX14748 | チャージャ | 3A USB-Cブーストチャージャ、I2C内蔵、2Sリチウムイオンバッテリ用 |
MAX77962 | チャージャ | 3.2Aバックブーストチャージャ、USB PD対応、2Sリチウムイオンバッテリ用 |
MAX77958 | PDコントローラ | USB PDコントローラ |
MAX25430 | USB電源 | 車載 100W USB-PDバックブーストポートコントローラおよびプロテクタ |
MAX25431 | USB電源 | 車載用40V、55μA IQ、2.2MHz、Hブリッジバックブーストコントローラ |
MAX20323 | 保護 | USB Type-C CCピン過電圧プロテクタ |
MAX77596 | バックコンバータ | 300mA、入力電圧3.5V~24V、無負荷時の自己消費電流1.1μA |
MAX77756 | バックコンバータ | 500mA、デュアル入力電源マルチプレクサ(MUX)、入力電圧3.0V~24V |
「3.デジアナ混在ソリューション」に対しては、USB PDシステムに必要なデバイスをすべて網羅したアナログ・デバイセズ社ソリューションが最適です。
次に、 USB PD用コントローラとUSB PD用電源IC以外の デジアナ混在ソリューションを紹介します。
デジアナ混在ソリューション - 2セル用バックブーストチャージャ(MAX77962)
- デジタルカメラ、AR/VR機器、ハンドヘルドコンピュータなどのアプリケーションでは、2セルまたは3セル(2S、3S)のリチウムイオン(Li+)バッテリを利用し、USB PDによる急速充電を必要とします。
- 2Sまたは3Sバッテリは大きな電圧振幅を示し、2Sでは6.5V~ 8.4V、3Sでは8V ~ 13.2Vに達します。
- アダプタ電圧がバッテリ電圧を上回る場合や下回る場合があるため、2Sまたは3Sバッテリの充電にはバックブーストコンバータが必要です。
MAX77962の概要
- 2SチャージャのMAX77962は、Smart Power Selector™内蔵、高性能広入力3.2Aバックブーストチャージャです。
- このデバイスは低損失パワースイッチを内蔵し、小型ソリューションサイズ、高効率、低発熱、および急速バッテリ充電を提供します。
- USB PDにより、5V〜20Vの充電電圧が可能です。
低損失のパワースイッチを内蔵
- 小型ソリューションサイズ、高効率、低発熱、および急速バッテリ充電を実現します。
- FETを内蔵したことで電力ラインが短縮され、EMIが低減します。
- Smart Power Selectorを内蔵し、追加のインダクタなしで逆バックとして動作するため、USB On-the-Go (OTG)アクセサリへの給電が可能です。
ソリューションサイズの比較
- MAX77962は、市場で入手可能な一般的なディスクリートソリューションと比較して50%小さいソリューションサイズも提供します。
デジアナ混在ソリューション - 保護機能付きバッテリ残量ゲージ(MAX17320)
- モバイルデバイスには、予想より早くまたは突然のシャットダウンを防ぐために、正確なバッテリステータスインジケータが必要です。
- すべてのLi+バッテリには、異常な電圧、電流、温度にさらされた場合の損傷や危険な結果を防ぐためのプロテクタが必要です。
- 許可されていない不適切に設計されたクローンバッテリパックを使用しているエンドユーザーは、危険にさらされる可能性があります。 安全な認証はそのようなクローンバッテリパックの使用を防ぐことができます。
MAX17320の概要
- 2S~4Sリチウムイオン/ポリマーバッテリ用の38µA IQのスタンドアロンパック側残量ゲージICです。
- プロテクタ、バッテリ内部自己放電検出、およびオプションのSHA-256認証を内蔵しています。
- 電圧、電流、温度、およびバッテリの状態を監視し、過電圧/低電圧、過電流、短絡、過熱/過冷、過充電、および内部自己放電状態に対して外付けハイサイドN-FETを使用する保護を提供するとともに、充電規定の提供によってバッテリが安全な条件下で動作することを確保し、バッテリ寿命を延長します。
