ミリ波レーダーモジュール評価キット TITANのご紹介


ミリ波レーダーモジュール評価キット TITAN(タイタン)をご紹介します。
電波認証取得済みですのですぐにフィールドでご評価いただくことが可能です。
ミリ波レーダーのモチベーション
ミリ波レーダーモジュール評価キット = TITAN
ミリ波レーダーとはなんでしょうか?
一言で言えば、『ミリ波帯域を使用して物体を検知する非接触センシング技術』です。複数の送受信アンテナを備え、ミリ波レーダーから対象物(物標)までの
・距離
・相対速度
・角度
を測定することが可能です。
従来より24GHz帯ミリ波レーダーは自動車分野を中心に活用されていましたが、RF帯域幅が狭いことできめ細やかな物標検知を実現することはできませんでした。しかし昨今、多くの半導体ベンダーが60/76/79GHz帯に対応したMMIC(Monolithic Microwave Integrated Circuit)の開発を進めており、ミリ波レーダーの大幅な性能改善・小型化ができるようになってきています。これにより自動車業界のみならず産業分野でミリ波レーダーの活用が検討されていますが、一方で、60/76/79GHz帯を日本国内で使用するには電波認証を取得する必要があり、活用面で大きなボトルネックになっています。
当社はこの問題を解決するべく、ミリ波レーダーモジュール評価キット TITAN(電波認証取得済み)を販売しております。これにより、お客様は法規的な制約にとらわれず、様々なフィールドでミリ波レーダー技術をご体感いただけます。
TITANとは?
ミリ波レーダーモジュール評価キット TITAN は、PCとUSB接続するだけで簡単に評価することが可能です。また、日本語のマニュアルや評価用ソフトウェア(TitanDemoKitApp)が評価キットに付属します。
TITANの各シリーズを用いて、以下のようにそれぞれ目的に応じたデータを出力することが可能です。
TITANの各シリーズの比較
シリーズごとの主な特長は下図の通りです。全シリーズで電波認証取得済となります。
各シリーズ詳細は次項にてご紹介します。
シリーズ | 帯域(GHz) | アンテナ※3 | 量産対応 | 出力データ | TitanDemoKitApp | Raw/FFT取得環境(Windows10)※4 | 主な特長 | 主なアプリケーション |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
T14RE | 79 | ・2D ・2R5D ・3D |
◯ | ・Rawデータ(IQデータ) もしくは ・Range FFT処理済みデータ(IQデータ) |
◯※1 | ・Visual Studio C# Project ・MATLAB ・Python ・LabVIEW ・T14reTool |
・後段のPC(Windows10)とUSB接続することでIF信号のRaw or Range FFT データをストリーミング可能(最大500fps) ・後段で自由に信号処理を実装することが可能 ・UVCに対応していればLinux機でもデータ取得可能 |
・バイタルセンシング ・R&D用途 |
T18 | 79 | ・2D ・2R5D ・3D |
× | ・Rawデータ(IQデータ) および ・点群情報 |
◯ | ・Visual Studio C# Project | ・後段のPCとUSB接続することでIF信号のRawデータをストリーミング可能 ・アンテナレイアウトはT18PEと同等のため、T18PEへの信号処理をポーティングすることも検討可能 |
・R&D用途 |
T18PE | 76※2 | ・2R5D | ◯ | ・点群情報 | ◯ | − | ・ロングレンジ(~149m)のセンシングが可能 | ・ITS(交通監視レーダー) |
79 | ・2D ・2R5D ・3D |
◯ | ・点群情報 | ◯ | − | ・近〜中距離(~50m)のセンシングが可能 | ・人検知 ・車両検知 ・レベルセンシング |
|
T68PE | 60 | ・2D ・3D |
◯ | ・点群情報 | ◯ | − | ・近距離(~10m)のセンシングが可能 | ・人検知 ・車両検知 ・レベルセンシング |
※1:IF信号のRawおよびRange FFTデータからPC側で信号処理して点群等を表示
※2:76GHz帯対応T18PEは現在計画中
※3:アンテナ形状
2D = 方位角分解に特化
2R5D = 方位角分解に加え仰角分解能を持たせたバランスタイプ
3D = 立体検知に特化
※4:Visual Studio C# Project、MATLAB、Python、LabVIEWについてはサンプルコードを提供
