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電波法における WPT の位置付け
丸文株式会社は2020年6月25日より米国 Ossia Inc. (以下 Ossia 社) との戦略的パートナーシップのもと、マイクロ波を用いた空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム (以下 WPT) の実用化に向けて活動を続けてまいりました。
また、2022年5月26日、総務省より「電波法施行規則等の一部を改正する省令」が施行され、WPT に関する省令改正、告示等が官報に掲載されました。これにより、WPT の法整備が完了し、日本国内での実用化・商用化が可能となりました。
こういった背景のもと、本ブログを通じて、少しゆるく肩の力を抜いた形で、担当者目線での WPT に関する情報を発信していこうと思います。
本ブログでは弊社が提供する Ossia 社の WPT 技術 Cota に関する情報ももちろん提供していく予定ではありますが、一方であまりバイアスをかけないでフラットな目線で WPT を俯瞰した情報も提供していきたいと考えています。
記念すべき第一回は今回の省令改正の背景にある重要なポイントをご説明させて頂こうと思います。
(省令改正の具体的な内容に関しては、別の機会とさせて頂きます)
電波を利用したワイヤレス電力伝送システムは以下の2種類に大別されます。
 ●近接結合型
  〇電磁誘導・磁界共鳴
  〇電界結合
 ●空間伝送型
                                
                                
出典:総務省電波監理審議会(第1099回)会議資料
                                			                
電動歯ブラシの非接触充電器やスマートフォンの非接触充電器等で既に実用化されている近接結合型は、電波法下においては「高周波利用設備」として位置付けられています。
「高周波利用設備」とは電波を空間に輻射することを本来の目的としていないもので、その他身近なものとしては電子レンジや IH 調理器があります。
「高周波利用設備」はその漏洩電波が混信や雑音として他の無線通信を妨害する恐れがあることから原則設置許可を受ける必要がありますが、50W 以下の電動歯ブラシ、スマートフォンの非接触充電器等は許可不要であり、電子レンジや調理器等はメーカーによる型式指定・型式確認により設置許可不要で使用することができます。
これに対し、今回省令改正にて実用化可能となった空間伝送型は、皆さんがお使いの携帯電話や Wi-Fi、Bluetooth のような無線通信システムや自動車の予防安全で採用されているミリ波レーダー等と同様、アンテナ(電波法下では空中線と言います) を用いて空間へ意図的に電波を輻射する事で電力を伝送するシステムであることから、電波法下においては「無線設備」として位置付けられました。
電波法において、「無線設備」及び「無線設備を操作を行う者」の総体を「無線局」と定義しており、「無線局」の開設は一部の例外を除き総務大臣の免許を受ける必要があります。
先に挙げた携帯電話や Wi-Fi、Bluetooth 等は、この一部の例外に該当するため、皆さんは免許を受けることなく使用することができますが、
空間伝送型の WPT は「無線設備」であり、運用に際しては「無線局 (正式には無線電力伝送用構内無線局)」としての免許を受ける必要があります。
(これが今回のブログのポイントです)
こういったことから、弊社では WPT 実用化に向けての活動の一環として無線局免許申請サポート、および無線局の新設検査、変更検査を実施することができる登録検査等事業を始めています。
登録検査等事業について
実験試験局申請サポート
WPT 構内無線局申請サポート
また、さらなる規制緩和や免許申請の簡素化を総務省に提案すべく、BWF (ブロードバンドワイヤレスフォーラム) にて WPT 関係各社と積極的に活動しています。
以上が、日本における WPT の電波法下における扱いです。
では、海外ではどうでしょうか?
詳細は別の機会とさせていただきますが、国際連合の専門機関の一つである ITU の無線通信部門である ITU-R が無線通信規則を扱っていますが、
まだ国際的な規則としての合意が取れた文書は発行されていない状況です。
Ossia 社の本国であるアメリカでは FCC が規制当局として存在し、現状 FCC は WPT 機器を ISM 機器として扱っています。
(近接型 WPT、電子レンジ等と同じ扱いです。)
欧州は CE マークが必要ですが、こちらも現状は ISM 機器として扱っているようです。
Ossia 社では FCC および CE その他、各国の規制への対応を進めており、最新状況は以下でご確認いただくことが可能です。
Ossia 社 Cota 規制対応状況はこちら
今回は法規制が主な内容だったため、あまり崩して書くことができませんでしたが、次回以降はもう少し柔らかく書いてみたいと思います。
第一級陸上無線技術士
Expert
勝永浩史
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