はじめてのMOSFET
MOSFETとは?
MOSFETは(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)の略称で、3つの端子( ゲート:G、ドレイン:D、ソース:S)からなるスイッチデバイスの一種です。
MOSFETってどんなところで使用されているの?
はじめての電源で紹介した製品の電源回路の部分で使用されています。
- スイッチングレギュレータ(パソコン)
- 絶縁,AC/DCコンバータ、PSR(アダプタ)
- ドライバ(LED)
はじめての電源ではスイッチの回路図記号として記載していますが、例えばスイッチングレギュレータのDCDCコントローラの回路図では、MOSFETはQ1、Q2の2箇所で使用されています。
この回路図の動作としては、コントローラがMOSFETをスイッチのようにON・OFFすることで必要なエネルギをLC回路に送ります。
MOSFETってどんな種類があるの?
NチャネルとPチャネル
MOSFETにはNチャネルとPチャネルがあります。チャネルの違いにより、電圧の加え方が異なります。
MOSFETのデータシートのスペックは?
絶対最大定格と電気的特性
データシートには絶対最大定格と電気的特性があります。絶対最大定格は、その値を超えるとデバイスが破壊する可能性がある値です。それに対して、電気的特性は性能を保証する値です。
絶対最大定格 キースペック
MOSFETの絶対最大定格で押さえておくキースペックは下記のとおりです。(TA=25℃で規定)
■VDS(ドレイン-ソース電圧)
・ドレイン・ソース間に印加し得る電圧の最大値。
■VGS(ゲート-ソース電圧)
・ゲート・ソース間に印加可能な最大電圧。
■ID(ドレイン電流)
・ドレインに連続的に流せる電流の最大値。
■IDM(パルスドレイン電流)
・ドレインに瞬間的に流せる電流の最大値。
■PD(許容損失)
・MOSFET自身が許容される最大電力。
電気的特性 キースペック
MOSFETの電気的特性で押さえておくキースペックは下記のとおりです。(TA=25℃で規定)
■VGS(th) (ゲート-ソース間 しきい値電圧)
・MOSFETのON/OFFのしきい値の電圧。
■RDS(ON)(ドレイン-ソース間オン抵抗)
・ドレイン-ソース間のオン状態の内部抵抗値。効率等の損失に大きくかかわるファクター。
・温度によって変化が大きいので注意が必要。
■Qg(トータル・ゲート・チャージ量)
・パワーMOSFETをオンからオフ、オフからオンへ切り替える際に、ゲート電極に注入する必要がある電荷量。
■Qgs(ゲート-ソース・チャージ量)
・VGSのカーブがVGS =0Vから平らになる点までがゲート-ソース間容量をチャージを完了するまでの電荷量。
■Qgd(ゲート-ドレインチャージ容量)
・ミラー効果の平らな部分のミラー容量を充電する期間の電荷量。
オン抵抗(RDS(ON))の変化について
オン抵抗はTa=25℃で規定されています。オン抵抗は温度によって変化しますので、どの程度変化するのか、事前にデータシートで確認する必要があります。また、VGSでも変化するので確認する必要があります。
MOSFETの安全動作領域とは?
安全動作領域(SOA)
SOA(Safety Operating Area)とは“ON抵抗”、“電流”、“熱”、“電圧”から制限されたMOSFETが安全に動作できる領域のことを示します。この領域内で使用する必要があります。
①ON抵抗制限領域
・ON抵抗(RDS(ON))により制限される領域で、
ID=VDS/RDS(ON)で計算しています。
②電流制限領域
・Drain電流定格で制限される領域です。
Pulseの場合はON時間にて制限される
電流値が変化します。
許容損失PDで制限される領域です。
PD=ID x VDSで計算します。
③SB(Secondary Breakdown)領域
・熱制限状態からさらにVDSを増加させた場合、
2次降伏現象が発生するため、
その現象を制限するための領域です。
④電圧制限領域
・耐圧VDSにより制限される領域です。