商品基礎情報
ESD試験とは
ESD試験ではESDガンで静電気を任意の場所に打ち確認するケースが多いと思いますが、この方法では試験箇所が適切でなかったり、試験のすり抜けにより量産直前でのリワークを招く可能性があります。正しく検証を行うにはESDスキャンやTLP試験の実施が必須です。
これら2つに共通することは結果が「グラフ化」「数値化」で示されることです。
ESDスキャン
基板上に同じ時間軸・電流値のパルスをさまざまな場所に印加し電圧を測定。
電圧の低くなる箇所は電流が流れやすい、つまりESDダメージを受けやすい箇所となります。
ESDスキャンでは基板全体を非破壊で検証します。
TLP試験とは
TLP試験
Transmission Line Pulseの略で、基板上の対象信号ラインに電流パルスを打ち込みI-V特性を取得します。電流を0Aから徐々に上げてICの壊れるポイントを探ります。この壊れたポイントの電圧が限界値となり、保護素子を使用していてもこの電圧を超えるとICは壊れてしまいます。
一方で保護素子単体のTLP特性も同じグラフで示されます。
一例として以下グラフはセムテック社の高速信号ライン向けTVSであるRClamp3331PQのデータシートに記載されているものです。
そして基板上の対象信号ラインの破壊ポイントと保護素子のTLP特性を重ねます。ここでは比較のため2種類のTVSのTLP特性を入れてます。このグラフより、保護素子を入れたとしても保護素子のTLP特性カーブと限界電圧の交点を超えるとICは壊れてしまうことを示しています。
ここでTLP試験結果の重要な点として、縦軸の電流値の半分の値が接触ESDのkV相当になります。
例えばTLP電流=16Aは接触ESD=8kVです。
TVS Aを使用した場合はESDが4.5kV程度で後段ICが壊れてしまいますが、TVS Bを使用した場合は15kV程度まで印加されても後段のICが壊れないことを意味します。つまり、使用するTVSによりESDの耐性に大きな差異が生じますので、TLP試験を行うことで適切な保護素子の選定が可能となります。
セムテック社のESDテストサービス
セムテック社ではTVS製品のサポートの一環として、お客様からお預かりした基板のESDスキャンならびにTLP試験を無償で実施しております。適切なESD対策はもちろん設計工数の削減にも繋がりますのでお気軽にお問合せください。