MAX17320 サブシステムのブロック図
- 2~4セルの直列バッテリパックの一般的な実装を示します。
- アナログ・デバイセズ社製 ICはセルの電圧を測定し、内部FETと平衡抵抗を使用してセルのバランスを取ります。
- バッテリセルはICから遠く離れている可能性が高いため、センス抵抗を使用して電流を測定し、クーロンカウント値を得るために累積されます。また、オンチップセンサまたは最大4つの外部サーミスタを使用して温度を測定します。
- 1次プロテクタは、電圧、電流、温度、およびバッテリの状態を監視し、過電圧/低電圧、過電流、短絡、過熱/過冷、過充電、および内部自己放電状態に対して外付けハイサイドN-FETを使用して保護します。
- 安全上の理由からバッテリを永久に無効にする必要がある過酷な障害に対して、ヒューズを切る、2次プロテクタをトリガーする等の制御ができます。
- リアルタイムクロックやシステムの維持管理用マイクロコントローラなど、常時オンにする必要のある小さな負荷に電力を供給するために、このICは、プロテクタが作動しても動き続ける安定化出力を提供します。この出力は、セルが大幅に消耗した場合にのみパワーダウンするため、安全上の理由からそれ以上の電流流出防ぐ必要があります。
デジアナ混在ソリューション - CCピン過電圧保護(MAX20323ファミリ)
- USB Type-C CCピン過電圧プロテクタの必要性
- USB Type-CのコネクタはUSBマイクロBコネクタよりピッチが小さいため、VBUSに対する機械的短絡のリスクが増大します。
- さらに、USB PDに伴う高電圧のため、より堅牢な保護が必要です。
MAX20323ファミリの概要
- 過電圧プロテクタのMAX20323ファミリは、過電圧スレッショルドおよびサージ保護を内蔵し、スイッチをオフにしてUSB Type-CのCC/SBUピンの損傷を防ぎます。
- これらのデバイスは、オン抵抗が0.27Ω (typ)の2つのチャネルスイッチを備え、それらは入力が過電圧スレッショルド以下のときオンになります。
- チャネルの1つが過電圧スレッショルドを超えると、対応するスイッチがオフになります。
過電圧保護動作
- このデバイスは、標準 0.27Ωのオン抵抗 (SW1 / SW2)を備えた2つのチャネルスイッチがあり、入力が過電圧しきい値を下回るとオンになります。
- チャネルの1つで過電圧しきい値を超えると、対応するスイッチ(SW1 / SW2)がオフになり、入力 (CC1_I / CC2_I) から供給される出力 (CC1_O / CC2_O)への正確なプルアップ電流に置き換えられます。
※MAX20323Fにはプルアップ電流機能がありません
デジアナ混在ソリューション - 各電源IC(MAX77596:Always-on電源)
- システム電源端子(たとえば、VSYS)は、バッテリまたは利用可能な場合はVBUSからさまざまなレールに給電します。デバイスのレールに給電する事例について説明します。
- システム構成によっては常時ONとなる電源(Always-on電源)が必要な場合があります。Always-on電源はシャットダウンされることがないため、低自己消費電流であることが極めて重要です。
MAX77596の概要
- スイッチを内蔵した小型、同期整流バックコンバータです。
- 3.5V~24Vの入力電圧で最大300mAを供給するように設計され、無負荷時の自己消費電流はわずか1.1µAです。(固定出力バージョン)
- 98%デューティサイクルで動作することによってドロップアウト付近での動作が可能なため、バッテリ駆動アプリケーションに最適です。
担当エンジニアからの一言
USB PDが抱える3つの課題の解決方法について、Maxim USB PDソリューションを紹介しました。
アナログ・デバイセズ社が提供するソリューションは、高い集積度、先進的なパッケージング、および柔軟なアーキテクチャによって、今日のUSB Type-Cの実装が直面する極めて重要な課題を克服できます。
この機会に是非アナログ・デバイセズ社USB PDソリューションをご検討されてはいかがでしょうか。