ミリ波MIMOレーダモジュール評価キット取扱い開始

当社は、産業用途向け79GHz帯ミリ波MIMOレーダモジュール評価キット(技術基準適合証明(以下、技適証明)取得済み)の取扱いを開始します。今回は評価キットの簡単な概要とラインナップについてご紹介します。

60GHz/79GHz帯を日本国内で使用するには技適証明を取得する必要があり、活用面で大きなボトルネックになっています。2019年6月現在、Texas Instruments(以下、TI社と表記)から販売されているミリ波レーダ評価ボードは日本の技適証明を取得しておりませんので、これらの評価ボードのご利用においては、法規上、電波が周囲に放射されない環境(電波暗室など)で使用する必要があります。 当社はこの問題を解決するべく、TI社のミリ波レーダデバイス IWRシリーズを使用した79GHz帯MIMOレーダモジュール評価キット(技適証明取得済み)の取扱いを2019年8月に開始しました。これにより、お客様は法規的な制約にとらわれず、様々なフィールドでミリ波レーダ技術をご体感いただくことが可能となります。

IWR1642ベースの評価キット

ご要望の最大測定距離や角度によって最適なアンテナパターンを選択いただくことが可能です。さらに、評価キット本体の大きさはおよそ名刺の半分のサイズと非常に小型な設計になっておりますので、既存の製品に簡単にアタッチしてご評価いただくことが可能です。

ミリ波レーダのモチベーション

MIMOレーダとはなんでしょうか?
一言で言えば、ミリ波帯域を使用した『物体を検知するためのセンシング技術』です。複数の送受信アンテナを備え(MIMO)、ミリ波レーダから対象物までの
・距離
・相対速度
・角度

を高精度に測定することが可能です。

従来より、24GHz帯でのミリ波レーダは自動車分野を中心に活用されてきましたが、RF帯域幅が狭いことで、きめ細やかな物体検知を実現することはできませんでした。しかし近年、TI社が開発した60/79GHz帯ミリ波レーダデバイスによって大幅な性能改善・小型化ができるようになり、自動車業界のみならず産業用途などの様々な業界で大変大きな話題となっています。
例えば、79GHz帯ミリ波レーダを使用すれば、実に数十メートル先の物体を3.75cm(24GHz帯のミリ波では75cm)の距離分解能で測距することが可能です。
またレーダ信号処理を活用することで、人の呼吸(胴体の微細な動き)や心拍(心臓の動き)を検知したり、人の動きをトラッキングすることができるなど、まさに革新的なセンシングを実現することができます。

ラインナップの紹介

79GHz帯 ミリ波レーダモジュール評価キット

共通仕様

IWR1443およびIWR1642ベースの79GHz帯ミリ波レーダモジュール評価キットの共通仕様は以下のとおりです。

IWR1443ベース

IWR1443ベースの79GHz帯ミリ波レーダモジュール評価キットの仕様は以下のとおりです。
2次元(T14_01120112_2D)、2.5 次元(T14_01120112_2R5D、T14_01030103_2R5D)の検出が可能な2つのアンテナタイプをご⽤意しています。

IWR1642ベース

IWR1642ベースの79GHz帯ミリ波レーダモジュール評価キットの仕様は以下のとおりです。
長距離向け(T16_02120112)から広角向け(T16_01010101)まで、計4つのアンテナタイプをご用意しています。

IWRシリーズのご紹介

本評価キットはTI社の以下のデバイスを搭載しています。

  IWR1443(79GHz帯) IWR1642(79GHz帯)
周波数 76-81GHz 76-81GHz
Rx/Tx 4/3 4/2
最大サンプリングレート 37.5MSPS 12.5MSPS
IF帯域幅 15MHz 5MHz
RF帯域幅 4GHz 4GHz
プロセッサ R4F@200MHz R4F@200MHz
C674x@600MHz
メモリ 576KB 1.5MB
レーダ・ハードウェア・アクセラレータ(HWA) あり なし
インターフェイス CAN
MIPI CSI2
SPI/QSPI
LVDS
I2C
UART
CAN
SPI/QSPI
LVDS
I2C
UART

IWR1443(79GHz帯)はレーダ信号処理用のHWアクセラレータを内蔵し、またアンテナの数や高サンプリングレートをサポートしていることで高いRF性能を持ち合わせています。一方IWR1642(79GHz帯)では、RF性能はIWR1443(79GHz帯)に劣るものの、HWアクセラレータの代わりに高性能なDSP(C674xコア@600Mhz)を内蔵しており、より柔軟にレーダ信号処理をおこなうことが可能です。

ミリ波レーダ活用のアイデア ~可能性は無限大~

ミリ波レーダはどのようなアプリケーションに活用することができるでしょうか?少し考えてみただけでもこんなにたくさんあります。

技適証明取得済みの評価キットですので、アンテナやRFの詳しい知識は必要ありません。既存のシステムに簡単にアタッチすることができますので、開発者のアイデア次第で様々な用途にご活用いただくことが可能です。

まとめ

今回は、当社で取扱いを開始する79GHz帯MIMOレーダモジュール評価キットの概要についてご紹介しました。既存のセンサ技術に高精度なミリ波レーダを組み合わせることで、更に革新的なセンシングを実現することもできるでしょう。ぜひ本評価キットを使用して貴社のアプリケーションへの活用をご検討ください。
なお、本評価キットはあくまで機能性能の評価を目的としておりますので、品質の保証はございません。量産におかれましては、お客様の要求仕様に合わせて再設計の上、品質を保証したレーダモジュールをご提供しますので、詳細はお問い合わせください。
 
次回は、そもそもミリ波って何?というところについて簡単に解説したいと思います。どうぞご期待ください!