商品基礎情報
1. Simcenter SCADAS Mobile:柔軟なデータ取得ソリューション
1.1 製品概要
Simcenter SCADAS Mobileは、ポータブル型のデータ収集システムで、ラボ環境とフィールド環境の両方で利用可能な設計となっています。モジュール式の拡張性を持ち、多様なセンサ入力に対応しながら、バッテリー駆動によるスタンドアロン計測が可能です。
1.2 主な特徴
① モジュール式の柔軟な拡張性
Simcenter SCADAS Mobileは、計測対象に応じたモジュール交換型の設計を採用しており、以下のような入力信号に対応可能です:
-
- アナログ信号
- 電圧・電流入力
- ひずみゲージ(ブリッジ測定)
- 加速度計(IEPE、Charge、MEMS)
- 温度センサー(熱電対、RTD)
- マイクロフォン(音響測定)
- デジタル信号
- CANバス信号
- GPS同期信号
- タコメーター信号
- アナログ信号
モジュールは簡単に交換可能であり、異なるSCADAS Mobileユニット間でモジュールを交換して利用することも可能です。
② 高速・高精度データ取得
- 最大204.8 kHzのサンプリングレート
- 低ノイズ設計により、微小信号も高精度で測定可能
- リアルタイム信号処理機能を搭載し、データ解析の高速化を実現
③ デイジーチェーン接続による拡張
複数のSCADAS Mobileユニットをメイン/セカンダリーデバイスとしてデイジーチェーン接続することで、チャンネル数を増やし、より大規模なデータ取得システムを構築できます。
④ 耐環境性能
- コンパクトな筐体(重量:約3.5 kg)
- バッテリー駆動が可能(フィールドテスト向け)
- 堅牢な設計で、振動・衝撃に強い
2. Simcenter SCADAS Recorder:スタンドアロン型データロガー
2.1 製品概要
Simcenter SCADAS Recorderは、PCを必要とせずにスタンドアロンでデータ記録が可能なデバイスです。長時間のデータ記録や、移動体計測に適しており、GPS機能を標準搭載しています。
2.2 主な特徴
① スタンドアロン記録
- PCなしでデータ取得・記録が可能
- 長時間のデータ取得に最適
② GPS機能搭載
- 位置情報を取得し、測定データと統合可能
- 道路試験・鉄道試験などの移動体計測に最適
③ 高精度データ取得
- 最大204.8 kHzのサンプリングレート
- マルチセンサー入力対応(IEPE、Charge、電圧、ひずみゲージなど)
④ 堅牢な設計
- 防塵・防滴設計
- 屋外環境や過酷な試験条件でも安定した動作
3. 共通の特徴
Simcenter SCADAS MobileとSCADAS Recorderの共通点として、以下の特徴が挙げられます。
3.1 フレームの種類
両製品ともに、顧客使用条件によってフレームを選択することで、最適な構成を構築できます。
Simcenter SCADAS Mobile 01(型式 SCM2E01, SCM2E01V, SCR2E01)
- 1 つのカード拡張スロットで 4~ 24 チャネルに対応
- オンボードのデュアルタコ(アナログ&デジタル)、デュアルジェネレータ、およびCANバス対応
- 重量 2.5kg、サイズ 203 x 58 x 260mm
- 公称2.5時間のバッテリー
- 最大持続スループット性能:3.8 M Samples/秒
Simcenter SCADAS Recorder 02(型式 SCM2E02, SCM2E02V, SCR2E02)
- 2 つのカード拡張スロットを介して 4~ 48 の入力チャンネルに対応するモジュラー システム
- マルチフレーム接続により、数百の測定チャンネルに拡張可能
- オンボードのデュアルタコ(アナログ&デジタル)、デュアルジェネレータ、CAN-bus
- 最大スループットレート 14 M Samples/秒
- 重量 3.5kg、サイズ 216 x 76 x 271mm
- 追加のフレームをデイジーチェーン接続するためのコネクタ拡張スロットが利用可能
- 公称1.5時間のバッテリー
Simcenter SCADAS Mobile 05 (型式 SCM2E05, SCM2E05V, SCR2E05)
- 5つの拡張スロットを介して4〜120チャネルに対応
- マルチフレーム接続により、数百の測定チャンネルに拡張可能
- オンボードのデュアルタコ(アナログ&デジタル)、デュアルジェネレータ、CANバス
- 最大スループットレート:14 M Samples/秒
- 重量 6.2 kg、サイズ 340 x 78 x 295 mm (ラップトップサイズのフレーム)
- 追加のフレームをデイジーチェーン接続するためのコネクタ拡張スロットが利用可能
- 公称1時間バッテリー
Simcenter SCADAS Recorder 09 (型式 SCM2E09, SCM2E09V, SCR2E09)
- 9 つの拡張スロットを介して 4~ 216 チャネル に対応
- マルチフレーム接続により、数百の測定チャンネルに拡張可能
- オンボードのデュアルタコ(アナログおよびデジタル)、デュアルジェネレータ、およびCANバス
- 最大スループットレート:14 M Samples/秒
- 重量 10.5kg、サイズ 345 x 140 x 300mm
- 追加のフレームをデイジーチェーン接続するためのコネクタ拡張スロットが利用可能
- 公称1時間バッテリー
3.2 ソフトウェア統合
- Simcenter Testlabとの完全統合
- MATLAB、Python、LabVIEWなどの外部解析ツールと連携可能
4. 使用事例・アプリケーション
Simcenter SCADASシリーズは、以下のような試験・アプリケーションに使用されています。
4.1 自動車業界
- NVH(Noise, Vibration, Harshness)試験
- 耐久試験
- エンジン・パワートレイン振動解析
- ADAS(先進運転支援システム)テスト
- EV(電気自動車)の音響・振動測定
4.2 航空宇宙
- 航空機の構造振動試験
- エンジン振動解析
- 騒音低減対策の研究
- 航空機の飛行試験
4.3 鉄道・インフラ
- 鉄道車両の振動解析
- 橋梁・建築物の耐震試験
- 鉄道軌道の衝撃試験
- 鉄道車両の車輪音響試験
4.4 エネルギー・発電
- 発電所タービンの振動監視
- 風力発電のブレード振動測定
- 送電設備の異常振動検知
4.5 産業機械・製造業
- 回転機械の異常検出
- 生産設備の状態監視
- ロボットアームの振動解析
5. まとめ
Simcenter SCADAS Mobileは、柔軟なモジュール設計とポータブルなデザインを活かし、ラボ・フィールドの両方で活用できます。一方、Simcenter SCADAS Recorderは、GPS機能を活かした長時間データ記録に最適なデバイスです。
どちらも高精度な計測を可能にし、振動・音響・耐久試験などの幅広いアプリケーションに対応しています。 各種テストや解析ニーズに応じたシステムの選定を行い、最適なデータ取得環境を構築してください。