商品基礎情報
製品概要
Simcenter Qsources Miniature Shaker (Q-MSH) は、その名の通り、非常に小型でありながら高性能な動的加振器(シェーカー)です。従来の大型加振器ではアクセスできなかった狭小なスペースや、インパクトハンマーの使用が難しい繊細な構造物、あるいは複雑なアセンブリ内部への加振を可能にします。
特許取得済みの独自の内部3次元サスペンション機構により、試験対象物への質量負荷や剛性影響を最小限に抑えつつ、正確な加振を実現します。これにより、より現実に近い条件下での高精度な振動試験や解析が可能となります。
製品特徴
Q-MSHは、コンパクトな筐体に革新的な技術を凝縮しています。
超小型・軽量設計
- 直径28mm、高さ38mm、質量わずか100g。狭い場所にも容易に設置可能です。
- 試験対象物への動的質量負荷はわずか10gで、構造物への影響を最小限に抑えます。
特許取得済み内部3Dサスペンション
- 慣性質量を動的に分離し、加振力が常にスティンガー軸方向に正確に伝達されます。
- これにより、外部からの支持や面倒なアライメント調整作業が不要になります。
- あらゆる角度での取り付けに対応し、垂直・水平・斜め方向からの加振が可能です。
センサー内蔵による高効率な測定
- 1軸の力センサーと駆動点の加速度センサーを内蔵。
- 駆動点周波数応答関数 (FRF) を迅速かつ容易に取得できます。
- センサーは汎用性の高いIEPEタイプで、Simcenter SCADASハードウェアなど多くのデータ収集システムに対応します。
高い加振能力
- 50 Hz から 5,000 Hz の広い周波数範囲をカバー。
- 小型ながら 2 N rms の加振力を実現します。
簡単な設置
- 試験対象物に接着剤で直接取り付け可能。
- 特別な治具やサポート構造は不要です。
導入メリット
試験効率の向上と高精度なデータ取得
Q-MSHを導入することで、以下のようなメリットが得られます。
- 試験準備時間の短縮:外部サポートやアライメント調整が不要なため、セットアップ時間を大幅に削減できます。
- 測定精度の向上: 試験対象物への負荷が極めて小さく、加振方向が正確に制御されるため、より信頼性の高いデータが得られます。
- 適用範囲の拡大:従来は不可能だったアセンブリ内部や複雑な形状を持つ部品への加振試験が可能になります。
- 作業の効率化:センサー内蔵により配線がシンプルになり、場合によってはオペレーター1名でのデータ収集も可能です。
- 高品質なFRFデータの取得:内蔵センサーにより、駆動点FRFを容易に取得でき、モーダル解析や伝達経路解析の精度向上に貢献します。
このような用途に最適です。
- 実験モーダル解析 (EMA) を実施される方
- 伝達経路解析 (TPA) を実施される方
- 周波数ベース部分構造合成法 (FBS) を実施される方
- 自動車、航空宇宙、精密機器などの分野で、部品単体やアセンブリの振動特性評価を行う方
- アクセス困難な箇所の加振試験が必要な方
アプリケーション事例
Q-MSHは、様々な振動・音響試験や解析分野でその性能を発揮します。
伝達経路解析 (TPA)
- 用途: 自動車のエンジン振動、ロードノイズ、家電製品の動作音など、発生源から乗員やユーザーが感じる応答点までの振動・騒音の伝達経路を特定し、対策を検討するために使用されます。
- Q-MSHの活用: エンジンマウント、サスペンション取り付け部、パネル内部など、アクセスが困難な箇所や影響を与えたくない箇所にQ-MSHを設置し、正確な入力点を加振します。これにより、各経路からの寄与度を正確に分析できます。
実験モーダル解析 (EMA)
- 用途: 部品や構造物の固有振動数、減衰比、モード形状といった動特性を実験的に同定するために使用されます。共振現象の解明や構造設計の妥当性評価に不可欠です。
- Q-MSHの活用: プリント基板、小型電子部品、軽量構造物、複雑なアセンブリ内部など、従来の加振器では質量負荷の影響が大きかったり、設置が難しかったりする対象物に対して有効です。Q-MSHの低質量負荷により、対象物本来の動特性を高精度に測定できます。
取り付け点モビリティ測定
- 用途: サブシステム(例:エンジンと車体、電子部品と筐体)間の動的な結合特性を評価するために使用されます。部分構造合成法 (FBS) における重要な入力データとなります。
- Q-MSHの活用: 結合部に直接Q-MSHを取り付け、加振力と応答加速度からモビリティ(または動剛性)を測定します。簡単な接着取り付けと正確な加振力制御により、再現性の高いデータ取得が可能です。
振動音響伝達関数 (Vibro-acoustic Transfer Functions, 例: BNTF)
- 用途:構造物の振動がどのように周囲への騒音放射に寄与するかを評価するために使用されます。車室内騒音 (Booming Noise) や電子機器の静音化対策などに用いられます。
- Q-MSHの活用:車体パネル、筐体表面など、音響放射に寄与する構造物の特定箇所をQ-MSHで加振し、マイクロフォンで測定した音響応答との関係(伝達関数)を求めます。これにより、効果的な制振・遮音対策の検討が可能になります。
技術仕様
外形寸法 |
直径28mm × 高さ38mm |
静的質量 |
100g |
動的負荷(構造体への実質的影響) |
10g |
使用周波数範囲 |
50 Hz ~ 5,000 Hz(ランダム試験) |
加振レベル |
2 N rms |
内蔵センサー |
フォースセンサー、加速度センサー(どちらもIEPEタイプ) |
センサーコネクター |
マイクロドット(10-32) |
電源ケーブルコネクター |
オス型バナナプラグ |
センサーケーブル長 |
90 cm |
電源ケーブル長 |
4 m |