TITANラインアップのご紹介
T14REシリーズ
79GHz帯ミリ波レーダーモジュール評価キット T14RE はIF信号のRawデータ、および、Range FFT データ出力専用モデルとなります。高フレームレート出力に対応したことにより、特にミリ波レーダーを使用した非接触バイタルセンシングを検討している方に最適なモデルで、後段のPC/SBC(Single Board Computer)で独自のアルゴリズムを実装することが可能です。
主な特長:
- 2D、2R5D、3Dのアンテナパターンに対応
- 最大500fpsの高フレームレートを実現
- 付属のコマンドラインツール(T14reTool)を使用してIF信号のRawデータ、および、Range FFTデータを取得可能
- Range FFT データを出力することが可能なため、後段の信号処理量を削減可能
- TitanDemoKitAppで点群等の情報をリアルタイムに表示可能(点群生成のための信号処理はアプリ側で処理)
- C# / MATLAB / Python / LabVIEW等の環境から、IF信号のRawデータ、および、Range FFT データを取得するためのサンプルコードを提供
- 量産対応可能
T18PEシリーズ
76GHz/79GHz帯ミリ波レーダーモジュール評価キット T18PE は点群出力専用モデルです。レーダー信号処理はすべてモジュール内部で行うため、ミリ波レーダーを初めて使用する方や、既存のシステムにレーダー機能の追加を検討している方に最適なモデルです。
主な特長:
- 2D、2R5D、3Dのアンテナパターンに対応(76GHz帯は計画中)
- TitanDemoKitAppで点群等の情報をリアルタイムに表示可能
- 既存のシステム(マイコン等)にUART(2系統)でモジュールを接続することが可能
- 量産対応可能
T18シリーズ
79GHz帯ミリ波レーダーモジュール評価キット T18 は、T18PEの機能をベースにIF信号のRawデータ取得に対応したモデルです。TitanDemokitApp上でIF信号のRawデータ保存が可能となり、MATLABやPython等の環境を用いてオフラインで独自の信号処理を開発することが可能です。
主な特長:
- T18PEと同じアンテナパターンに対応(76GHz帯には非対応)
- IF信号のRawデータおよび点群情報を同時に取得することが可能
- TitanDemoKitAppで点群等の情報をリアルタイムに表示可能
T68PEシリーズ
60GHz帯ミリ波レーダーモジュール評価キット T68PE は点群出力専用モデルです。レーダー信号処理はすべてモジュール内部で行うため、ミリ波レーダーを初めて使用する方や、既存のシステムにレーダー機能の追加を検討している方に最適なモデルです。
60GHz帯は日本国内はもちろん海外でも広く用いられている帯域であり、海外展開も視野に入れたアプリケーションに最適です。
主な特長:
- 2D、3Dのアンテナパターンに対応
- 水平偏波方式の採用により他TITANシリーズと比較し広範囲なFoVを実現
- TitanDemoKitAppで点群等の情報をリアルタイムに表示可能
- 既存のシステム(マイコン等)にUART(2系統)を接続することが可能
- 量産対応可能
TITAN評価用ソフトウェア
TitanDemoKitApp
TITANの各モデル共通の評価用ソフトウェアです。TITANとPCを接続するだけですぐに使用することが可能です。詳細はこちらをご確認ください。
RawDataCapture(T14RE、T18のみ)
一部モデルでは、TitanDemokitApp上でIF信号のRawデータやRange FFTデータの取得・保存が可能です。
ミリ波レーダー活用のアイデア ~可能性は無限大~
ミリ波レーダーはどのようなアプリケーションに活用することができるでしょうか?すこし考えてみただけでもこんなにたくさんあります。
技適証明取得済みの評価キットですので、アンテナやRFの詳しい知識は必要ありません。開発者のアイデア次第で様々な用途にご活用いただくことが可能です。
まとめ
今回はミリ波レーダーモジュール評価キット TITANの概要についてご紹介しました。既存のセンサーに高精度なミリ波レーダーを組み合わせることで、更に革新的なセンシングを実現することもできるでしょう。ぜひTITANを貴社アプリケーションにご活用をください。量産におかれましては、お客様の要求仕様に合わせて再設計の上、品質を保証したレーダモジュールをご提供しますので、詳細はお問い合わせください。
次回は、そもそもミリ波って何?というところについて簡単に解説したいと思います。どうぞご期待ください!