「1対多」の双方向通信を実現 Bluetooth® LE PAwR : Infineon評価ボードを使用したデモ
本記事では、AIROC™ CYW20829を搭載した評価ボード(CYW920829M2EVK-02)を使った、PAwR機能を用いたESL(電子棚札)※ソリューションを紹介します。
※以下ESLと表記
デモ概要
このデモでは、CYW20829を搭載した評価ボード4台(Advertiser1台とScanner3台)を使用したESLデモになります。
Scannerのうち1台は、DKE社の電子ペーパーを使用した丸文オリジナルデモになります。
今回のデモではPAwR機能を使用し、Advertiserから各Scannerに対しTITLE(商品名)、PRICE(価格)、NOTE(注記)を一斉送信し、表示を変更させるデモになります。表示変更が成功するとScannerはAdvertiserに対し応答します。
ハードウェア
- CYW20829評価ボード(CYW920829M2EVK-02)
- IoT Sense拡張キット(CY8CKIT-028-SENSE)
- 電子ペーパー(DKE社 DEPG0213BNS800F41)
- 電子ペーパー用 Arduino変換基盤
CYW20829評価ボードへの書き込みにはInfineon社のソフトウェアModusToolBox™(MTB)を使用します。
システムハードウェア(Advertiser、Scanner)
Advertiser
Scanner #1
Scanner #2(#3も同じ)
システムブロック図(デモ構成)
各ハードウェアについて
CYW20829評価ボード(CYW920829M2EVK-02)
- 説明
AIROC™ CYW20829 Bluetooth® LE MCU評価ボード(CYW920829M2EVK-02)は、オンボード周辺機器を搭載しており、Infineonの低消費電力・高性能なAIROC™ CYW20829上で、幅広いBluetooth® LEアプリケーションの評価、プロトタイピング、開発を可能にします。AIROC™ CYW20829は、外部パワーアンプ(PA)なしで、堅牢なRF性能と10dBmの送信出力を実現します。 - 関連商品の紹介ページ
- メーカWebサイト
IoT Sense拡張キット(CY8CKIT-028-SENSE)
- 説明
IoT Sense拡張キット(CY8CKIT-028-SENSE)は、オーディオおよび機械学習アプリケーションを対象としたArduino Unoベースのボードです。このキットはデジタル/アナログマイク、圧力センサー、モーションセンサー、ディスプレイが搭載されており、 CYW920829M2EVK-02 をはじめ、CY8CKIT-062S2-43012、CY8CEVAL-062S2などのInfineonマイクロコントローラ評価ボードと接続できます。 - メーカーWebサイト
電子ペーパー
- 説明
DKE社の電子ペーパーを使用。EInk技術を使用した電子ペーパーで、ESL(電子棚札)などで使用される中小型パネルのラインアップがあります。
電子ペーパー用 Arduino変換基盤
- 説明
今回のデモでは、CYW20829評価ボードとDKE社製電子ペーパーを接続するために、市販のArduino変換基板を使用しました。
デモ準備
セットアップ
IoT Sense拡張キットをCYW20829評価ボードに接続し、Advertiser、Scannerとしてセットアップします。Scannerのうち1台は電子ペーパーを使用するため、電子ペーパー用 Arduino変換基盤をCYW920829評価ボードに接続しセットアップします。
※DKE社製電子ペーパーを利用するために、Scanner側のCYW20829評価ボードに改造が必要となります。
1つはAdvertiser用、他の3つはScanner用でそれぞれをUSBコネクター経由でPCに接続します。それぞれのボードに対して、MTBからPAwR Advertiser/Scanner用のプログラムをビルドして書き込みます。
デモ開始前
AdvertiserをPCに接続、各ScannerはUSBから給電を行います。
全体図
Advertiser、Scannerの電源投入直後は以下のようになっています。
Advertiser
Scanner #1
Scanner #2(#3も同じ)
全てのボードを一度リセットし、AdvertiserとScannerが同期するのを待ちます。
実際のデモ内容
デモ実行
AdvertiserからScannerに送信するデータをTera Termで書き込みます。
まずはTITLEを書き込みます。今回は「BEEF」とします。
次にPRICEを書き込みます。今回は「500¥」とします。(¥は表示される際に円となります)
次にNOTEを書き込みます。今回は「100g」とします。
TITLE、PRICE、NOTEを書き込むと「Send request to ESL」が表示され、Scannerにデータが送信されたことがわかります。
データ送信前後のAdvertiser表示は以下となります。
書き込み後は、各Scannerからの応答を待ちます。応答があると「RESP Sta: 0」と表示されます。
なおScannerからの応答を待っている場合は以下のような表示になります。
#2、3からの応答があり、#1からの応答を待っている状態であり「#1 REQUSTED」と表示されます。
実行結果
各Scannerの表示画面は以下になります。
上からTITLE、PRICE、NOTEとして、「BEEF」、「500円」、「100g」と表示されているのが確認できます。
まとめ
今回のデモのAdvertiser、Scannerの動作は以下のようになります。
- Advertiserの動作
- Advertiserは複数のScannerと同期可能であり、サブイベントでアドバタイズデータを送信するように設定します。
- AdvertiserはPAwR機能を用いてアドバタイズを開始します。今回のデモでは、Scanner #1、2、3がスキャンを開始し、アドバタイズデータ内のPAwR設定を検出すると、Advertiserと同期を開始します。
- 同期後、Tera TermでTITLE(商品名)、PRICE(価格)、NOTE(注記)を設定し、各Scannerへアドバタイズデータ送信します。
- Advertiserはサブイベントにおいて各Scannerからの応答を受信します。
- Scannerの動作
- Scannerは拡張アドバタイズメント内でPAwR構成をスキャンして検出する必要があり、その後観測されたPAwRパラメータを用いてAdvertiserとの同期を開始します。
- AdvertiserからのTITLE(商品名)、PRICE(価格)、NOTE(注記)のアドバタイズデータを受信します。
- 各ScannerはAdvertiserからのデータ受信に対して応答を送信します。
PAwR機能を使用することで、棚札の表示変更のようなこれまで人間が行っていた作業を手間が少なく行えるようになりました。
この便利さはスーパーや飲食店でも徐々に利用が増えていっているのも納得です。
費用対効果が見込めればより色んな分野で利用されていきそうです。
登録商標について
インフィニオン テクノロジーズのロゴ、ModusToolbox™、AIROC™ はインフィニオン テクノロジーズ社の登録商標です。
その他すべての名称は、それぞれの所有者に帰属します。