ワイヤレス給電のデメリット・注意点や課題とは?|基本的な仕組みやメリットも解説
ワイヤレス給電は、私たちの生活やビジネスに変革をもたらす技術として、注目を集める技術です。さまざまなメリットがありますが、同時にいくつかのデメリットも存在します。ワイヤレス給電を導入する際は、デメリットや今後の課題を理解したうえで検討することが大切です。
本記事では、ワイヤレス給電のメリット・デメリットや課題・注意点、今後の展望などを解説します。
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ワイヤレス給電とは?わかりやすく解説
まずは、ワイヤレス給電の概要をわかりやすく解説します。
電線を使用しない給電技術
ワイヤレス給電とは、電線(ワイヤ)を使用しない給電技術のことです。具体的な仕組みは方式によって異なり、電界や磁界、電磁波などを介して電力を送ります。
身近な例を挙げると、非接触型のスマートフォン充電器も、ワイヤレス給電技術を活用した製品の1つです。
国内外で注目を集める
ワイヤレス給電技術は、オフィスや店舗、電気自動車など、幅広いシーンでの活用が期待される技術です。国内でも、さまざまなメーカーや大学が研究を進めています。
太陽のエネルギーをワイヤレスで地上に送る「宇宙太陽光発電」の研究開発も進められており、世界的にも大きな注目を集めています。
ワイヤレス給電の4つのメリット
ワイヤレス給電のメリットは、主に以下の4つです。
- ケーブルの配線や劣化を気にする必要がない
- 感電やショートのリスクがない
- 壁越しでの給電が可能
- 動いている物体にも給電できる
それぞれの詳細について、以下で解説します。
ケーブルの配線や劣化を気にする必要がない
ワイヤレス給電は従来の方式とは異なり、ケーブル不要で給電ができます。配線を気にする必要がないため、よりデザイン性を重視した設計も可能です。
また、ケーブルの抜き差しによる消耗や劣化を気にする必要もありません。ケーブルや電池の交換が不要なため、サステナブルな社会の実現にも寄与します。
感電やショートのリスクがない
ワイヤレス給電は金属接点がないため、水に濡れてショートしたり、感電したりするリスクがありません。
製品故障のリスクが少ないため、安全対策としても有用です。
壁越しでの給電が可能
ワイヤレス給電は、木材やガラスなどの非金属素材であれば、壁越しでの給電も可能です。人体を通過させることもできるため、医療分野での研究開発も進められています。
動いている物体にも給電できる
給電エリア内では、回転したり、移動したりしている物体にも給電が可能です。稼働中のロボットや走行中の電気自動車への給電など、さまざまな活用方法が考えられます。
ワイヤレス給電のデメリット・注意点
ワイヤレス給電にはさまざまなメリットがある一方、いくつかのデメリットや注意点があります。ワイヤレス給電を導入する際は、以下のポイントをしっかり把握しておくことが大切です。
- 給電に時間がかかる
- 位置合わせがシビア
- 導入コストが高い
- 給電エリアに金属があると危険
それぞれの詳細について、以下で解説します。
給電に時間がかかる
ワイヤレス給電は、有線ケーブルを使った給電方法と比べて、給電に時間がかかる傾向があります。ただし、給電の方式によっては高い電送効率を実現できる場合もあるため、一概には言い切れません。
位置合わせがシビア
ワイヤレス給電の方式によっては、送電側と受電側にズレがあると、きちんと給電されない場合があります。なにかの拍子に位置がズレると「給電しているつもりができていなかった」といったトラブルにつながるため、それぞれの位置を細かく合わせなければなりません。
導入コストが高い
ワイヤレス給電は、有線ケーブルを用いた給電方法と比べると、導入コストが多くかかる傾向があります。ただし、ワイヤレス給電を導入することでケーブルやバッテリの交換作業が不要となれば、長期的なコストダウンにつながるでしょう。
給電エリアに金属があると危険
ワイヤレス給電の給電エリア内に金属があると、電力の安定的な供給が困難になるだけでなく、金属が発熱する恐れがあります。送電側と受電側の間に金属製のものを置いたり、金属の壁を挟んだりしないよう注意が必要です。
ワイヤレス給電の方式別デメリット
ワイヤレス給電には、以下の4つの方式があります。
- 電磁誘導方式
- 磁界共鳴方式
- 電界結合方式
- 電磁波方式
ここからは、方式ごとの仕組みやデメリットを解説します。
1.電磁誘導方式
ワイヤレス給電のなかでは、最も一般的な方式です。送電側と受電側との間で発生する誘導磁束を利用して電力を送電します。
電磁誘導方式は電力の伝送距離が短く、位置のズレによる影響を受けやすいというデメリットがあります。
2.磁界共鳴方式
送電側と受電側の間で起こる磁界の共鳴を利用した方式です。離れた場所への送電が可能なため、電気自動車向けの用途が期待されていますが、給電効率の向上が課題です。
3.電界結合方式
送電側と受電側にそれぞれ電極を対面させ、送電側で高い周波数で電気を流すと受電側の電極にも電気が流れることを「静電容量結合」といいます。この結合を利用した方式が、電界結合方式です。
位置ズレの影響を受けにくいものの、あまり大きな電力は送れないというデメリットがあります。
4.電磁波方式
電流をマイクロ波やレーザなどの電磁波に変換し、受電側で電磁波を受信して電流に変換し直すという方式です。
伝送距離が長いというメリットがある反面、給電効率に課題があります。
ワイヤレス給電の活用における課題
ワイヤレス給電は、さまざまな分野における活用が期待される技術です。しかし、ワイヤレス給電の活用シーンをさらに増やすためには、以下の課題をクリアする必要があります。
- 人体への影響
- 給電効率の低下
ここからは、それぞれの課題について詳しく解説します。
人体への影響
利用者の安全確保は、ワイヤレス給電の普及における課題の1つです。ワイヤレス給電は電力を電磁波にのせて飛ばします。給電エリア内には人がいる場合も多いため、人体への影響を考慮しなければなりません。
例えば、同じく電波を飛ばすWi-Fiやモバイルデータ通信などは、人体への安全性が確認されています。しかし、どちらも比較的新しい技術であるため、長期的な影響はまだはっきりとは分かっていません。
給電効率の低下
ワイヤレス給電の課題として、「給電効率の低下」が挙げられます。
例えば、電磁誘導方式や磁界共鳴方式、電界結合方式の場合は、位置ずれや距離の問題によって給電効率が低下する場合があります。また、電磁波方式は、電波が拡がることによるロスや変換ロスによって給電効率が下がる点が課題です。
まとめ
ワイヤレス給電は国内外で注目を集める技術ですが、「給電時間の長さ」や「高額な導入コスト」など、いくつかのデメリットも存在します。また、ワイヤレス給電を普及させるためには、安全性や給電効率などの課題をクリアしなければなりません。
しかし、ワイヤレス給電の研究開発には各国が力を入れており、今後これらのデメリットや課題が解消されることが期待できます。職場のDX化や新たなビジネスの展開に、ワイヤレス給電技術を活用できるでしょう。
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